タイヤのような「練り物系は価格が判りにくい」
クルマに使われる部品のなかには、いろいろな素材のものがありますね。ボディはほとんどが金属で、プラットフォームは基本的にスチール、視界を確保するための窓は一般的にガラスで、インパネなどの室内のパーツの多くは樹脂です。そうした中で、タイヤはゴムが主要素材です。ものすごく大雑把に言うと、天然ゴムをベースに、主として耐久性を高めるためのカーボンブラックを混ぜ、性能を安定させるための添加剤を加え、それをスチールのベルトを骨格として固めたものです。
タイヤはクルマの性能を支えています。もっといえば、タイヤの能力の分だけ、クルマは性能を発揮することができます。それほど重要なパーツなんですね。しかし金属は工学の分野ですが、タイヤは化学です。そういう意味では、かなり畑違いなパーツでもあります。ちなみに、あまり知られていませんが、最もグリップが高いのは天然ゴムそのものです。ただしそれだと耐久性に難があるので、グリップが下がるのを承知で、いろいろな物質と混ぜ合わせるわけです。
タイヤのラインアップを見ると、細かくサイズが設定されていて、もっと統合整理できないものか、とも思いますね。サイズの分だけ、タイヤを生産するための金型を制作しなければなりません。
そして、確かに価格も大きく変わってきますね。タイヤがワイドで、偏平率が高くなっていくとタイヤの構造の面で強度を確保するのが難しくなっていきます。同じブランドのタイヤでも、サイズが変われば内部構造から変更される場合があるんです。そのあたりの変化がコストに影響していくものと考えられます。
そもそもタイヤのような「練り物系は価格が判りにくい」というのが相場になっています。金属系の部品などは、元の金属素材の単価が判っているので、一般的に重量が判ればおよその価格が見えてきます。
しかし練り物系は、そもそも何が混ざっているのか判りにくく、特殊な技術で生産されていますから、当然わかりにくいんですね。いえ、別に暴利を貪っている、と言っているわけではないんですよ。特殊な技術に対する対価が認められている、と言っていいでしょう。
かつては独自開発を目指した自動車メーカーもありましたが、あまりの特殊性に失敗に終わっています。そもそもベースとなるゴムの質がタイヤの性能に影響するため、ゴム園の整備開発から手がけなければ最高性能のタイヤを生み出すことはできないと思います。
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