現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 新型トヨタ・アルファード&ヴェルファイアのメカニズムを徹底解説!──日本の高級ミニバンは運転しても、後席に乗ってもイイ!

ここから本文です

新型トヨタ・アルファード&ヴェルファイアのメカニズムを徹底解説!──日本の高級ミニバンは運転しても、後席に乗ってもイイ!

掲載 7
新型トヨタ・アルファード&ヴェルファイアのメカニズムを徹底解説!──日本の高級ミニバンは運転しても、後席に乗ってもイイ!

フルモデルチェンジしたトヨタ「アルファード」および「ヴェルファイア」が採用したメカニズムのポイントを、世良耕太がわかりやく解説する!

レーシングカー並みのボディ剛性向上策

新型トヨタ・アルファードとヴェルファイアが、日本の高級ミニバン市場を変える理由を考えた

トヨタの大型ミニバン、アルファードとヴェルファイアが約8年ぶりにフルモデルチェンジした。ちなみに今回のモデルチェンジを機に「“大空間最高級サルーン”に生まれ変わった」と、メーカーは謳う。生まれ変わるべくコンセプトを設定し、開発に取り組んだのだ。

アルファード、ヴェルファイア、両車に共通する開発の狙いは、運転する人、後席に乗る人の区別なく、「快適な移動の幸せ」を、感じられるように仕立てることだった。そのため、プラットフォームを一新。先代は「エスティマ」などと共用するMCプラットフォームを採用していたが、新型は最新世代のGA-Kプラットフォームを使う。「カムリ」、「RAV4」、「ハリアー」、「クラウン」などと共用する。

フロントのサスペンション形式はストラット式、リヤはダブルウィッシュボーン式で形式自体は先代と変わっていないものの、新規開発である。GA-Kプラットフォームはあくまで基礎であって、新型アルファード&ヴェルファイアを開発するにあたって多くの手が入っている。重視したのは剛性の向上で、ドライバーだけでなく、後席の乗員も「快適な移動の幸せ」を感じられるよう、操縦性と乗り心地を向上させた。

車輪とサスペンションを狙いどおりに動かすために、まず、ボディをしっかりさせた。「ミニバンは剛性の確保に不利」と、言い訳をしていたようなところがあったそうだが、「上屋に大きな開口部があるオープンカーだって運動性能の高いスポーツカーができているじゃないか」(開発責任者の吉岡憲一談)と、気を引き締めて調査を重ね、ポイントをつかんだという。

剛性向上のための策のひとつが、床下のV字ブレースだ。リヤサブフレームの中心を交点とし、サイドシルのリヤホイールハウス前方に向けてブレースが延びている。これにより、とくにリヤを中心にボディの変形を抑制する。

「Bピラーのより後ろはなんとしても固めたかった」と、先代に続き開発責任を務めた吉岡は説明する。先代の開発を終えたとき、「これ以上のアルファード、ヴェルファイアは作れない」と、思ったそうだが、意に反して弱点は露呈した。そのひとつがボディ剛性で、弱点を知り尽くしているからこそ新型では「しっかりやれた」と、話す。

サイドシル(トヨタ用語では「ロッカー」)をしっかり固めたのも、Bピラー(フロントドアとリヤドアの間にある柱)より後ろを固めるためだ。先代はスライドドアの構造上、ロッカーを完全な閉断面にできなかった。

新型では製造上の工夫もあり、剛性向上に効く閉断面にすることができた。さらに、最近のトヨタのクルマづくりの定番となっている構造用接着材の塗布量を増やした。先代比でなんと5倍。レーシングカーでも作るのか? と、言いたくなるほどの気合いの入れようである。剛性向上を図るときの定番技術ではあるが、Bピラーを含め環状構造を徹底したのも新型の特徴だ。

こうしてボディの全体剛性を高めたうえで、サスペンションの入力を受け止める局部剛性を高めるため、フロント左右のサスペンショントップを結ぶタワーバー構造とした。また、より走りを意識したヴェルファイアに限り、ラジエーターコアサポートとサイドメンバーを結ぶようにパフォーマンスブレースと呼ぶ補強材を追加している。操舵応答性の向上に寄与する補強だ。

レクサス「RX」譲りの強力なパワートレーンも搭載タイヤは17インチ、18インチ(アルファードのみ)、19インチの設定であるが、すべてのタイヤを走りのために新規に開発した。ショックアブソーバーは路面入力に合わせて減衰力を可変制御する周波数感応型を設定(一部グレードに標準)し、操縦性と乗り心地の両立を図っている。

乗り心地面では、2列目シートに適用した技術が新しい。シートレールとシートフレームの間に防振ゴム(ゴムブッシュ)を配置。人が不快に感じやすい10~15Hzの振動を抑制する。

