Porsche Macan GTS
ポルシェ マカン GTS
フォルクスワーゲンのコンパクトSUV「T-Roc」と「T-Cross」はどっちが買いか。同時試乗で徹底検証!【T-Roc編】
ポルシェ専用スタッドレスのパフォーマンスを測る
流行のコンパクトSUVをポルシェが造ると、やはりスポーツカーライクなSUVが誕生する。フォルクスワーゲンとプラットフォームを共有しつつ、仕上げてくるあたりは、やはりポルシェである。ポルシェ専用の北欧製スタッドレスでテストした。
「マカンとは単純に“速い5人乗りのポルシェ”なのである」
信号待ちで周囲のクルマを見下ろすほど高いドライビングポジションではないし、4駆という言葉から連想されるほど肩ひじ張った乗り心地でもない。ポルシェ マカンはSUVに乗っていることを忘れてしまうクルマ。それは単純に速い5人乗りのポルシェなのである。
そんなスポーツカー然としたマカンが、タフな路面状況に出くわしてSUVとしての真価を問われた時に、どのような立ち居振る舞いを見せるのか? これは多くのファンにとって興味深いテーマではないだろうか。
「ハンドリング王的なキャラクター付けがされたマカン GTSにはノキアンを推奨」
今回ウインターテストに持ち込んだマカンのグレードはGTSだった。3.0リッターV6ツインターボエンジンはマカン Sと同一だがGTS用のユニットはターボのセッティングが異なっており、マカン Sより20ps増しの360psを発揮する。マカンターボがスピードキングであるのに対し、GTSはハンドリング王的なキャラクター付けがされているのである。今回の個体にはオプションのPASM(エアサス)が奢られ、ウインタータイヤとしてノキアン・ハッカペリータという聞きなれないスタッドレスが組み合わされている。
ミカ・ハッキネンがイメージキャラクターを務めるノキアンはフィンランドのタイヤメーカーであり、ハッカペリータはポルシェAGがマカンに推奨している唯一のスタッドレスタイヤでもある。マカン GTSの緻密なハンドリングとスポーツカー顔負けの走行性能を鑑みた場合、スタッドレスなら何でもいい、というわけにはいかなかったのだろう。
「難しい冬期路面においてもダイレクト感に溢れ自信を持ってドライブできるマカン」
20インチが標準となるマカン GTSだが、ノキアンのスタッドレスは18インチである。雪山へと向かう最中のドライ路面ではやはりスタッドレス特有のフワフワとした上下動が感じられた。標準装着のサマータイヤとマカン GTSのマッチングは恐ろしいほど良いので、こういった微かな違いでも違和感を覚えてしまう。高速道路の少し路面の悪い区間ではPASMでスポーツを選び1段階ダンピングを強めると適正な乗り心地になる場合もあった。
今回のスノーステージは、完全に雪に覆われた箇所もあれば所々ターマックが露出している部分もあった。しかも時間の経過ととともに雪が溶けていくので走る度に滑りやすくなっていく。そんな我が国の冬にありがちな難しい路面状況において走らせたマカン GTSは、しなやかでダイレクト感に溢れ自信を持ってドライブできるいつものマカンだった。
圧雪路からドライ路面に移行するような場面でも乗り手を驚かせるような唐突なグリップの回復は発生せず、スムーズに挙動が変位する。タイヤ1輪が空転した際の残り3輪の対応も素早く繊細で、スピードが鈍るようなこともほとんどない。ノキアンは制動距離を考えると一般的なスタッドレスに敵わないかもしれないが、横方向の剛性がかなり高く、優秀なPASMと相まって路面の変化をしっかりとドライバーに伝える能力が高い。
「マカン GTSは制御の担当範囲を捉えやすい点が突出している」
今回私はマカン GTS以外にメルセデス Gクラスやジープ ラングラーにも試乗したのだが、この3台の中でマカン GTSが突出しているのは、どこまでをクルマ(の電子制御)が担当してくれるのか、という境界線が捉えやすい点だ。クルマのポテンシャルを容易に把握できるので、乗り手はドライビングに集中できる。比較的グリップの高い圧雪路とツルツルに磨かれたようなアイスバーンが交互に現れるようなシーンでも肩に力が入ることなく、タイヤのグリップだけに全神経が集中してしまうようなこともない。ただリラックスしてコーナーの先を見通してスロットルを踏んでいれば、それなりにタイヤは滑っていても狙った場所に到達できるのだ。
以前、デビュー当初のマカンを試乗して「これじゃあライバルたちがつけ入る隙がない」という印象を持ったのだけれど、今回のウインターテストではその盤石ぶりがより一層強固なものになったのだった。
REPORT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ マカン GTS
ボディサイズ:全長4700 全幅1925 全高1610mm
ホイールベース:2805mm
車両重量:1895kg
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2996cc
圧縮比:9.8
最高出力:265kW(360ps)/6000rpm
最大トルク:500Nm(51.0kgm)/1650-4000rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション:前5リンク 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前265/45R20(9J) 後295/40R20(10J)
最高速度:256km/h
0-100km/h加速:5.2秒(スポーツクロノパッケージ装着車5.0秒)
環境性能(EUモード)
CO2排出量:215-207g/km
燃料消費率:9.2-8.8L/100km
車両本体価格:939万円
※GENROQ 2017年 3月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。
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