国産中古スポーツカーの価格高騰が止まらない。例えば、2021年3月に2022年3月をもって生産終了するとアナウンスしたホンダS660。
その後の社長就任会見で2040年までにグローバルでEV、FCVの販売割合100%を目指すと発表したことが起爆剤となり、中古車相場が上昇。
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2021年3月の時点で約600台あった中古車が5月には100台を切り、現在は約150台まで戻しているものの、平均価格は2021年5月からの1ヵ月で71万円アップし、現在は約269.3万円まで上昇している。なかには車両本体価格が500万円を超える中古車も出回っている。
そこで、今回は2021年上半期の中古車総括として、2020年6月から1年間での値上がり幅が大きかった日本車の絶版スポーツカーTOP10を紹介する。
文/萩原文博
写真/トヨタ、日産、ホンダ、ベストカー編集部、ベストカーweb編集部
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■高騰絶版車ランキング10位/現行FK8型シビックタイプR 値上がり額:約74.8万円
2020年10月9日にマイナーチェンジを実施したシビックタイプR。国内限定200台のリミテッドエディションも発売された
現行型シビックタイプRの中古車情報はこちら!
まずは第10位。1年前の中古車の平均価格が約420万円で、現在は約494.8万円と約74.8万円値上がりした現行型ホンダシビックタイプRだ。
第10位でも70万円以上の値上がり幅を記録していることからいかに国産中古スポーツカー市場が高騰しているかがよくわかる。
現在、現行FK8型シビックタイプRの中古車は64台流通していて、中古車の流通台数も増加傾向だ。中古車の価格帯は約378万~約1200万円と、とうとう1000万円オーバーの中古車が市場に出回り始めた。
エンジン車の終了宣言に加えて、新車時価格を上回る約580万円以上の価格で販売されている、エアロパーツで空力性能を向上した後期型が出回ったこと中古車相場の値上がりに影響を与えている。もし限定車のリミテッドエディションの中古車が出回ると1000万円を超えるプライスを付けるのは確実だ。
■高騰絶版車ランキング9位/ホンダS2000 値上がり額:約76.6万円
S2000はホンダ車唯一のFRオープンスポーツ。搭載されるF20C型2L、VTECエンジンは最高出力250ps/22.2kgmを発生する
S2000の中古車情報はこちら!
第9位もホンダ車でFRオープンカーのS2000となった。1年前の平均価格は約252万円だったが現在は328.6万円と約76.6万円もアップした。
現在S2000の中古車の流通台数は194台で1年前の164台よりは増加傾向となっている。中古車の価格帯は約177万~約1100万円とS2000でも1000万円オーバーの中古車が出回っている。
しかしこの最高値のクルマはチューニングカーという特殊なモデル。このモデルを除けば、約900万円となるが、700万円以上のクルマが6台。
500万円以上のクルマが58台と高額の中古車が出回り、平均価格が76.6万円も値上がりしているのだ。その一方で200万円以下の中古車は約10台と価格の安い中古車は減少の一途となっている。
■高騰絶版車ランキング8位/初代ホンダインテグラタイプR 値上がり額:80.2万円
FF最強のハンドリングマシンと称された初代インテグラタイプR。搭載されるB18C型1.8L、VTECエンジンは最高出力200ps/18.5kgmを発生
初代インテグラタイプRの中古車情報はこちら!
第8位もホンダ車となった。1年前の平均価格が約150万円、そして、現在の平均価格が230.2万円と約80.2万円アップした初代インテグラタイプRだ。
中古車の流通台数は1年前の21台から42台と倍増しているが、中古車の価格帯を見てみると、最低価格は約95万円から約128万円と30万円のアップに留まっているが、最高値は約400万から約899.9万円へと倍以上値上がりしているのだ。
最高値の中古車は走行距離1.6万kmのバリモノだが、それ以外でも1年前の最高値を上回る400万円以上の中古車が、現在では7台も流通しているのだ。20年以上の中古車だが、新車時価格を上回るプレミアム価格の中古車がたくさん流通している状況だ。
■高騰絶版車ランキング7位/日産S15型シルビア 値上がり額:約88.7万円
ドリフト走行車としてのイメージが根強いS15型シルビア。1999年1月から2002年8月まで、計4万3097台が生産された
2Lターボエンジン搭載のスペックRは最高出力250ps/28.0kgm(MT車)を発揮する
S15型シルビアの中古車情報はこちら!
