現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スバルのスポーツセダン「WRX」にMT仕様が存在!? 楽しい走りは健在だった! 本格スポーツ「WRX STI」とどう違う?

ここから本文です

スバルのスポーツセダン「WRX」にMT仕様が存在!? 楽しい走りは健在だった! 本格スポーツ「WRX STI」とどう違う?

掲載 27
スバルのスポーツセダン「WRX」にMT仕様が存在!? 楽しい走りは健在だった! 本格スポーツ「WRX STI」とどう違う?

■現行「WRX」にMT車があった!?

 米国スバルから「2024年モデルのWRXは、MT車にもアイサイトを装備する」というニュースが発表され、驚いた日本のユーザーも多いことでしょう。
 
 日本向けのスバル「WRX S4」には、「スバルパフォーマンストランスミッション」と呼ばれるCVTの設定しかないのですが、海外向けにはMT車が存在するのです。
 
 筆者(工藤貴宏)は先日、そんなWRXのMT車にアメリカで試乗してきました。

【画像】「えっ…!」カッコいい! これがMT搭載の「WRX」です! 写真を見る(43枚)

 米国仕様のWRXのスタイリングは基本的に日本仕様と同様で、リアワイパーの設定がないことと、トランクリッドのエンブレムが異なる程度です。

 一方で、インテリアには大きな違いがありました。

 ハンドル位置を現地の事情に合わせて左側にしているだけでなく、MT車にはサイドレバー式のパーキングブレーキを組み合わせているのです(日本仕様のCVT車は電子制御式パーキングブレーキを採用)。

 そのうえで、センターコンソールの形状自体が異なるのも意外でした。

 シフトレバーの台座がCVT車より低く、またパーキングブレーキレバーとの兼ね合いもあり、ドリンクホルダーの配置はCVT車が左右に2本分を並べているのに対し、MT車は先代WRXと同様に前後に並べるなど環境に合わせて最適化されています。

 シフトは6速で、節度感はしっかりあるが硬すぎない絶妙なフィーリング。引っかかりはなく、吸い込まれるようにギヤが入ります。

 リバースは6速の脇にあり、シフトノブ下のリングを引き上げながら入れるスバルの一般的なタイプでした。

 エンジンは排気量2.4リッターで275psを発生する、FA24型のターボエンジン。つまり日本のWRX S4と同じです。

 日本向けにもMT車を設定していた先代までは、MTに組み合わせていたのは2リッターターボのEJ20型でした。そこが、これまで日本で用意していたMT車と、現行モデルとして海外向けに用意しているMT車の大きな違いといえます。

 大きな違いといえば、AWDシステムも先代のMT車とは異なるもの。

 これまで(先代まで)の日本向けMT車は「DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWD」と呼ぶ、センターデフのロック率を電子制御で任意に変更して前後のトルク配分を切り替えられる凝った仕掛けを組み合わせていました。

 しかし海外で展開している現行型のMT車は「ビスカスLSD付きセンターデフ方式AWD」という、先代「フォレスター」のMT車などに積んでいた方式を採用。これは電子制御を持たずセンターデフで前後トルク配分をパッシブに変化させるシンプルなタイプです。

 メカニズムをまとめると、日本市場で従来モデルまで展開していたMT車は「WRX STIとしてより出力の高いエンジンと凝ったAWDシステムを搭載した究極の仕様」だったのに対し、海外向けに用意する現行モデルのMT車は「WRX S4のトランスミッションをCVTからMTに置き換えたもの」といって良いでしょう。

 競技での使用を視野に入れ、極限の走行性能を磨き上げたWRX STIではないのです。

 とはいえ、実際の走りは実に気持ちの良いものでした。速めのペースでワインディングを走るのであればパワーも十分だし、グイグイ曲がるハンドリングも「凝ったAWDシステムではない」というネガティブさを感じるどころか、「これだけ楽しければ文句なし!」と思える領域。

 そのうえで、クラッチとシフトレバーを操作しながらエンジン回転を完全に支配下に置くMTならではのドライブはやっぱり楽しいもので、CVTよりも高くクルマとの一体感を感じられます。

