日産 キックスやトヨタ ヤリスクロスなど新型車で賑わうコンパクトSUVカテゴリーに、フランスのプジョーが力作を投入! 新型「SUV 2008」はヤリスクロスなど国産SUVの強力ライバルになるのか。
プジョー「SUV 2008」は、コンパクトクロスオーバーモデルとして2014年2月に、初代がデビュー。欧州Bセグメントコンパクトカー「208」のクロスオーバーモデルという位置づけで、共有性の高いデザインとサイズ、機能などが与えられた。
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ただ、この頃、迷走感のあったプジョー・シトロエンの日本でのパワートレイン戦略が仇となり、ちょっと出鼻を挫かれたことは否めないが、2016年よりパワフルな1.2Lターボエンジンと6速ATの組み合わせとなり、戦闘力がアップ。ようやく選びやすいモデルとなった。
文:大音安弘/写真:PEUGEOT
【画像ギャラリー】本文未掲載写真も! 国産SUVの前に立ちはだかるコンパクトSUV界の黒船「新型プジョー2008」
■ベースの208から大きく差別化された新型プジョー2008
第2世代モデルとなったプジョー2008。ベースとなった208同様若々しさを強調したスタイリングとなっている
2020年9月16日に発表された「SUV 2008」は、第2世代となるモデル。プジョー208と同じBセグメントモデルであることは同等だが、より差別化が図られているのが大きな特徴だ。
外観のスタイリングは、新型208同様に若々しさを強調。かぎ爪アクセントが印象的なフロントマスクを採用するが、フォルム自体は、208よりもCセグメントのクロスオーバーSUV「SUV3008」の色が濃い。
利便性とスポーティなルックスを保つために全高を押さえ、なおかつSUVとしての最低地上高を確保するとどうしても他社コンパクトSUVと似たシルエットとなる
実際にボディサイズも先代よりも一回り以上拡大されている。新型同士の比較でも、新型208に対して、全長で+210mmの4305mm、全幅で+25mmの1770mm、全高+105mmの1550mmとし、ホイールベースも+70mmの2610mmとする完全専用設計へと切り替えられているのが、重要なポイントだ。
特に全高は、立体駐車場にも対応可能な高さとしながらも、最低地上高を現行2008比の+55mmとなる205mmを確保するなど、市街地からアウトドアシーンまで使いやすいディメンジョンに拘っている。
プジョー最新のコクピット「3D i-Cookpit」を採用する。デジタル表示のメーターはフォントまでが未来的だ
一方、インテリアデザインは、最新世代の208と共通性のもので、ダッシュボードデザインには、プジョー最新のコクピット「3D i-Cookpit」が広がる。小径ステアリングとデジタルメーターを組み合わせが特徴的で、かなりモダンな印象を受ける。ステアリングが、スポーティに映るが、街中での取り回しを高めるのが美点だ。
シートデザインは208と共通だが、サイズの違いは後席とラゲッジルームの広さに表れており、通常で434L、リヤシートを倒せば、最大で1467Lまで拡大可能となる。これは新型208だけでなく、現行型2008と比較しても、かなり大きい。この辺は、ファミリー層を意識した作りのようだ。
■ピュアEVのe-2008もラインナップ
ピュアEVのe-2008も用意される。他社BセグメントSUVとの最大の違いだ
パワーユニットは、1.2L直列3気筒DOHCターボと8速ATの組み合わせが基本となる。最高出力130ps、最大トルク230Nmを発揮。燃費は、17.1km/L(WLTCモード)と実用的なスペックを備える。
そして、新型では、新たにEV「e-2008」も用意される。これが他のBセグメントとの最大の違いだろう。さらにガソリン車とEV車のいずれも好みで選択できるように、装備やトリムレベルは同様のものが用意される。
