ホンダの名門車、アコードがついに通算10代目となる新型へモデルチェンジ!
2019年8月2日、ホンダは10代目となる日本仕様の新型アコードを公式HP上で先行公開。この新型は2017年秋に北米で販売を開始。
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日本での発売に関しては沈黙を貫いていたが、10月に開催される東京モーターショーで日本仕様がいよいよベールを脱ぐようだ。正式発売は2020年の年明け早々になるだろう。
……が、アコードの2018年国内販売台数は年間1902台。月平均で僅か159台に留まる。いつしかアコードは日本のユーザーにとって縁遠い存在になってしまった。
今から20年前の1999年時点でも年間3万9026台を販売していたアコードは、ホンダの中核を担うファミリーカーだった。
特に印象的だった3台の歴代モデルを振り返ると、かつてのアコードにあって今のアコードからは薄れてしまった“持ち味”が見えてくる。
文:片岡英明
写真:HONDA
北米で先行発売!! 来年登場の新型アコードはどうなる?
日本仕様のモデルチェンジに先立って北米で販売中の現行型アコード(写真はSport 2.0T)。全長×全幅×全高は4882×1861×1450mmと、国産車ではカムリに匹敵する大柄なボディを持つ
10代目アコードは、現行の9代目とほとんど同じ大きさだ。
が、ホイールベースを延ばしながらもオーバーハングを切り詰めたことにより、全長は同等か、それ以下に抑えられている。全幅は10mmほど広げられているが、全高を下げたこともあり、伸びやかさが際立つフォルムとなった。
デザインは最近のホンダのトレンドに沿ったもので、6ライトウインドウの採用によってプレミアム感を強めている。
キャビンは高級感あふれるデザインだ。現行モデルよりすっきりとまとめられ、中央にセットしたディスプレイも見やすく操作しやすい。先進のコネクティビリティ技術やヘッドアップディスプレイ、自動ブレーキを含むホンダセンシングも盛り込まれるだろう。キャビンは広く、後席でも快適性が高いという。
シビックと同じホンダ・グローバルスモールプラットフォームを採用し、パワートレインは、シビックのタイプRと基本的に同じ構造の2L直列4気筒ターボエンジンと1.5Lの直列4気筒DOHCターボ、そして新世代の2L・2モーター式ハイブリッド(i-MMD)を設定する。
2Lのターボエンジンには10速ATを組み合わせた。日本に導入されるのはハイブリッド車だけなのか、気になるところだ。
アコードは日本にもファンが多い上質なファミリーカーである。1970年代からシビックとともにホンダの屋台骨を支え、先進的な装備とスポーティな走りも話題をまいた。
初代アコードは1976年春に登場したが、ポジションとしてはシビックの上に位置するミドルサイズのファミリーカーだったのである。
が、北米市場で好評だったことから、モデルチェンジのたびに肥大化し、ついにはアッパーミドルクラスに移っている。
日本のユーザーを魅了した歴代アコード 3選
【1】5代目アコード/1993-1997年
全長4780×全幅1780×全高1455mm(ワゴン)で歴代初の3ナンバー車となった5代目アコード。セダンのほかワゴンもラインナップし、スポーツグレードのSiRも双方に設定された
歴代のアコードのなかで最高傑作だと思うのは、1993年秋に登場した5代目のCD系アコードだ。
真のフルモデルチェンジを果たし、日本でも海外でも売れに売れた。初めて3ナンバーのワイドボディを採用したが、これによって世界トップレベルの衝突安全性能を手に入れている。
デザインも魅力的だ。エレガントだが、強い存在感を放ち、クーペとステーションワゴンも秀逸なデザインだった。2.2Lの直列4気筒DOHC・VTECをリーダーとするパワーユニットもパンチがある。
4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションも剛性の高いボディとの相乗効果により、軽快な身のこなしを見せ、制動性能も優れていたから運転するのが楽しかった。廉価グレードでも満足できたが、乗って楽しかったのは余裕に満ちたSiRだ。
【2】3代目アコード/1985-1990年
3代目アコード 2.0Si。全長4535×全幅1695×全高1355mm。セダンのほか個性的なエアロデッキもラインナップ。トップグレードのSiは2Lエンジンで160psを発揮した
ホンダらしいスタイリッシュなデザインと走りのよさに心ときめいたのは1985年6月に登場した3代目のCA系アコードである。
強いインパクトを与えたのはエクステリアで、リトラクタブルヘッドライトの採用に驚かされた。また、3ドアハッチバックはスポーツワゴン風味の粋なデザインを採用し、「エアロデッキ」を名乗っている。
パワートレインも一新し、2L直列4気筒DOHCのB20A型は総アルミ製の手の込んだエンジンだ。B20A型エンジンを積んだエアロデッキ 2.0Siは多くの人の憧れだった。量産のFF車としては初となる4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションも見応えがある。
また、北米で生産されている左ハンドルの2ドアクーペを導入したことも画期的な試みだった。3代目はニュースにあふれていたのだ。
【3】7代目アコード/2002-2008年
7代目アコード ユーロR。全長4665×全幅1760×全高1450mm。2Lエンジンはリッター100馬力を超える220psを発揮した屈指の高性能モデルだった
3番目は悩むが、日本人好みの最後のアコードとなった7代目のCL系を選んでみた。
日本の道路で使いやすい最大サイズのアコードで、今につながるインターナビシステムやホンダインテリジェントドライバーサポートシステムも採用。
2.4Lエンジンもあるが、感動したのは専用パーツによってチューニングした2Lの直列4気筒DOHC・VTECエンジン(K20A型)だ。
これを積んだ「ユーロR」は6速MTの採用と相まって刺激的な走りを見せた。4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションも、ホンダらしいこだわりの強いセッティングだ。
アコードに欠かせない「日本を第一に考えた商品づくり」
歴代アコード(手前=7代目、後列左から順に初代~6代目モデル)。“夢のあるファミリーカー”としてホンダの屋台骨を担ったのが、かつてのアコードだった
アコードらしさに欠かせないのは、日本のファンを第一に考えた商品づくりである。
8代目以降のアコードは全長が延び、全幅も1800mmを超えてしまったから5ナンバーのアコードで育ってきたファンには取っつきにくい。
駐車スペースは限られているから、日常の使い勝手が悪いアコードは選択肢に入らないのである。
デザインも今のアコードは大味だ。海外ではいいが、日本では初代や3代目に見られた主張やこだわりがないように感じてしまう。
品のある個性を備え、しかもスポーティな味わいもある、というのが、日本人にとってのアコードのイメージなのである。インテリアも同様だ。
限られた枠のなかで、ファンの予想を超えた驚きがないと日本人はアコードとは認めないのである。
今のアコードは日本人のためのファミリーカーではないから、多くの人はそっぽを向いてしまうのだろう。これはシビックにもいえることだ。
今のアコードにヘリテージを感じないのは、日本のファンのためのファミリーカーではないからで、“アルバムの写真のアコード”とはデザインも思想も違うのである。
日本人が好きなアコードは造りが緻密で、高度なメカニズムを満載した「夢のあるファミリーカー」なのだ。
日本仕様の現行型アコード。ホンダの2モーター式HV「i-MMD」搭載車の先駆けだが、販売面では苦戦が続く
◆ ◆ ◆
日本仕様の現行型アコードは2013年に発売。現在はハイブリッド専用車となっている。
トヨタのカムリはそれなりに日本市場で成功しているのだから、アコードもやり方次第で売れる可能性がないわけではないはず。
古豪復活に期待したい。
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