 たしかにFA型エンジンは低回転域からのトルクが太い特性で、EJエンジンのように高回転での盛り上がりが高いわけではありません。だからMT向きのエンジンではないと捉えられることもあります。

 実際にEJエンジンほどのキレはないものの、乗ってみればMTでクルマに操る楽しさはしっかり詰まっていると感じました。

 また、音も魅力。日本仕様よりも排気音が大きめで、エンジンを回すとボクサーサウンドがしっかり聞こえてくるのも気分を高めてくれました。これは日本よりも音量規制が緩やかな海外向けの排気系の影響と思われます。

■なぜ日本に現行WRXのMT車は存在しない?

 そんな現行WRXのMT車ですが、なぜ日本に導入されていないのでしょう。

 最大のネックと言われていたのは先進安全機能である「アイサイト」にまつわるもの。「日本で販売するにはアイサイトが必須だが、MTだとスバルが理想とするアイサイトを組み合わせられない」ということでした。

 しかし同じスバルのスポーツカーである「BRZ」には、2023年秋の一部改良で日本仕様にもMT車にアイサイトが搭載されることとなり、北米向けWRXのMT車にも2024年モデルから搭載するとアナウンスされました。

 これによって技術面の問題はクリアになり、国内販売に向かって大きなハードルは乗り越えたといえるでしょう。

 もうひとつは従来のWRXのMT車とのイメージのギャップです。

 従来のWRX STIの特徴だった高回転が鋭い300psオーバーのエンジンやDCCD式AWDは現行WRXのMT車には採用されておらず、従来のWRX STIユーザーからするとそこに物足りなさを感じるかもしれません。

