今季限りでフェラーリを離脱することが決まり、来季の去就が注目されているカルロス・サインツJr.について、アルピーヌも獲得に動き出しているようだ。
ルイス・ハミルトンのフェラーリ加入によって、チームを追われることとなったサインツJr.。来季へ向けた移籍先については、ウイリアムズと2026年からアウディのワークスチームになるザウバーの2チームが有力候補であると見られていた。
■動き加速する2025年F1ドライバーラインアップ! ペレス&角田の残留決定で、次なる注目はサインツJrの去就とメルセデスの”残り1席”
しかし関係者によると、水面下でアルピーヌとの交渉も行なわれているという。一説には、サインツJr.にとって将来を託すに値する、魅力的なオファーが提示されたとも言われる。
数ヵ月前までは、アルピーヌはグリッドの最後尾に沈んでいたため、有利な選択肢とはとても見えなかった。しかし、今では状況が異なっている。
スペインGPでは、ピエール・ガスリーとエステバン・オコンが揃って予選Q3に進出。決勝でも9位と10位にダブル入賞を果たした。その前のカナダGPでもダブル入賞を果たしており、ここに来てパフォーマンスが急上昇しているのは明らかだ。
一方でサインツJr.の移籍先有力候補とされていたザウバーは、今季ここまでまだ無得点。ウイリアムズも、アレクサンダー・アルボンの力走によりモナコでポイントを獲得したものの、それが今季唯一の入賞となっている。
アルピーヌからは、オコンが今季限りでチームを離脱することが決定済み。ガスリーも今シーズン限りで契約満了となるため、延長に向けた交渉が進められているところだ。つまりアルピーヌは、来季のドライバーが2名とも決まっていない。
そして最近になって、かつてベネトンやルノーF1時代にチームを率いた辣腕フラビオ・ブリアトーレが、スペシャル・アドバイザーとしてチームに加わることが決定。立て直しが図られている。
ブリアトーレに期待されていることのひとつは、有能なドライバーを探すということ。スペインGPに現れたブリアトーレは、ルノー・グループCEOのルカ・デ・メオと激しく議論している姿が目撃された。
ブリアトーレは、トップドライバーを獲得することに積極的だった人物。1991年には、ジョーダンでデビューしたばかりのミハエル・シューマッハーを1戦限りで引き抜き、ベネトンで走らせた。そしてその翌年にシューマッハーは初優勝を挙げ、1994年と1995年にはチャンピオンを獲得した。
少し前にアルピーヌは、2025年のドライバーラインアップについて、落ち着いて検討すると語っていた。しかしブリアトーレは積極的に動き、できる限り最高のドライバーを見つけたいと考えているようだ。
サインツJr.は、今シーズンの残りに支障をきたさないように、F1での将来を決めたいと切望している。しかしその一方で、全ての選択肢を評価する前に決断を急がされることも望んでいない。
彼の父親であるカルロス・サインツSr.は、スペインGPの日曜日朝、ザウバーやウイリアムズなど、様々なチームのモーターホームを訪問する姿が目撃されており、様々な思惑が渦巻いていることは間違いないだろう。
そしてスペインGPの決勝レース終了後、次戦オーストリアGPまでに自分の将来が決まる可能性があるのかと尋ねられたサインツJr.は、次のように語った。
「そうなるかもしれない。確実なことは何もないが、そうなる可能性もある」
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