いよいよ新しい年、令和2年が始まった。以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「いすゞ ベレット ジェミニ」だ。
いすゞ ベレット ジェミニ(PF50型):昭和49年(1974年)10月発売
1971年(昭和46年)にいすゞとゼネラルモーターズ(以下、GM)が資本提携して3年、その共同開発の成果として登場したのがベレット ジェミニだ。背景には世界企業のGMが抱いているグローバル構想と、いすゞ側のベレット後継車構想との兼ね合いがあった。そして相互の技術をどう生かすかもポイントだ。結果として基本デザインとシャシは当時GMの子会社だったオペルが担当し、動力はいすゞが提供するという体制となった。
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ボディサイズは、従来のベレットよりも大きく、117クーペに近いものとなった。軽量モノコック構造で、大物一体プレスによる単体構造としたため溶接面が少なく、部品点数も少なくて済むのはメリットだった。ボディ形状は4ドアセダンと2ドアクーペがあり、ここで紹介するクーペLSはトップグレードにあたる。
搭載されたエンジンはG161Z型という1.6Lの直4 SOHCで、最高出力は100ps/6000rpm、最大トルクは14.0kgm/4000rpmを発生する。当時、排出ガス対策で、他車が軒並み出力低下している中では大パワーが目立つスペックだった。クランクケースを一体鋳造した鋳鉄ブロックの採用で構成部品を減らし、燃焼室形状を従来のウエッジ型のターンフローから半球型のクロスフローに変更するなどの改良が加えられている。キャブレターはストロンバーグ型2バレルステージを1つだけ装着しているが、それでも十分な動力性能だった。エンジン特性は、いすゞの伝統とも言える低回転/高トルク型ではなくやや高回転型に振られているのが特徴だ。これはギア比との兼ね合いもあるだろう。
トランスミッションは、4速MTとなる。フローリアン用がベースだが、操作やフィーリングの向上を図るべく細部に改良を施した。小さなシフトストロークとあいまって、素早く軽快なシフトフィーリングが得られる好ましいものだった。
サスペンションはフロント:ダブルウイッシュボーン/リア:トルクチューブ付き3リンクという組み合わせで、これもオペルから引き継ぐもので斬新だった。フロントのダブルウイッシュボーンは、コーナリング中のタイヤのトレッド面の接地を最適化できるとともに高い剛性を持つ。ただ、ストロークは不足気味で激しいコーナリングではインリフトする場面もあった。リアは3リンクを基本にデフからボディに向けてトルクチューブを伸ばすことによって、デフの位置決めを行うものだ。急加速時にテールのスクオートを抑えられるなどのメリットがあったが、操縦性は洗練されたものとは言い難かったのも事実だ。
ブレーキは、フロントがディスク、リアがリーディングトレーリングという当時のスポーティカーの定番の組み合わせをとった。タンデムマスターシリンダーで安全性を確保するとともに、鳴きやバイブレーションなどの異常現象の防止を考慮してパッド選定がされた。リアブレーキはフローリアンや117クーペで用いられた9インチのリーディングトレーリング式を採用している。
グレード区分はLD、LT、LSで、最上級グレードがLSとなる。ベレット ジェミニ(1975年よりベレットがとれて単にジェミニとなる)は、その後いすゞの基幹車種として歴史を重ねていくことになる。
いすゞ ベレット ジェミニ クーペLS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4135×1570×1335mm
●ホイールベース:2405mm
●重量:885kg
●エンジン型式・種類:G161Z型・直4 SOHC
●排気量:1584cc
●最高出力:100ps/6000rpm
●最大トルク:14.0kgm/4000rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:155SR13
●価格:91万9000円
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みんなのコメント
そこまでちゃんと書かないとダメ。
ZZには全く触れられてないし。