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【Q&A】高速道路の中央分離帯、植物があるナゾに迫る! 実は絶滅危惧種も存在だって!?

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【Q&A】高速道路の中央分離帯、植物があるナゾに迫る! 実は絶滅危惧種も存在だって!?



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高速道路の中央分離帯に植物が植えられているワケ

SAやPAなど、高速道路の至るところに存在する大小さまざまな緑地。特に走行しているとしばしば目に入ってくる中央分離帯の緑地は、いつ見てもきれいに整備されています。場所が場所ですし、いつ手入れをしているのか疑問ですし、そもそもなぜあんなところにあるのか不思議です。

何気ない景色のひとつとしてあまり気にしたことはないかもしれませんが、中央分離帯の植物には、ちゃんとした存在理由があります。

高速道路の管理運営をおこなっているNEXCO東日本によると、中央分離帯の緑地には交通安全性の向上を目的として、主に3つの効果を及ぼしているといいます。

◆効果1:ヘッドライトの眩しさを防ぐ

まず挙げられるのは、ヘッドライトの眩しさを防ぐ効果です。この効果が求められた背景にはふたつの要因が考えられます。

ひとつは近年、ハロゲンに比べ長寿命で消費電が少ないだけでなく光量も高いLEDヘッドライトを採用したバイクやクルマが増加していることです。夜間や悪天候でも前方を明るく照らしてくれるため、使用者の安全には寄与しますが、ときに対向車の安全を脅かしかねません。

―― 中央分離帯に植物が植えられているのは、反対車線のヘッドライトの影響を受けにくくするため。

もうひとつは、2017年3月の改正道路交通法施行により、クルマの夜間運転は原則ハイビームとなったことです。すれ違い時はロービームに切り替えることも謳われているものの、交通量の多い高速道路では、すべての対向車には配慮しきれない場合もあります。

こうした事情も相まって、中央分離帯に緑地を設けることが高速道路利用者の安全に繋がっているのです。

◆効果2:道路の形状をわかりやすくさせる

次に挙げられるのは、ライダー/ドライバーに道路の形状をわかりやすくさせる効果です。

直線の多い高速道路とはいえ、主に山間部などでは地形に沿って緩やかなカーブとなっている区間も存在します。曲がっていく方向をいち早くライダーに認知させることによって、適切なスピード/バンクでのライディングをアシストしています。

また近年はスマートフォンのナビ機能が急速に発達し、バイクでもより早い段階で進路形状を把握できるようになりました。緑地とナビの両方から情報を取り入れることで、より安心安全に高速ツーリングを楽しめるようになります。

◆効果3:景観に変化をつけて注意を促す

最後は、単調になりがちな景観に変化をつける効果です。

スピードの緩急が少なく景色の変化も乏しい高速道路では、長時間の走行で集中力が保てず注意散漫になりがちです。こうした状態が続くと、眠気を誘発してしまい事故や転倒につながります。

緑地があるだけでも景観に変化が生まれ、ライダーの集中力低下をある程度防ぐことができるのです。

―― 植物があるのとないのとでは、道路の進行方向の視認性が大きく変わる。

ただし、眠気や注意力維持については、ライダー自身のコンディションによるものが大きいため過信は禁物。少し疲れ始めたら、早めにSAやPAで休息をとることが大切です。

◆その他にも効果あり! 役立つ中央分離帯の植物

ちなみに副次的な効果としては、事故や転倒により万が一突っ込んでしまっても、樹木がクッションとなり人体への被害を最小限に抑えられることも挙げられます。

またライダー自身が直接恩恵を受けることではありませんが、中央分離帯以外の緑地全般に関しても、騒音の低減/温室効果ガスの吸収などの環境保全機能や、景観調和/利用者へのサービス向上などの景観形成機能を担っています。

快適に高速道路を利用するためだけではなく、近隣住民の生活や地球環境を守る上で、緑地の存在は必要不可欠です。

実は絶滅危惧種も植えられている!

なお緑地に使用される植物は、基本的に近傍の地域に自然分布している種の種子を採取し、育成させたものです。これを地域性苗木と呼び、その土地の樹種固有の遺伝子を保存することを目的としています。なかには、発芽や育成が難しいものや市場に流通していないもの、レッドデータブックに絶滅危惧種として指定されているものもあります。

緑地自体は1963年、日本初の高速道路である名神高速道路の開通時点ですでに存在していましたが、地域性苗木の利用は1996年、中央高速道の八王子ジャンクションが始まりでした。これには、1993年”生物多様性に関する条約”の締結・発行による、遺伝子レベルでの種の保存に関する研究が推し進められたという背景があります。

NEXCOは高速道路の管理・運営だけでなく、こうした緑地の維持管理及び植物の育成にも力をいれており、グリーンインフラの活性化に大きく貢献しています。

こうして培われた地域性苗木の技術は今後、生物多様性国家戦略にて、一般道や林道の建設にも応用していく見解を示しています。

走行中に緑地に注目することは難しいですが、SAやPAでの休息時などに、地域ごとに異なる特色の緑地を楽しむと、より高いリラックス効果を得られていいかもしれませんよ。

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