現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【比較試乗】「BMW・3シリーズ vs アルファロメオ・ジュリア」スポーツセダンのエントリーモデルで走る愉しさを満喫する旅

ここから本文です

【比較試乗】「BMW・3シリーズ vs アルファロメオ・ジュリア」スポーツセダンのエントリーモデルで走る愉しさを満喫する旅

掲載 更新 12
【比較試乗】「BMW・3シリーズ vs アルファロメオ・ジュリア」スポーツセダンのエントリーモデルで走る愉しさを満喫する旅

BMW318iとアルファロメオ・ジュリア ・ スプリントというスポーツセダンのベーシックグレード2台で長野県の美ヶ原高原を目指した。 絶景と変化に富んだコーナーが続くビーナスラインを走りながらセダンについて向き合った。実は当初 「紅葉と秋の味覚を楽しもう!」 などと、 行楽気分で走り出したのだが、目的地付近はマイナス1℃、 そして、 すでに粉雪が舞い始めていた……。

318iのエンジンはバランス感が秀逸!

【比較試乗】「マツダ・マツダ3 セダン vs メルセデス・ベンツ Aクラス・セダン」日独のコンパクトセダンで都会を抜け出て温泉地へ

スポーツセダンのベンチマークであるBMW3シリーズ。そのベーシックグレードを担う318iが日本でリリースされた。時をほぼ同じくしてアルファロメオのスポーツセダンであるジュリアもラインナップ体系を改め、そのベーシックモデルが往年の名称スプリントに改められた。

というわけで今回はこの2台を連れ出して、信州までショートトリップと決め込んでみた。

端的に言ってしまえば318iとジュリア・スプリントは、まったく正反対の性格を持つスポーツセダンであると筆者は思う。318iは、長らくこのセグメントで先頭を走り続けてきた3シリーズの末っ子だけのことはあり、本当に隙がない。先代比で最大55kgもの軽量化を果たしたボディは、ハイテンションスチールを多用しながらも、その反発感や安っぽい共振などを一切感じさせることなく、走り出した瞬間からボディ剛性の高さ、ひいては上質感を濃厚に訴えかけてくる。

そのボディの真価は、まず乗り味に現れる。可変機構など持たないダンパーはきちんと伸縮し、ランフラットタイヤの硬さこそわずかに残るけれど、路面からの入力を見事に減衰する。ステアリングを切れば、微少舵角からまったりと路面をつかんでくれる。

行きと帰りの高速道路ではこのまったり感に癒やされながら突き進む。うねりのあるカーブでは4輪が巧みにこれを乗り越える。

上質な弱アンダーステアを維持したまま、グーッと横Gを増やして行く上り坂に下り坂。ここがドイツなら、間違いなくアクセルを踏み込む場面だ。しかしそれは決して床まで一気に右足を踏み抜くような運転ではなく、後輪に押し出されるようにして速度を乗せて行く走りが似合うはずである。

そんな大人びた走りをする上で、この2L直列4気筒ターボは実にいい仕事をする。パワー&トルクはたったの156ps/250Nmしかないのだが、ターボのピックアップと8速ATのコンビネーションが、数字を意識させない。その回転上昇感には当然6気筒のようなエモーショナル性はないのだが、低回転域からもたつくことなくトップエンドまで吹け上がる様は見事で、気持ちよさだけでなく誠実さすら感じさせられる。どこから踏んでもフラットでフレキシブル。ベーシックグレードのエンジンとしては、ちょっとできすぎなほどバランスの良い直列4気筒ユニットだと思う。

ベーシックなジュリアでも走りの世界へと誘う

非の打ち所のないベーシック感をこれでもかと打ち出してくる318iから乗り換えると、ジュリアはスプリントでも“エモい”。見た目こそ3シリーズのような押し出し感はないけれど、それはアルファ・ロメオの美意識であり、走らせればドライバーの気持ちを、本当に上手にくすぐってくる。