 しかし筆者は、「とはいえ、MTがないよりはあったほうがずっと嬉しいと」考えます。スバル好き、WRX好きの人もそう考えているのではないでしょうか。

 ちなみに、オーストラリア仕様やタイ仕様など、海外向けのWRXには“右ハンドル×MT”のWRXがあります。

文:くるまのニュース 工藤貴宏
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

エンジンの故障で最も酷い症状!! 直すにはエンジンのオーバーホールが必須!?「焼きつき」とは?
エンジンの故障で最も酷い症状!! 直すにはエンジンのオーバーホールが必須!?「焼きつき」とは?
バイクのニュース
最新ブリザックの冬性能はどう? アイスバーンに深雪 過酷な北海道・旭川の一般道で試した ブリヂストンの新スタッドレス「ブリザックWZ-1」の“安心感”とは
最新ブリザックの冬性能はどう? アイスバーンに深雪 過酷な北海道・旭川の一般道で試した ブリヂストンの新スタッドレス「ブリザックWZ-1」の“安心感”とは
VAGUE
「ランクル」より大きい日産「“新”3列最高級SUV」日本導入決定で問合せ“殺到”に! 全長5.3m超えの巨体に「V6TT&4WD」搭載! ユーザーから寄せられた販売店への反響は?
「ランクル」より大きい日産「“新”3列最高級SUV」日本導入決定で問合せ“殺到”に! 全長5.3m超えの巨体に「V6TT&4WD」搭載! ユーザーから寄せられた販売店への反響は?
くるまのニュース
駅舎もプラットフォームもないのに確かに「駅」が存在する! 神奈川にある謎の「JR梶ヶ谷駅」の正体とは?
駅舎もプラットフォームもないのに確かに「駅」が存在する! 神奈川にある謎の「JR梶ヶ谷駅」の正体とは?
WEB CARTOP
2026年はこいつを作れ!! 名車ランチア・デルタの1/8ミニカーキットがリアルすぎる!!
2026年はこいつを作れ!! 名車ランチア・デルタの1/8ミニカーキットがリアルすぎる!!
ベストカーWeb
リアホイールが丸見えの「片持ちスイングアーム」 どんなメリットがある?
リアホイールが丸見えの「片持ちスイングアーム」 どんなメリットがある?
バイクのニュース
浅草の人気ホテル「リッチモンドホテル浅草」が刷新! “旅慣れた大人”が選ぶ特別な空間へ 北欧デザインと日本の伝統工芸が調和した新客室とは
浅草の人気ホテル「リッチモンドホテル浅草」が刷新! “旅慣れた大人”が選ぶ特別な空間へ 北欧デザインと日本の伝統工芸が調和した新客室とは
VAGUE
スズキ『ワゴンR』が全車「カスタムZ」デザインに統一、安全&快適装備充実 価格は143万円から
スズキ『ワゴンR』が全車「カスタムZ」デザインに統一、安全&快適装備充実 価格は143万円から
レスポンス
ENEOSや日本郵船ら4社、船舶向けメタノール燃料供給網を米国で構築へ…共同検討開始
ENEOSや日本郵船ら4社、船舶向けメタノール燃料供給網を米国で構築へ…共同検討開始
レスポンス
コンパクトでも広さは“ゴルフ級”! 2026年後半発売予定のフォルクスワーゲンの新モデル「ID.ポロ」の印象とは? “らしさ”満点の質実剛健な走りに期待大
コンパクトでも広さは“ゴルフ級”! 2026年後半発売予定のフォルクスワーゲンの新モデル「ID.ポロ」の印象とは? “らしさ”満点の質実剛健な走りに期待大
VAGUE
9年ぶり全面刷新! マツダ「新型“5人乗り”SUV」に問合せ“殺到”!? 黒が効いてる「精悍フォルム」×全長4.7m級で「ちょうどイイサイズ」! まもなく発売の“最量販”モデル「新型CX-5」販売店に寄せられた「期待の声」とは
9年ぶり全面刷新! マツダ「新型“5人乗り”SUV」に問合せ“殺到”!? 黒が効いてる「精悍フォルム」×全長4.7m級で「ちょうどイイサイズ」! まもなく発売の“最量販”モデル「新型CX-5」販売店に寄せられた「期待の声」とは
くるまのニュース
テーマは「馬」、MOMOが日本限定ステアリング「JAPAN YEAR モデル」を199本限定で発売
テーマは「馬」、MOMOが日本限定ステアリング「JAPAN YEAR モデル」を199本限定で発売
レスポンス
F1モナコGPはますます煌びやかに……ルイ・ヴィトンが2026年開催のタイトルスポンサーに決定。特製トランクケースも用意
F1モナコGPはますます煌びやかに……ルイ・ヴィトンが2026年開催のタイトルスポンサーに決定。特製トランクケースも用意
motorsport.com 日本版
ライトウェイトは不滅! 名門ケーターハムがHKSと手を組んで東京オートサロンにEVスポーツを出展とな!!
ライトウェイトは不滅! 名門ケーターハムがHKSと手を組んで東京オートサロンにEVスポーツを出展とな!!
ベストカーWeb
マーケティングAI社員「cars MANAGER」、LINE連携機能に「リッチメニュー」追加…24時間365日サービス予約が可能に
マーケティングAI社員「cars MANAGER」、LINE連携機能に「リッチメニュー」追加…24時間365日サービス予約が可能に
レスポンス
「1億8000万円のカスタム車!?」「実在しないって何?」ポルシェ ルーフ/シンガーの特級カスタム2台!
「1億8000万円のカスタム車!?」「実在しないって何?」ポルシェ ルーフ/シンガーの特級カスタム2台!
WEBヤングマシン
ウイリアムズF1のボウルズ代表、レース復帰戦でクラス優勝! ガルフ12時間で総合でも10位
ウイリアムズF1のボウルズ代表、レース復帰戦でクラス優勝! ガルフ12時間で総合でも10位
motorsport.com 日本版
BMWが中古車セールス顧客満足度調査で首位、商談・契約・納車で高評価…J.D.パワージャパン
BMWが中古車セールス顧客満足度調査で首位、商談・契約・納車で高評価…J.D.パワージャパン
レスポンス

みんなのコメント

27件
  • santaku
    今のATは間違いなく速いのだろうけど、操ってる感というのは自己満ではあるがやっぱりMTなんだよなぁ
  • cafeLATTE
    日本で売らないらしいからどうでもいい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村