1年間の中古車平均価格の値上がり額が約88.7万円を記録し、第7位となったのが日産S15シルビアだ。先代モデルは3ナンバーとなったが、最終型となったS15シルビアは5ナンバーサイズへとシェイプアップされ、現在でもドリフト競技などで現役マシンとして活躍しているモデル。
1年前の平均価格は約142万円だったが、現在は230.7万円まで上昇している。そして中古車の価格帯も値上がり傾向に連動して、1年前の約48万~約369万円から現在は約98万~599万円へと高騰している。
高価格帯はチューニングカーが中心なので高騰は仕方ないが、注目は最安値。わずか1年前はS15型シルビアの中古車で50万円を切るものもあったのに、現在では98万円まで値上がりしている。
今後二桁万円の中古車が姿を消すのも時間の問題だろう。流通台数は1年前の約200台から約130台へと減少しているので、価格の安いS15型シルビアを探している人は急いだほうがいい。
■高騰絶版車ランキング6位/初代ホンダシビックタイプR 値上がり額:約92.5万円
初代シビックタイプRに搭載された1.6L、VTECエンジンは最高出力185ps/16.3kgmを発生。リッターあたり116psという高効率を実現した
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そして第6位となったのが、初代ホンダシビックタイプR。1年前の平均価格は約180万円だったが現在は272.5万円まで値上がりし、値上がり額は約92.5万円となっている。
中古車の流通台数は31台から60台と倍増しているものの、価格帯は約110万~約389万円だった1年前から、現在は約150万~約798万円と最安値だけでなく、最高値も高騰しているのだ。
なかでも大きな影響を与えているのは最高値の中古車で、稀少なイエローのボディカラーの最終型の1.6X。走行距離は6.2万kmだが、ガレージ保管というクルマだ。
初代シビックタイプRの中古車の平均走行距離は約13万kmと延びているので、6.2万kmはかなりキセキの中古車だ。生産終了から約20年が経過しているにも関わらず、中古車が流通しているだけでなく、値上がりしているというのは、初代シビックタイプRが神格化している表われと言えるのかもしれない。
■高騰絶版車ランキング5位/日産R33型スカイラインGT-R 値上がり額:約123万円
R33型GT-R。キャッチコピーに「マイナス21秒ロマン」を掲げたとおり、ニュルブルクリンク北コースのラップタイムを先代から21秒短縮した
R33型スカイラインGT-Rの中古車情報はこちら!
いよいよベスト5。先に言ってしまうとここからランクインしている中古車は、平均価格が1年間で100万円以上値上がりしているモデルとなっている。
それを踏まえて第5位となったのは、日産R33型スカイラインGT-Rだ。1年前の中古車の平均価格は約450万円だったが、現在は約573万円まで値上がりし、値上がり額は約123万円を記録した。
R32~R34までの第2世代GT-Rのなかで、ボディサイズが大きく、ホイールベースが長くなったR33型は人気薄だった。
しかし、2020年に北米の25年ルールに適合するようになってから状況が一変し、値上がり傾向が顕著となってきた。1年前の中古車の価格帯は約250万~約1400万円だったが、現在は約378万~約1699万円と高騰している。
特に最安値は、200万円台から400万円に手が届くところまで値上がりしている。この勢いで行けば、年末までには最低価格は450万円ぐらいまで上がるのは容易に想像できる。
■高騰絶版車ランキング4位/マツダFD3S型RX-7 値上がり額:約137.5万円
RX-7に特有のロングノーズ&ショートデッキのスタイルは今も全く色あせていない。最後の限定車であるスピリットRタイプAは5速MT、最高出力280psの歴代最強モデル
FD3S型RX-7の中古車情報はこちら!
