フルモデルチェンジしたトヨタ「アルファード」および「ヴェルファイア」が採用したメカニズムのポイントを、世良耕太がわかりやく解説する!
レーシングカー並みのボディ剛性向上策
新型トヨタ・アルファードとヴェルファイアが、日本の高級ミニバン市場を変える理由を考えた
トヨタの大型ミニバン、アルファードとヴェルファイアが約8年ぶりにフルモデルチェンジした。ちなみに今回のモデルチェンジを機に「“大空間最高級サルーン”に生まれ変わった」と、メーカーは謳う。生まれ変わるべくコンセプトを設定し、開発に取り組んだのだ。
アルファード、ヴェルファイア、両車に共通する開発の狙いは、運転する人、後席に乗る人の区別なく、「快適な移動の幸せ」を、感じられるように仕立てることだった。そのため、プラットフォームを一新。先代は「エスティマ」などと共用するMCプラットフォームを採用していたが、新型は最新世代のGA-Kプラットフォームを使う。「カムリ」、「RAV4」、「ハリアー」、「クラウン」などと共用する。
フロントのサスペンション形式はストラット式、リヤはダブルウィッシュボーン式で形式自体は先代と変わっていないものの、新規開発である。GA-Kプラットフォームはあくまで基礎であって、新型アルファード&ヴェルファイアを開発するにあたって多くの手が入っている。重視したのは剛性の向上で、ドライバーだけでなく、後席の乗員も「快適な移動の幸せ」を感じられるよう、操縦性と乗り心地を向上させた。
車輪とサスペンションを狙いどおりに動かすために、まず、ボディをしっかりさせた。「ミニバンは剛性の確保に不利」と、言い訳をしていたようなところがあったそうだが、「上屋に大きな開口部があるオープンカーだって運動性能の高いスポーツカーができているじゃないか」(開発責任者の吉岡憲一談)と、気を引き締めて調査を重ね、ポイントをつかんだという。
剛性向上のための策のひとつが、床下のV字ブレースだ。リヤサブフレームの中心を交点とし、サイドシルのリヤホイールハウス前方に向けてブレースが延びている。これにより、とくにリヤを中心にボディの変形を抑制する。
「Bピラーのより後ろはなんとしても固めたかった」と、先代に続き開発責任を務めた吉岡は説明する。先代の開発を終えたとき、「これ以上のアルファード、ヴェルファイアは作れない」と、思ったそうだが、意に反して弱点は露呈した。そのひとつがボディ剛性で、弱点を知り尽くしているからこそ新型では「しっかりやれた」と、話す。
サイドシル(トヨタ用語では「ロッカー」)をしっかり固めたのも、Bピラー(フロントドアとリヤドアの間にある柱)より後ろを固めるためだ。先代はスライドドアの構造上、ロッカーを完全な閉断面にできなかった。
新型では製造上の工夫もあり、剛性向上に効く閉断面にすることができた。さらに、最近のトヨタのクルマづくりの定番となっている構造用接着材の塗布量を増やした。先代比でなんと5倍。レーシングカーでも作るのか? と、言いたくなるほどの気合いの入れようである。剛性向上を図るときの定番技術ではあるが、Bピラーを含め環状構造を徹底したのも新型の特徴だ。
こうしてボディの全体剛性を高めたうえで、サスペンションの入力を受け止める局部剛性を高めるため、フロント左右のサスペンショントップを結ぶタワーバー構造とした。また、より走りを意識したヴェルファイアに限り、ラジエーターコアサポートとサイドメンバーを結ぶようにパフォーマンスブレースと呼ぶ補強材を追加している。操舵応答性の向上に寄与する補強だ。
レクサス「RX」譲りの強力なパワートレーンも搭載タイヤは17インチ、18インチ(アルファードのみ)、19インチの設定であるが、すべてのタイヤを走りのために新規に開発した。ショックアブソーバーは路面入力に合わせて減衰力を可変制御する周波数感応型を設定(一部グレードに標準)し、操縦性と乗り心地の両立を図っている。
乗り心地面では、2列目シートに適用した技術が新しい。シートレールとシートフレームの間に防振ゴム(ゴムブッシュ)を配置。人が不快に感じやすい10~15Hzの振動を抑制する。
さらに、シートパッド表層には低反発ウレタンとし、振動を感じやすい背中に伝わる20Hz以上の振動を吸収する設計とした。また、シートクッション部は表面形状の工夫で骨盤を少し前傾させて座らせるようにした。骨盤が寝た姿勢で座ると首の揺れが大きくなるからで、結果、首の揺れが抑えられ、快適性の向上につながる。
先代はアルファード、ヴェルファイアのエンジンラインアップは共通で、2.5L直列4気筒(2AR-FE)と3.5L V型6気筒(2GR-FE)の自然吸気ガソリンエンジンを設定。2.5LエンジンはCVT、3.5Lエンジンは8速ATとの組み合わせだった。さらに、2.5Lにモーターを組み合わせたハイブリッド(エンジンは2AR-FXE)の設定があった。
新型はアルファードとヴェルファイアでエンジンに設定をわけている。アルファードは2.5Lエンジンと2.5Lハイブリッドの設定。ハイブリッドはエンジンが最新世代となり、より高効率のA25A-FXSになっている。3.5L V6エンジンはラインアップから落ちた。
新型ヴェルファイアにも2.5Lハイブリッドの設定はあるが、異なるのはガソリンエンジンの設定で、2.5L自然吸気エンジンの代わりに2.4Lターボエンジンが設定される。「V6を超える力強さ」の、触れ込みで、最高出力は205kW(279ps)、最大トルクは430Nmだ。組み合わせるトランスミッションは8速ATで、レクサスRX譲りの強力なパワートレーンである。
ボディ剛性向上は万能薬だ。操縦性の向上に効くし、乗り心地の改善にもつながる。つまり一挙両得で、ステアリングを握るドライバーにもよろこばれるし、2列目以降のシートでくつろぐ乗員にもよろこばれる。運転する人と後席に乗る人が共によろこんでもらえるよう、技術を惜しみなく投入したのが、新型アルファードとヴェルファイアの最大の特徴だ。
文・世良耕太 編集・稲垣邦康(GQ)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
トヨタ本気の「小さな高級車」に驚きの声! めちゃ豪華な「本革×本木目」内装を採用! 小型車に「クラウン品質」取り入れた“直列6気筒エンジン”搭載モデルに反響あり!
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
トヨタ『ランドクルーザー』リコール…ドライブシャフト不良、走行不可能になる恐れ
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
中古車バブル崩壊……その時あなたは何を買う!? 絶版国産[スポーツカー]ほしいランキング
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント