ホンダの純正アクセサリーを手掛けるホンダアクセスのオーディオブランド「ギャザズ」が35周年を迎えた。当初はオーディオ、そして今やナビまでも手掛けるお馴染みのブランド。実は純正ならではのメリットが多々存在、その一つがリアカメラなど既存部品を使った予防安全技術。そしてなんといっても紆余曲折あった歴史が超濃い内容なのだった。
文:高山正寛/写真:森山良雄
3万円以下で先進装備が手に!! クルマじゃなくてナビで予防安全!? ホンダ純正オーディオの歴史がスゴすぎた
■純正ブランドの先駆け的存在!! ホンダは純正オプションがダントツの品ぞろえだった
かつてカーナビはシルバーが基本であったが、今やブラック基調が当たり前に!! 画面サイズは10インチ強と巨大化が進む真っ只中
光陰矢の如しでは……ないが、ホンダ純正のカーAVブランド「Gathers(以下ギャザズと表記)」が35周年を迎えたという。
正確には昨年(2022年)がメモリアルイヤーだったわけだが、コロナ禍の影響もあり表立っての活動は控え目。
結果として今年に入ってすぐのイベントになったが、そんな細かいことを突っ込むつもりはさらさらない。まずはお祝いって感じで会場となった「ホンダコレクションホール」に向かった。
少々余談になるが、筆者は業界歴もそれなりにあるので、ホンダアクセスの前身である「ホンダ用品技研」の時代から何となく知っていたし、当時から純正(ディーラー)オプションが豊富だったことからもホンダ車を所有した際には積極的にディーラーオプションを購入・装着していた(写真は筆者が所有していたプレリュード)。
1980年前半、大学生だった時、クルマのディーラーを回るのが趣味(?)だった筆者が常に感じていたのが、ディーラーオプションの豊富さではホンダとダイハツが抜きん出ていたコト。
それはオプションカタログのページ数と品揃えの豊富さでもある。
もちろん車種にもよるが、自分のクルマをカスタマイズできる歓びと同時にメーカーである「ホンダ」との連携によるジャストフィット感はまさに“純正”ならではの強みである。
■ホンダアクセスならではの強み炸裂!! 純正オプションとしては珍しい施策も
当初は1DINであったが、次第に2DINのオーディオが台頭。音楽だけでなくグライコなど視覚的にも楽しめるアイテムが主流に!!
「ギャザズ」の誕生は1987年、CR-X(2代目)とシビック(4代目)の登場時に同時開発されたのが最初で、当時はカセットデッキ(懐かしすぎ)を搭載した1DINモデルだった。
ユニークな点はボタン配置やボリュームの位置などはホンダアクセス側が策定し、細部の開発は提携しているカーオーディオメーカーの個性を活かしている点だ。
多くの純正カーAVの場合、実際の製造をしているメーカー名は前面には出さない傾向が強いのだが、ギャザズの場合は当時で言えば「アルパイン」や「パイオニア」「クラリオン」などのメーカー名をしっかり表記していた。
今風に言えば、AppleのiPhoneは企画自体はAppleだが、製造はホンハイが受託で行う感覚に近い。
当時はメーカーのブランドイメージも今とは異なりつつも強いもので、特にスピーカーに関してはギャザズブランドでありながら前述した各社の個性が際立っていた。
■懐かしいぜグライコ!! トレンドに合わせて個性的なモデルが魅力
S-MX専用にオレンジのボディカラーと同色のオーディオをラインアップ!! 90年代半ばにはデザイン性も求められる時代に
80年代はカセット中心のメディアからCD&CDチェンジャーなどが爆発的にヒット。当然ホンダアクセスもそれらに対応するモデルを続々と市場に送り出してきた。
さらに80年代後半にはヘッドユニットやグラフィックイコライザー、さらにスピーカーの背面にも華やかなイルミネーションの演出が施され、後続車へのアピールを行うなどちょっとしたブームにも。
その後はより高音質を追及し「DSP(デジタルシグナルプロセッサ)」の採用や1995~96年頃には独自の通信インターフェースである「GA-NET」を搭載。
カセットからMDへメディアが移行する中、時代の先取りも欠かさなかった点は今、思い起こすとかなり先進的であったことは間違いない。
■もはや目の前で演奏!? ステップワゴンの最新音響が驚愕のデキ!!