そして第4位はマツダRX-7。ここでは1991年~1997年9月までのアンフィニRX-7を除いた1997年10月~2002年8月までのモデルに絞っている。
1年前の平均価格は約287万円だったが、現在は424.5万円と約137.5万円の値上がりを記録した。流通台数が133台から68台へと減少し、価格帯は約135万~約985万から現在では約288万~約899万円となっている。
最高値が下がっているものの、最低価格は100万円台の中古車がなくなり、300万円近くまで値上がりしているのだ。
しかも500万円以上の価格を付けている中古車が約13台もあり、中古車全体がボトムアップしていることがわかる。メーカーによるパーツ供給も強化されており、RX-7の延命ができるようになり、さらに人気が高まっているといえる。
■高騰絶版車ランキング3位/STIコンプリートカー S207 値上がり額:約210万円
2015年10月に限定400台で販売されたS207。フロントには国内メーカー初採用のビルシュタイン製可変減衰力サスペンション「DampMaticII」を採用
S207の中古車情報はこちら!
いよいよベスト3の発表となった。まず第3位は絶版車となったスバルWRX STIをベースとしたコンプリートカーのS207だ。
1年前の平均価格は約448万円だったが、現在では約658万円となり、約210万円の値上がり幅を記録している。その後登場した、S208の中古車の平均価格がこの1年間820万円で横這いとなっていることを考えると、1年前のS207の中古車相場は割安だったといえるかもしれない。
現在S207の中古車は6台流通していて、価格帯は約548万~約798万円となっている。1年前の中古車の流通台数は約2台だったことを考えると流通台数の増加は歓迎したいが、この値上がり幅は驚きを隠せない。WRX STIをベースとした特別仕様車のRA-Rやファイナルエディションも高値安定が続くのはこの値上がりを見れば容易に想像できる。
■高騰絶版車ランキング2位/日産R32型スカイライン 値上がり額:241.5万円
1990年代に世界一の操縦性能を実現することを目指した901運動の成果として誕生したR32型スカイライン。モータースポーツの世界でも数多くの功績を残した
R32型スカイラインGT-Rの中古車情報はこちら!
そして第2位は、値上がり幅241.4万円を記録した日産R32型スカイラインGT-Rだ。1年前の中古車の平均価格は約390万円。そして現在は631.4万円まで値上がりしている。
懸念されるのは流通台数の減少で、1年前の114台から現在は47台となっている。中古車の価格帯は約249万~約1800万円だった1年前から約418万~約1699万円となっている。
R32型スカイラインGT-Rでも1年前は200万円台の中古車が流通していたにも関わらず、現在の最低価格は約418万円へと上昇。このままいけば中古車の最低価格が新車時価格を上回るのも時間の問題となってきた。
■高騰絶版車ランキング1位/日産R34型スカイラインGT-R 値上がり額:約852.7万円
写真のGT-R VスペックII ニュルとMスペックII ニュルは2002年2月に計1000台限定で販売された
熟成を重ねたRB26DETT型ツインターボエンジン。標準車のエンジンヘッドがレッドなのに対し、最終型ニュルはゴールド
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国産スポーツカーのなかで平均価格の値上がり額第1位となったのは、日産R34型スカイラインGT-Rだ。1年前の平均価格は約950万円だったが、現在は約1802.7万円と約852.7万円と倍増してぶっちぎりのトップとなった。
1年前の価格帯は約600万~約2150万円だったが、現在は約1280万円~約3580万円と1000万円以下の中古車が姿を消している。
中古車の流通台数は63台から54台と減っているが、R32やR33と比べると減り方は少なめだ。
とはいえ、最新型のR35GT-Rの新車価格を上回る中古車相場となったR34型スカイラインGT-R。この高騰はいつまで続くのか。もはや神のみぞ知るという状況となっている。
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