BMWの大型バイク「R 18」に設定された「Transcontinental(トランスコンチネンタル)」に田中誠司が試乗した。標準モデルとの違いとは?
専用装備の数々
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Transcontinentalとは、日本語に直せば“大陸横断”である。陸路の続く限りは走って目的地へ到達するのだ、という強い意思が、その車名にはある。
「R 18 Transcontinental First Edition」は、公道も走れるBMW製モーターサイクルの中でもっとも高額で、車両本体価格は403万2000円に設定された。大陸横断というテーマに、一切の妥協なく挑んだというのが、そこからうかがえるメッセージだ。
ベースとなるのは2020年10月に発売された「R 18」。長距離をリラックスしてこなせるライディング・ポジションを備えるクルーザーというカテゴリーを、BMWが久々に復活させ、これとあわせて1801ccというBMWモトラッド史上最大排気量の水平対向2気筒エンジンを、空冷OHV(オーバー ヘッド バルブ)という古典的な構造を用いて、新たにつくりあげた。
低回転から太いトルクを生む巨大なエンジンを搭載し、安定して走らせるため、長いホイールベースをもつスチール製ダブルクレードル・フレームが新設計された。これをベースに、考えうるあらゆる装備を追加したのが「R 18 Transcontinental」で、「First Edition」はホワイトのラインやクロームの装飾に彩られた特別バージョンである。
Transcontinentalには大型のフェアリング(風防)がフロントフォークにマウントされ、その上に大型のウィンドスクリーンが装着される。ライダーの膝の前にレッグシールドが、さらにそれらの隙間をふさぐディフレクターが備わり、ウィンドプロテクションは万全だ。
フェアリングの内部には、単眼式であったベースモデルのR 18とはことなり、4眼式アナログメーターと10.25インチの大型液晶スクリーンが加えられる。これとハンドル上のスウィッチを通じて、前走者との距離をレーダーで調整しながら速度をコントロールできる“アクティブ・クルーズ・コントロール”や、Marshall製のオーディオシステムを操作できる。
ベースモデルでは16リッターの燃料タンクは、24リッターへと拡大されたため、巡航可能距離は大幅に伸びた。拡幅されたタンクカバーの中央には、スマートフォンを収納し、充電も可能な小型ストレージが新たに設けられた。
ラゲッジスペースは、リヤシート背後に容量45リッターのトップケースが、シートの左右に各27リッターのパニアケースが用意される。これだけ容量があると、旅先に限らず普段の生活でも、自分の両手にぶらさげられる限界くらいの荷物は余裕で持ち運べるのがありがたい。重量と積載容量の増加にともない、リアサスペンションには自動車高調整機能が追加された。
このほか、前後輪連動式のABS、エンジンガード、シートヒーター、グリップヒーター、スターターモーターを利用して後進できる“リバース・アシスト”などが標準装備される。
なお、同時に発売された「R 18 B First Edition」(車両本体価格341万8500円)では、トップケースと後席バックレストを廃したシンプルなスタイルとなるほか、ウィンドスクリーンを小型化、ウィンドディフレクター、レッグシールド、エンジンガードなどを省き、シンプルな構成とされている。
巧妙にブレンドされた世界
カタログに記された「R 18 Transcontinental First Edition」の車両重量は427kg。燃料満タン状態で計測するという国交省への届け出値は、440kgである。ハーレーダビッドソンの同クラス「ロード グライド リミテッド」もほぼ同じ値(423kg)だが、ひと昔前の軽乗用車に匹敵する車重は、サイドスタンドを払って直立させる瞬間から強く意識せざるをえない。
R 18シリーズが搭載する新しいビッグツインの美点として、極低速におけるトルクの出方がとても滑らかであるため、発進と停止を繰り返すようなシーンでも扱いやすいことがあげられる。
なにしろ、走り出してしまえばこっちのものだ。ゆとりのある自然なライディング・ポジションにいざなわれ、エンジンの振動が高まるのを契機にシフトアップを繰り返し、やがて高速道路における巡航速度に達する。車重増がポジティブな方向で働いているようで、車体の挙動はR 18 Classicと比べてもさらにどっしりと安定し、ウィンド・プロテクションも完璧である。
モーターサイクルならではの解放感と、まるで高級セダンを走らせているような外界との断絶が、巧妙にブレンドされた世界がそこにはある。
さらに、「R 18 Transcontinental」と「R 18 B」には車間距離維持機能付きのクルーズ・コントロール・システムも搭載されている。燃料のある限り、いつまでも、どこまででも走り続けられそうだ。
時間の制約から、Marshall製のオーディオシステムを存分というほど楽しむことはできなかったが、左右チャンネルのセパレーションに優れ、低音もウィンド・ノイズにかき消されずにヘルメット越しの耳へ届くのが心地よかった。
今回、R 18 Bも同時に試すことができたのだが、ウィンドプロテクションに関しては、Transcontinentalとの差が小さくないことが確認できた。とくに、高速道路ではヘルメットで受け止める風圧に大きな違いがある。ただしBMW Japanによれば、ウィンドスクリーンだけTranscontinentalの部品を発注して交換することも可能とのこと。いっぽう、ヘッドライト脇のディフレクターとレッグシールドの後付けはできないようだ。
大型フェアリングの装着にともない、シャシーはベースモデルにくらべてフロントフォークを立てた設定とし、フレーム構造にも手を入れている。それが奏功してか、重量バランスの変化にともなう乗り心地やハンドリングへの影響は、市街地や都市高速でのライディングにおいて、特段意識しなかった。
BMWには「K 1600 GTL」や「R 1250 RT」という、ウィンドプロテクションを含む高速巡航性能にすぐれたグランドトゥアラーがすでに存在する。価格やパワーの点ではそちらにアドバンテージを認めつつも、R 18 Transcontinentalは、BMWとしてはとても新しく挑戦的なスタイルと、シートの低さを含めた特徴的な乗車姿勢が魅力的な存在である。
とはいえ依然、R 18シリーズの中での個人的な推奨モデルは、メーターパネルまわりがシンプルで車重が比較的軽く、ウィンドシールドとサイドバッグも備える「R 18 Classic First Edition」である。
文・田中誠司 写真・安井宏充(Weekend.)
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