EV「e-2008」のスペックを簡単に紹介すると、パワートレインは、最高出力100kW(136ps)、最大トルク260Nmの駆動モーターと50kWhのリチウムイオン電池の組み合わせにより、385kmの航続距離を確保(JC08モード)する。
充電には、200Vの普通充電とCHAdeMO(チャデモ)式急速充電に対応。普通充電では、標準の3kWタイプで、満充電まで約18時間、オプションとなる設置型の6kWタイプで約9時間となるが、50km分ならば、3kWでも約4時間、6kWなら約2時間でOKだ。
また急速充電では、50kW出力タイプで、80%充電は約50分で行えるという。
理屈ではわかっていても「車に充電」というのはなかなかにシュールな光景だ
先進の運転支援機能は、プジョー最新レベルを全車に採用。衝突被害軽減ブレーキ、ACC、車線維持操舵支援、標識式認識機能、ソナーセンサーとバックカメラなどが全車標準化。上級車「GTライン」はフル装備となり、ブラインドスポットモニターやオートハイビームも加えられる。
グレード構成は、スポーティな上級車「GTライン」と充実装備のコンフォートモデル「アリュール」の2タイプ。
価格は、ガソリン車が299万円~338万円。EVが429万円~468万円となる。
同グレード同士でも、ガソリン車とEVでは130万円差が生じるが、エコカー減税、エコカー補助金など政府のサポートに加え、低金利ローンや専用メンテナンスパックなどを用意することで、一定の条件下なら、月々の維持費がガソリン車とEVで同等レベルまで圧縮し、好みに合わせた選択ができるように取り組むというから、その点にも注目が集まる。
■プジョーの新星は国産SUVの脅威となる!?
購入において最大のネックはやはり価格だろう。Bセグメントハッチバックと比較すると割高感は否めない
一時は、輸入車の独壇場ともいえたBセグコンパクトSUVだが、その最大のネックは、価格だ。やはりBセグハッチと比較すると割高。ただ、輸入車エントリーとしてのニーズは高かった。
しかし、昨今、国産コンパクトSUVが続々と参入したことで状況は一変。「SUV 2008」自身も価格帯が上昇し、サイズ的にもCセグメントに近くなったことで、国産ライバルに周囲を固められる。
輸入車のライバルだと価格と鮮度で見ると、Bセグの「VW T-CROSS」と同門の「シトロエンC3エアクロス」が最有力だろう。
輸入コンパクトSUVが欲しい人には、「SUV 2008」は魅力的な選択と言えそうだ。一方、国産では手頃なSUVが選び放題。
ただ、キャラクターでは、最新の「ヤリスクロス」や「日産 キックス」のカジュアルさが重なる。また、立駐対応できる都市型SUVの「スバル XV」や「マツダ CX-30」も比較検討となるだろう。
しかし、EVの「SUV e-2008」となると、ライバルは不在だ。なぜならば、同価格帯の小型SUVのEVは存在しない。手頃な所有をアピールするプジョーの提案と自身のクルマの使い方がマッチすれば、まさにEVとして有力候補に挙がるだろう。ただSUV的にアクティブに使いたいならば、ガソリン車の方がベターだ。
後席を倒せばCセグメントに匹敵する広大なラゲッジスペースが確保できる
「SUV 2008」は、全車FFのみ。ただ最低地上高もしっかりと確保しているので、レジャーシーンでは困ることないはずだ。そして、Cセグメントに迫る広いラゲッジスペースが強力な武器となる。また、サイズアップと運転支援機能の標準化が、価格上昇分をしっかりと吸収してくれる。
総合的にみると、競合は国産コンパクトSUVとなるだろうが、最新プラットフォームやモダンなスタイルなどから、「SUV 2008」が気になる人は、割とライバル不在と感じるのではないだろうか。唯一の課題は、自宅と販売店の距離かもしれない。
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みんなのコメント
このクラスで唯一無二のEVと言いながら、実際に使うならガソリン車?
全てに置いて国産SUVに劣勢ながら、結論はライバル不在??
黒船来航っていうより、浦賀水道に入る前に自沈してる感じだろこれ。。