新型ステップワゴンのオプションナビは細かくチューニングも可能!! とにかく目の前で演奏してくれているかのような大迫力の音楽が自慢
ギャザズのカーAVはその後、カーナビを組み込むことでさらに進化してきたわけだが、ここで最新のオーディオシステムを視聴できる機会に恵まれた。
2タイプ用意された中でも特に注目したのがステップワゴンに設定された「Tuned by DIATONE SOUND」+「ハイグレードスピーカーシステム」をノーマル状態との比較試聴である。
ちなみにステップワゴンにはライン(工場)装着のナビゲーションシステムの設定は無く、標準装備の「Honda CONNECT for Gathers+ナビ装着用スペシャルパッケージ」に文字通りディーラーオプションのギャザズナビを装着することでシステムが完成する。
装着されていた「LXM-237VFLi」は11.4インチの大画面ナビに自動地図更新サービスなどを搭載するハイエンドモデル。
DIATONE(ダイヤトーン)ブランド(三菱電機製)のユニットにハイレゾ対応のハイグレードスピーカーシステム(JVCケンウッド製)の組み合わせは当然のことながらステップワゴン専用の音響チューニングが施されている。
特に搭載する「マルチウェイ・タイムアライメント」によるベストなセッティングはダイヤトーンとホンダアクセスのエンジニアがタッグを組んで何でも視聴し最終調整を行ったというものだ。
実際、筆者が持ってきたハイレゾ音源を使いノーマルと比較試聴してみたが、その差は明らか!!
音の善し悪しを文字で表現するのは難しいが、何よりも音響の基本とも言える「前方定位」がしっかり出ているのがスゴい。
要は前席に座った状態で目の前に演奏者がいるような空間の演出、楽器の位置の明確さ、音の立ち上がりの早さなど、純正自体もそれなりによく出来ているが、このシステム自体はもはやレベルが違う。
ハイレゾに限らず音質自体のクオリティは見事なのでこれはシステムとしての価格はかなり高いだろうと思っていたらステップワゴンの場合だと、純正カーナビにプラス4万5100円(6スピーカー)でこの音が手に入る。
装着時には純正との交換になるので、まずは純正で音を確認した後、交換してもいいだろう。ヨイショ抜きでこれはコスパも含め抜群と言える。
■コスパ最強すぎないか……3万円以下で驚異の安全装備が手に!!
既存のアイテムを生かした機能がスゴい!! 軽自動車は現状ブラインドスポットモニターが備わる車種はないが、似た機能がバックカメラを使用し堪能できるのだ!!
今回はギャザズの歴史や最新の音質に触れる機会に恵まれたが、実は一番楽しみにしていたのが、ギャザスナビのオプションとして設定されている「リアカメラde安心プラス3」だ。
“3”の数字が意味する通り、初代は2016年、“2”は2018年、そして2020年に現在の“3”へ進化している。
構造としては非常に明快で、メーカーオプションの「ナビ装着用スペシャルパッケージ」に装着されているリアカメラを活用して安全運転を支援するオプションだ。
すでに多くのホンダ車には先進安全装備である「ホンダセンシング」が装備化されているが、このオプションを使うことでより多くの機能を付加でき、安全運転をサポートしてくれる。
基本機能としては後退駐車サポート機能や後方視覚サポート機能、さらに後退注射サポート機能。そして3から追加されたのが後方車両お知らせ機能である。
後退駐車サポート機能はは後退時(約5km/h以下)に自車と駐車枠の角度のズレを表示を知らせるダイナミックラインと呼ばれるものが画面上に表示される。
同時にタイヤの角度(目安)も表示されるが、どちらかといえば運転初心者向けの機能で駐車慣れしている人にはやや面倒臭く感じた。
注目は後方車両お知らせ機能で、60km/h以上(速度は設定可能)で走行中に予め設定された検知範囲内に一定時間(約2秒)留まっている対象車両がある場合、ナビの画面上にインジケーターと音声でドライバーに教えてくれる機能だ。
実際、実車(N-BOX)に装着した状態でテストすると反応は上々。ナビの画面上への表示はもう少し大きくても良いと感じたが、それでも純正だからこそ出来る機能であり、昨今のあおり運転問題なども考慮すると実用性も高い。
何よりも取り付けアタッチメント込で2万6400円という価格設定はコスパに優れており、対応するギャザズナビも多い。
装着には対応ナビと前述した「ナビ装着用スペシャルパッケージ」が条件だが、例えばN-BOXの中古車を購入した際に条件があえば後付で安心・安全をプラスできるのはかなり魅力的と言えるだろう。
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みんなのコメント
最近ホンダの提灯記事が酷いな
余計な機能ごちゃごちゃつけなくていいから、貧乏な日本人のために少しでも安くしてくれ
社風なのかな、って納得してたけどやっぱりなんか変