さらに、シートパッド表層には低反発ウレタンとし、振動を感じやすい背中に伝わる20Hz以上の振動を吸収する設計とした。また、シートクッション部は表面形状の工夫で骨盤を少し前傾させて座らせるようにした。骨盤が寝た姿勢で座ると首の揺れが大きくなるからで、結果、首の揺れが抑えられ、快適性の向上につながる。

先代はアルファード、ヴェルファイアのエンジンラインアップは共通で、2.5L直列4気筒(2AR-FE)と3.5L V型6気筒(2GR-FE)の自然吸気ガソリンエンジンを設定。2.5LエンジンはCVT、3.5Lエンジンは8速ATとの組み合わせだった。さらに、2.5Lにモーターを組み合わせたハイブリッド(エンジンは2AR-FXE)の設定があった。

新型はアルファードとヴェルファイアでエンジンに設定をわけている。アルファードは2.5Lエンジンと2.5Lハイブリッドの設定。ハイブリッドはエンジンが最新世代となり、より高効率のA25A-FXSになっている。3.5L V6エンジンはラインアップから落ちた。

新型ヴェルファイアにも2.5Lハイブリッドの設定はあるが、異なるのはガソリンエンジンの設定で、2.5L自然吸気エンジンの代わりに2.4Lターボエンジンが設定される。「V6を超える力強さ」の、触れ込みで、最高出力は205kW(279ps)、最大トルクは430Nmだ。組み合わせるトランスミッションは8速ATで、レクサスRX譲りの強力なパワートレーンである。

ボディ剛性向上は万能薬だ。操縦性の向上に効くし、乗り心地の改善にもつながる。つまり一挙両得で、ステアリングを握るドライバーにもよろこばれるし、2列目以降のシートでくつろぐ乗員にもよろこばれる。運転する人と後席に乗る人が共によろこんでもらえるよう、技術を惜しみなく投入したのが、新型アルファードとヴェルファイアの最大の特徴だ。

文・世良耕太 編集・稲垣邦康(GQ)

こんな記事も読まれています

無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
無冠の帝王が汚名返上。苦節13年で初王者のヌービル「本当に長かった。大変な努力へのご褒美だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
フェルスタッペンがドライバーズ選手権4連覇【正式結果】2024年F1第22戦ラスベガスGP 決勝
AUTOSPORT web
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
古さと新しさが同居した天才的デザインに仰天!! ディフェンダーの「貫禄」にシビれた!!!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】
ベストカーWeb
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
ドリキンが自腹購入したホンダ「シビックタイプR」でチューニング指南! 無限×ヤマハコラボの「パフォーマンスダンパー」は買いです
Auto Messe Web
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
【F1第22戦決勝の要点】 岩佐歩夢が分析するメルセデスの速さの秘密「マシン特性の不利を覆すほどのいい仕事」
AUTOSPORT web
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
1.2L 3気筒+モーター3基で300ps ルノー・ラファール E-テックへ試乗 アルピーヌに相応しい走り
AUTOCAR JAPAN
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
ヒョンデ「アイオニック5」がマイチェンで航続可能距離703キロに! 気になる車両価格は523万6000円から…30台限定の「コナ マウナ ロア」にも注目
Auto Messe Web
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
『絶対完走』の重圧に耐えた勝田。来季シートがかかっていたことを示唆【ラリージャパン後コメント】
AUTOSPORT web
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 後編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
中型からステップアップ 人気の“ミドルクラスネイキッド”スズキ「SV650」とカワサキ「Z650RS」どっちを選ぶ?【スペックでライバル比較】
VAGUE
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
ラリージャパンで一般車の侵入という衝撃トラブルが発生! SSのキャンセルもあるなかトヨタ勢は2・3・5位に着ける
WEB CARTOP
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
米国にある「廃車の山」で見つけたお宝 40選 前編 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
サーキット派に朗報! ウェッズスポーツ「TC105X」に16インチの新サイズ登場…マツダ「ロードスター」や走りのFF車にオススメです
Auto Messe Web
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
【ラリージャパン2024】最終ステージでトヨタが逆転! マニュファクチャラーズタイトル4年連続獲得、豊田章男会長「感動という共感を生んだ」
レスポンス
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
AUTOCAR JAPAN
1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
1度の運転では好きになれない シトロエンCX 5台を乗り比べ(2) GTiにファミリアール 仏大統領も愛用
AUTOCAR JAPAN
4連覇を決めたフェルスタッペン「苦しいシーズンの中で多くのことを学んだ。だからこそ特別だし、誇らしい」
4連覇を決めたフェルスタッペン「苦しいシーズンの中で多くのことを学んだ。だからこそ特別だし、誇らしい」
AUTOSPORT web
【ポイントランキング】2024年F1第22戦ラスベガスGP終了時点
【ポイントランキング】2024年F1第22戦ラスベガスGP終了時点
AUTOSPORT web

みんなのコメント

7件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0872.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.92199.0万円

中古車を検索
アルファードの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0872.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.92199.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村