7代目マスタングに高性能仕様が登場
ボスにマッハ1、ビュレット、シェルビーGT350、シェルビーGT500。最近まで、フォードは6代目マスタングへ新しい仕様を提供し続けてきた。その姿勢は、世代交代しても変わらないようだ。新型マスタングに、早速ダークホースが登場した。
【画像】新世代に高性能仕様登場 フォード・マスタング・ダークホース アメリカン・マッスル コルベット C8も 全126枚
現在のところ、このダークホースは7代目では唯一となる、高性能なチューニング仕様。追って、シェルビーやマッハ1を名乗るマスタングも登場するだろう。
フォードは2022年にマスタングをモデルチェンジしたものの、基本的には大マイナーチェンジを受けた6代目と考えても間違いではない。プラットフォームは先代からの継投で、サイドシルエットや3本並んだテールライトなど、特長の多くを受け継いでいる。
インテリアはアップデートされているが、明確に豪華になったわけではない。メーターパネルからアナログメーターは姿を消し、ダッシュボードには大きなモニターが2面並んでいる。
2024年の初めにグレートブリテン島へやってくる、マスタング・ダークホースの英国価格は、約6万1000ポンド(約1104万円)が予想される。同時に英国で販売が始まる、通常のマスタングへ約1万ポンド(約181万円)の上乗せとなる。
エンジンは、自然吸気の5.0L V型8気筒のみ。2.3L直列4気筒ターボのエコブースト・ユニットは、英国では選べないようだ。
V8コヨーテ・ユニットは500psへ増強
ダークホースへ載るV8コヨーテ・ユニットの特徴となるのが、760psを誇った先代のシェルビーGT500用エンジンへ組まれていた、専用コンロッドを採用すること。高負荷にも耐えられるアイテムで、北米仕様の場合は486psから500psへ増強されている。
ただし、欧州仕様の場合は排気ガス規制によってパワーが絞られ、455psになる。悲しいことに、本国仕様の標準のマスタングにも届いていない。英国仕様で比べれば、10psパワフルではあるが。
トランスミッションは10速オートマティックの他に、通常のゲトラグ社製ではなくトレメック社製の、6速マニュアルも選択可能。より堅牢で、サーキット走行に適したギア比へ調整されているという。
パワーアップに合わせて、エンジンオイルとトランスミッション・フルードの専用クーラーも装備。リアアクスルには、トルセン式のリミテッドスリップ・デフが組まれる。
サスペンションは、磁性流体による可変ダンパーに、レートを高めたスプリング、剛性の高いアンチロールバーで武装。大径のホイールとブレーキも獲得しているが、これらはパフォーマンス・パッケージを選ぶことで、通常のマスタングにも装備できる。
果たして、自然吸気のV8エンジンをフロントに積み、MTを介してリアタイヤを駆動する2+2のクーペは、このマスタングが英国では唯一となってしまった。導入を決めたフォードに、筆者は大きな敬意を表したいと思う。
抜群の乗り心地 リラックスした走りが似合う
今回、マスタング・ダークホースへ試乗したのは、アメリカ・ノースカロライナ州。北米仕様のままだったが、欧州仕様が大きく違わないことを祈りたい。
フォードの技術者によると、最高出力の違いはソフトウエアの設定によるものだという。欧州仕様のソフトウエアを北米仕様へ書き換えれば、500psを得られるのか質問してみたが、明確に否定はしなかった。
恐らく、フォードのディーラーではできないはず。だが、技術的には可能なようだ。
増強されたV8コヨーテ・ユニットは、小排気量ターボでは実現し難い低速トルクと、高回転域でのパワーの上昇を堪能させてくれる。ご近所への配慮を意味するグッドネイバー・モードを選んでも、心を震わせるノイズを放つ。
スポーティなモードへ切り替えれば、バルブが開きボリュームマックス。ストックカー・レーサーのような轟音に包まれる。
ステアリングは切り始めで若干曖昧だし、サーボが強すぎるのか、ブレーキペダルは感触を掴みにくい。操縦性が素晴らしいとは表現できないものの、6代目のマスタング・マッハ1と同様にドライビング体験は好印象だ。
磁性流体ダンパーは、抜群の乗り心地を披露。ポルシェとワインディングで張り合うことは難しいとしても、ゆったりしたシートに身を委ね、豊満な走りに浸れる。
シフトレバーは重めで、メカニカルな手応えがあり、ギアを選ぶという動作を満たす。スリリングさを求め過ぎず、V8エンジンをおおらかに回しリラックスして先を急ぐのが似合う。
現行ベストのハンドリング・パッケージ
広いサーキットなら、ドライバー次第でテールスライドに興じることも難しくない。派手なドリフトを前提に、ハンドブレーキは設計されたとか。
ドラッグレースに挑みたいなら、フロントブレーキをラインロックできるドラックストリップ・モードも用意されている。ブレーキはタフで、怒涛の加速を支える。根っからのクルマ好きが、根っからのクルマ好きのために設計したモデルだといえる。
今回の試乗では、ハンドリング・パッケージを装備したダークホースも用意されていた。インチアップされたホイールに、ピレリ・トロフェオRSのタイヤが組まれ、サスペンションも再調整。ネガティブ・キャンバーが強められる。
このパッケージが与えられたダークホースは、更に魅力的だった。グリップ力は高く、コーナーの頂点を意欲的に狙っていける。限界領域での落ち着きも秀抜で、余りの変容ぶりに高笑いしてしまったほど。
サーキットでの性能を比べると、通常のダークホースより旋回時は0.15Gほど上昇。ブレーキングも、0.21G鋭くなるという。
北米に住んでいれば、このパッケージを4000ドル(約57万円)で選べる。しかし、タイヤがフェンダーに迫りすぎているという理由で、当面は欧州に導入されないらしい。エンジンのソフトウエアのように、何らかの方法で解決して欲しいものだ。
恐らくダークホースのハンドリング・パッケージは、7代目マスタングの今ベスト。忘れられないほど素晴らしかった。
フォード・マスタング・ダークホース(北米仕様)のスペック
英国価格:約6万1000ポンド(約1104万円/予想)
全長:4818mm
全幅:1932mm
全高:1402mm
最高速度:270km/h(予想)
0-100km/h加速:4.0秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1768kg
パワートレイン:V型8気筒5038cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:500ps
最大トルク:57.6kg-m
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)
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安いしデザイン良ければ文句の付けどころが無い