乗り心地はマイナーチェンジを経てさらにコンフォート性を増したと感じていたのだが、318iと比べれば断然スポーティ。そしてステアリングを切り始めると、鋭くノーズが切れ込んで行く。

これは11.8:1というクイックなステアリングギアレシオだけでなく、シャシーの躾けそのものが前のめりだからだと思う。318iはステアリングを切っても、車体が水平なまま曲がろうとする。対してジュリア・スプリントは、絶妙に前下がりなロールセンター軸にそって、ボディ全体で曲がって行こうとするイメージ。その際リアサスがほどよく伸びてコーナリングにキレ味が増す。

エンジンもわかりやすく吠える。DNAモードを「N」(ナチュラル)に入れる限りは猫を被っているけれど、「D」(ダイナミック)モードでブーストを引き上げれば、ガロガロと乾いたサウンドでマフラーを鳴らす。そこには自然吸気ユニット時代のような高密度感はないが、現代のユニットとして乗り手を喜ばせようとするアルファの気概が感じられる。レブリミットは5500rpmと318iに比べて低めだが、トルクがピークに達する際のパンチが効いており、積極的に回したくなる。そういう意味ではMTに乗りたくなるが、このパンチ力は8速ATのギア比にも助けられているはずだから、これはひとつのまとまったパッケージングなのだと思う。

そんなシャシーとエンジンが組み合わさるわけだから、走らせて面白くないわけがない。ビーナスラインに着いてからはまさに独壇場で、小さなステアリングを切り込みながら、気持ち良くワインディングを泳ぎ周ることができた。

もちろん318iも走りの偏差値は高かった。スポーツモードで電動パワステを座らせてやれば格段にその操作性が落ち着きを見せ、セオリー通りにブレーキでフロント荷重を保ち、ステアリングを切り込んで行けば、4ドアスポーツセダンと呼ぶに相応しい、お手本通りの奥深い走りを見せてくれる。

しかし318iと比べれば、ジュリア・スプリントはもはやちょっとしたスポーツクーペだ。そして318iにこの走りを求めるようとするならば、BMWは「それなら420iクーペをどうぞ」と言うのではないか? と思えた。そういう意味でいうとBMWはすでに住み分けを完了しており、318iは4ドアセダンの役目をまっとうしていると言えた。

ショート・トリップとはいえ今回のように600km近い距離を走るとき、家族がいるならば、その安定感やリアの居住空間の広さも含めて、間違いなく318iをお勧めする。逆を言えばふたりで熱い時間を過ごすなら、断然ジュリア・スプリントだ。

SUVが全盛の今、4ドアセダンの見方を変えること、つまりはクーペ的な乗りこなしをすることは、ひとつのヒントなのではないか? と、アルファロメオには教えられた気がする。どちらが優れているというよりは、どちらを選ぶかだ。この2台のスポーツセダンは、素晴らしいライバル関係にある。

【Specification】ALFA ROMEO GIULIA 2.0 TURBO SPRINT
■全長×全幅×全高=4645×1865×1435mm
■ホイールベース=2820mm
■車両重量=1590kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1995cc
■最高出力=200ps(147kW)/4500rpm
■最大トルク=330Nm(33.7kg-m)/1750rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:マルチリンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=225/45R18:255/40R18
■車両本体価格(税込)=4,600,000円
お問い合わせ
FCAジャパン 0120-779-159

【Specification】BMW 318i
■全長×全幅×全高=4715×1825×1440mm
■ホイールベース=2850mm
■車両重量=1540kg
■エンジン種類/排気量=直4DOHC16V+ターボ/1998cc
■最高出力=156ps(115kW)/4500rpm
■最大トルク=250Nm(25.5kg-m)/1350-4000rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション(F:R)=ストラット:5リンク
■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=205/60R16:205/60R16
■車両本体価格(税込)=4,890,000円
お問い合わせ
BMWジャパン 0120-269-437

【TRIP GUIDE】
ビーナスライン

長野県茅野市から同県上田市の美ヶ原高原美術館にまで至る全長約76kmの観光山岳道路。和田峠−美ヶ原台上、武石観光センター−美ヶ原台上、松本市街−ビーナスライン扉峠の区間は11月下旬は冬季通行止めとなるから注意。

【Another Choice】NISSAN SKYLINE 400R/ニッサン・スカイライン400R

日本のスポーツセダンだって負けていない!

