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スズキ、軽トラで「CES」に挑戦! 中古輸出10年で10倍の追い風、米国市場席巻なるか?

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スズキ、軽トラで「CES」に挑戦! 中古輸出10年で10倍の追い風、米国市場席巻なるか?

米国進出への挑戦

 スズキは世界最大級のテクノロジー展示会「CES 2025」に初めて出展する。注目したいのは、スズキが創業以来大切にしてきた「小・少・軽・短・美」のものづくり理念を体現した製品として、日本の軽トラ文化を象徴する「スーパーキャリイ」が参考出品されることだ。

【画像】「えぇぇぇ!?」 これがスズキの「CESブース」です!

 この出品は、米国市場で軽トラの可能性を探る試金石として注目されている。背景には、近年米国で高まる軽トラ人気がある。

 この記事では、軽トラが米国市場でどれだけ支持を得られるかを検証し、その将来性について考えていく。

軽トラ輸出台数10倍の理由

 現在、電気自動車(EV)シフトが進むなかでも、米国市場では依然として大きくてパワフルなピックアップトラックが人気だ。しかし、

・燃費
・使い勝手

を重視する消費者が増えつつあり、軽量でコンパクトな車両への需要が徐々に高まっている。特に農業従事者を中心に、経済性や利便性の高い軽トラが注目されており、日本から輸入される中古軽トラが好まれている。スズキが軽トラを出展する背景には、こうしたトレンドを受けて、米国での軽トラの将来性を見極めたい狙いがあるようだ。

 米国での軽トラ需要の高まりにはいくつかの要因がある。そのひとつが

「25年ルール」

だ。米国では右ハンドル車の輸入は原則認められていないが、製造から25年が経過した車両はクラシックカーとして輸入が可能になる。このため、1999(平成11)年以前に製造された日本製軽トラが輸出され、農業や建設、さらにはレジャーなどで活躍している。

 財務省の貿易統計によれば、中古軽トラに該当する中古貨物自動車(総重量5t以下、シリンダー容積2000cc以下)の米国への輸出台数は、2013年の784台から2023年には7050台まで増加し、この10年でほぼ10倍に達している。

 軽トラの利便性は多岐にわたる。まず車両価格が安く、取引価格はおよそ100万円程度。また、燃費のよさや狭い道や荒れた地形への対応力といった機動性があり、農家や個人事業者にとって理想的な選択肢となっている。さらに、荷台がオープンで多用途に使える点も他の車両との差別化ポイントだ。

 これらを考えると、軽トラは米国市場で新しい需要層を開拓できる可能性がある。特に環境負荷の軽減やサステナビリティを重視する消費者にとって、軽トラのエコロジーな特性は大きな注目を集めるだろう。

市場拡大への壁と課題

 米国市場での軽トラの将来性には課題もある。競合として、ポラリスやヤマハ、クボタ、カワサキなどが展開するユーティリティビークル(UTV)やオールテレインビークル(ATV)が挙げられる。

 これらの車両はオフロード性能やカスタマイズ性に優れており、農業用途やアウトドア市場で確固たる地位を築いている。特にオフロード性能やブランドの認知度では、すでに市場に広く浸透しているといえる。たとえば、ポラリスの廉価版UTV「レンジャー570」の販売価格は約1万ドル(約155万円)で、中古軽トラの100万円前後と比較しても十分競争力を保っている。

 また、25年ルールが軽トラの市場拡大を阻む大きな壁となっている。このルールのため、米国で輸入できる軽トラは古い中古車両に限定され、新しいモデルを導入するのは難しい。さらに、州ごとの規制も問題だ。現時点ではカリフォルニア州やミシガン州など19州で軽トラの公道走行が許可されているが、全米50州のうち半数以下にとどまっている。こうした要因が中古軽トラ需要の伸びを制約している。

 今後は、25年ルールや公道走行の規制をどのようにクリアするかが重要な課題となるだろう。これらのハードルを乗り越えられるかが、米国市場における軽トラの成長を左右するポイントになる。

競争激化と規制突破がカギ

 それでもスズキが軽トラをCESに出展する決断をしたのには、戦略的な意図があるように思える。

 その理由のひとつは、

「軽トラとUTVやATVの違いが明確である」

ことだ。UTVは基本的にオフロード用に設計され、公道走行には適していない。一方、軽トラは道路法規に準じた設計がされており、安全性や耐久性に優れているのが特徴だ。また、一定の車内スペースが確保されているため、快適性の面でもUTVやATVより優れている部分がある。

 さらに、電動化やコネクテッド技術の導入も軽トラの可能性を広げる要素になる。米国市場で環境規制が強化されている中で、電動軽トラを展開できれば、新たな需要を獲得する大きな可能性が生まれる。

 スズキがCESに軽トラを出展したのは、米国市場での潜在的な需要を掘り起こす画期的な試みといえる。単なる参考出品にとどまらず、市場調査やブランド認知を高める狙いがあると考えられる。ただし、既存のUTVやATV市場との競争や、25年ルールによる制約などの課題も多い。これらを乗り越えるためには、明確な方向性が必要だ。

 今回のスズキの挑戦が米国市場で軽トラの地位を向上させ、さらなる市場開拓につながるのかどうか。CES出展をきっかけに軽トラへの関心がどれだけ高まるか、今後の動きに注目したい。

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みんなのコメント

6件
  • aid********
    この記事には過去に軽トラ正規輸出してダメだったという事実には触れられていない。
    スズキもダイハツもアメリカから撤退した。
  • 防災減災備蓄
    なら左ハンドル仕様は必須になるよな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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