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“6”から“8”への進化は想像以上だった!──8ATで魅力が増したプジョー3008試乗記

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“6”から“8”への進化は想像以上だった!──8ATで魅力が増したプジョー3008試乗記

PSAグループの「EMP2プラットフォーム」を使うプジョーのCセグメントモデルのトランスミッションが、2018年後半から続々と従来の6速ATから同じくアイシンAW製の8速ATに切り替わっている。

すでにハッチバックモデルの「308 GT」の8速AT仕様は既報の通り。今回は、2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンに、新たに8速ATを組み合わせたSUV「3008GT BlueHDi」に試乗した。これが、想像以上によかった!

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ちなみに、搭載するエンジンの最高出力は177psであるが、以前と比べ出力は3ps低下した(従来は180ps)。これは、CO2排出量を厳しく制限する「ユーロ6.2」規制に対応せんがためだ。最大トルク400Nmは数値的に変わりないものの、発生回転域が1750rpmから2000rpmと、やや高くなった。

エンジンスペックだけ見ると、従来モデルのほうが若干パワフルなのは明白だ。だからといって新型が劣るわけではなく、むしろ、爽快な走りが楽しめるのが、新しい8速AT採用のカンどころといえる。

多くのSUVは、アメリカ市場をメインマーケットのひとつに捉えている。だから、より豪華でよりパワフル、かつスペック数値で優らんがゆえに、大きく、重くなっているSUVが少なくない。

しかし、プジョー、シトロエン、DSはアメリカ市場で商売していないためか、“地元の欧州市場まずありき”的な姿勢を崩しておらず、個性豊かなSUVをラインナップする。これらのモデルは、良質な素材の味をシンプルに引き出す「ビストロノミー」的発想やロジックで造られているように思う。だから“豪華”“パワフル”といったキーワードから少し外れているように思う。3008もまさにそうだ。それがまた魅力である。

独自の魅力を有する3008が、なぜ新たに8速ATを採用したか? 理由は簡単で、前述の「ユーロ6.2」規制対応のため、低速トルクとトップエンド域の伸びを少し絞った分を、6速から2速増えたギアとギア比でカバーするためだ。

元々、プジョー3008はガソリン仕様で車両重量1.4t強だから、1.5t超えがスタンダードになったCセグメントSUVのなかでは軽い。2.0リッターディーゼル仕様でも1.6t少々だ。だから、8速AT化にあたって、6速よりトランスミッション自体の重量は微増したが、影響はほぼないに等しい。むしろ容積は減ったため、全体で約4%の効率向上を果たしたそうだ。また、シフトリンケージをフライ・バイ・ワイヤ化するなどした結果、燃費も向上したという。

今回は都内中心に試乗したが、6速ATの頃に比べ、明らかにシフトマナーが滑らかになっていた。数値だけ見ればトルクは少し細くなり、かつ高回転域のパワーは絞られているものの、エンジンパワーの凹みがどこにも感じられなかったのだ。

ディーゼル特有のトルクゆたかな加速感も健在であるが、これにも新型8ATは寄与している。ちなみに、街中の速度域であれば5速でカバーするし、首都高・湾岸線程度の速度域(80~100km/h)であれば7速で十分カバーする。8速まではなかなか必要としなかった。

ちなみに、ドライブモードで「スポーツ」を選べば、走りを予感するエキゾーストノートとともに、8速ATは加速&レスポンス重視のシフトスケジュールに変わる。これにより、3008GT BlueHDiは絶妙なハンドリングマシンと化すのだ。パドルシフト付き小径ステアリングが、さらに運転を愉しくする。

2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンゆえ鼻先の重さは確かに感じるものの、走りへのデメリットはほとんどない。ロールはよく抑えられているし、乗り心地は適度にソフトだから、長距離を走っても乗員(とくにドライバー)は疲れにくいはずだ。

最近のSUVは、その兄弟車たるセダンやハッチバック並みのパフォーマンスを自慢するモデルも多い。しかし、3008GTは異なる。セダンやハッチバックと同じクルマを目指さない、といった割り切りがいい。何にでも手を出し、何でも盛り込んだ結果、総花的に田舎臭くなってしまったSUVとは一線を画する。しかも、6ATから8ATに進化し魅力は大幅アップ! プジョー 3008は、あらゆる人に勧められる万能SUVである。

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