318iやジュリアにオプションを乗せる予算があるならば、これを選ぶのもひとつの手。その身のこなしは405psを後輪だけで制御するセダンとは思えないほど洗練されている。これでMTがあれば言うことないのに!

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「ルノー・セニック E-Techエレクトリック」が「モーター・トレーダー・インダストリー・アワード2024」で「ニューカー・オブ・ザ・イヤー」受賞
「ルノー・セニック E-Techエレクトリック」が「モーター・トレーダー・インダストリー・アワード2024」で「ニューカー・オブ・ザ・イヤー」受賞
LE VOLANT CARSMEET WEB
BMW R1300GSアドベンチャーをイギリス人レーサーが斬る「30Lタンクの巨体で攻めの走りができる…そのシャシーと電子制御に驚愕だ」
BMW R1300GSアドベンチャーをイギリス人レーサーが斬る「30Lタンクの巨体で攻めの走りができる…そのシャシーと電子制御に驚愕だ」
モーサイ
軽さと居住性を両立したバックパッキングテント「Thouswinds サジタリアスシングルテント」が発売!
軽さと居住性を両立したバックパッキングテント「Thouswinds サジタリアスシングルテント」が発売!
バイクブロス
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」  理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」 理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
くるまのニュース
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
レスポンス
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
AUTOSPORT web
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
乗りものニュース
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
くるまのニュース
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
motorsport.com 日本版
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
レスポンス
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
Auto Messe Web
フォード、伝統のバハ1000で『ブロンコDR』と『レンジャー・ラプター』が主要部門を制覇
フォード、伝統のバハ1000で『ブロンコDR』と『レンジャー・ラプター』が主要部門を制覇
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、出鼻を挫くパンクは「大きな衝撃がなかった」と驚き。DAY2は”抑えめ”の走りに|WRCラリージャパン
トヨタ勝田貴元、出鼻を挫くパンクは「大きな衝撃がなかった」と驚き。DAY2は”抑えめ”の走りに|WRCラリージャパン
motorsport.com 日本版
最強の4気筒「メルセデスAMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は限定300台
最強の4気筒「メルセデスAMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は限定300台
AutoBild Japan
アイオニック5からコナへ!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート5】
アイオニック5からコナへ!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート5】
AUTOCAR JAPAN
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
くるくら
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
くるまのニュース

みんなのコメント

12件
  • 20年乗ったスカイラインから乗り換えを検討中。ボディーは力だ!のコピー通り、その剛性感は路地を曲がるだけ、ブレーキを踏むだけで運転の楽しさをもたらしてくれた。皆さんも、シートの背もたれとシートベルトの付いてるピラーの間に手を入れて歩道の段差など乗り越えて、ボディーのねじれを体験して欲しい。その違いが運転に影響するのを知って欲しい! そう考えると国産車の候補はグッと絞られるし、高級な車格になる。一方で輸入車はエントリーモデルからそこは上級モデルと差はない。エアバッグなどの安全性も全グレード、タイプで十分。そうなると、車を選ぶ基準はメーカーの理念の違いや特性になる。それでこそ嗜好品になり得る。
  • BMW非力過ぎでしょう。
    フル乗車した途端に加速に不満爆発しそう。
    どうしてもエンジンの回転上がるから、四気筒だと振動とガサツなエンジン音・排気音が出ちゃう。
    タイヤやブレーキ周りがオーバースペックだし。
    そもそもなんでここまで頑丈で重いのか考えなきゃ😂
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

697.01445.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

143.01180.0万円

中古車を検索
ジュリアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

697.01445.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

143.01180.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村