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日本上陸から15年 販売過去最高の裏で見え隠れする「レクサスに足りないもの」

掲載 更新 36
日本上陸から15年 販売過去最高の裏で見え隠れする「レクサスに足りないもの」

 トヨタがレクサスブランドを日本で開業してから15年が経った。開業以来、レクサスディーラーでは、丁寧な接客と「おもてなし」で、トヨタブランドとの差別化を図ってきた。

 さて、時代は平成から令和へと変わり、令和も2年目となる2020年、レクサスに新たな動きがあった。

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 2020年8月にはミドルセダンのGSが生産終了となり、デビューから7年経過したISは、大がかりなビッグマイナーチェンジが施され、2020年11月5日に発売。

 そして、2020年初冬には、LSのマイナーチェンジモデルが発売される予定となっている。

 そこで開業から15年という新たな節目を迎えるにあたり、レクサスは本当に成功したと胸を張って言えるだろうか?

 今、レクサスに足りないものは何か? モータージャーナリストの石川真禧照氏が解説する。


文/石川真禧照
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 レクサス

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レクサスは売れているのか?

車種が少なく感じた当初のレクサスブランドだったが……。写真は左から初代GS、初代LS、初代IS

ソアラをレクサスSC430として販売した

 レクサスが2020年2月に発表した2019年の世界新車販売実績によると総販売台数は76万5330台。前年比10%増、過去最高の成績となった。

 2019年1~12月の主要地域別の販売実績を見ると、北米では約32.5万台(前年比100%)とほぼ横這いながら、中国は約 20.2万台(前年比 125%)、欧州は約 8.7万台(前年比 114%)、中近東は約 3.2万台(前年比 108%)、東アジアは約 3.4万台(前年比 108%)など、ほかのすべての地域で前年比プラスとなっているのが目をひく。

 一方、日本ではどうだったのか? 日本におけるレクサス車の販売は2019年の新車販売台数が6万2394台で、前年に比べて13.2%増と堅調だった。

 さて、2020年はどうか? 2020年1~10月までのレクサス車の新車販売台数を見ると、3万8335台で前年に比べて28.3%減と大きく落ち込んでいる。

 とはいえ、レクサスだけが大きく落ち込んだわけではなく、トヨタは104万926台(対前年比7.9%減)、日産は17万6707台(35.0%減)、ホンダは24万9336台(21.9%減)と、他メーカーもコロナ禍の影響をもろに受けている。

顧客満足度調査では高い評価を受けている

自動車を販売するショールームとは思えない、高級ホテルのようなレクサスのショールーム

 レクサスが国内で開業したのは2005年8月30日。当時の商品ラインナップは、4ドアセダンのIS、GSとスペシャリティカーのSCの3車種だった。

 あれから15年。今ではセダンだけでも3車種(GSは廃止)。SUVも4車種、スペシャリティ2車種、5ドアハッチバック1車種まで拡大している。

 国内販売の実績では、開業当初は約2万5000~3万台だったが、2010年は約3万5000台、2015年には約4万8000台に増えて、前述の通り、2019年には6万2394台と過去最高を記録している。

 15年間でこの躍進ぶりは、大成功と言っていいだろう。しかし、レクサス販売をよく見てみると、あることに気が付く。今のレクサスに足りないもの。それを検証してみたい。

出典 /J.D.パワー2020年日本自動車サービス満足度(SSI)調査・総合満足度ランキング

 ここにJ.D.パワー(顧客満足度・コンサルティングの専門機関が行った調査報告が2つある。

 1つは「2020年日本自動車セールス満足度(SSI)調査」。乗用車を新車で購入した際の正規販売店の対応に関する顧客満足度を総合的に分析するもので、セールスマンなど販売の現場に関わる人たちに関連する調査だ。

 これによるとラグジュアリーブランドではアウディが1000ポイント満点中、775ポイントで1位。

 2位に772ポイントでレクサスが入っている。ちなみにメルセデスベンツとBMWは同ポイントで3位に入っている。

 この調査ではセールスマンの納車時の態度、商談、契約手続きなどが評価の対象になっている。

出典 /J.D.パワー2020年日本自動車サービス満足度(CSI)調査・総合満足度ランキング

 もう1つの調査は同じくJ.D.パワーの「2020年日本自動車サービス満足度(CSI)調査」だ。

 こちらは点検や修理などのアフターサービスにおける販売店に対する顧客満足度を総合的に分析するもので、ラグジュアリーブランドではレクサスがメルセデスベンツ、ボルボ、アウディを抑えてダントツでトップを獲得している。

 この結果を見ると、レクサスはラグジュアリーブランドとして成功しているように思える。

 たしかに筆者の知り合いもレクサスISを2台乗り継いでいるが、その理由はディーラーに行くとクルマを洗車してくれるから、と言っている。レクサスにしてから1回も自分で洗車をしたことがないそうだ。

レクサスのおもてなし精神

東京・高輪に開設されたレクサスショールーム

 ここで思い出すのはレクサスが国内市場に初めて参入した時のことだ。東京・高輪に完成したショールームにプレス関係者を招き内覧会を催した。

 これまでの自動車ディーラーとは異なるデザイン優先のショールームや建物の中に入ると、優雅な空間が広がっていた。

 商談用のソファーに座ると、係の女性がやってきて、膝まづいて、こちらの要件を聞いてきた。レクサスの「おもてなし」だった。 

 あの時から15年。今でもレクサスのショールームはあの時と同じようにラグジュアリーな雰囲気の空間が残されている。

 開業当時からの「おもてなし」の心が、今でもレクサスのディーラーにはきちんと残されているのだ。

 もともとレクサスを立ち上げるキッカケになったのは、1台のクルマを売ったときの儲けを考えた時に、カローラを売るのもクラウンを売るのも同じ手間なのに、儲け幅は大きく異なる。

 それなら、高く売れるクルマを作り、高く売る(つまり値引きしない)ことを行えばよいのではないか、という発想からだった。そのためにも売る場所=ディーラー+セールスを徹底的に研究し、見直したという話は有名だ。

 それまでアリストという名のアッパーミドルセダンを3代目にフルチェンジし、GSというレクサスのモデルにしたが、アリスト時代は3Lで400万円を切っていた価格を、3.5Lにして520万円にアップしたのだ。それでもGSは売れた。

 当時、ディーラーに行くと、慇懃無礼とも思えるセールスマンと高級なインテリアの店内に圧倒された、という話を耳にした。

 セールスマンは、高級輸入車販売で有名なヤナセから大勢、引き抜いている、という実話も耳にした。そして、商談に入ると、値引きは一切なし。値引きを持ち出す雰囲気を作らせなかったのだ。

 このディーラーのホスピタリティは今も変わっていない。「おもてなし」の精神。レクサス開業当時からのディーラーの心意気は変わっていないのだ。

今のレクサスに足りないものはクルマを製造する側に……

2020年初冬の発売を予定しているLSのマイナーチェンジモデル。小型3眼ランプユニットとL字を際立たせたクリアランスランプの下に「ブレードスキャンAHS(アダプティブハイビームシステム)」を採用。また先進運転支援システム「Lexus Teammate」や静粛性、乗り心地が向上

量産車初のデジタルサイドミラーを採用したミドルセダンのESは2018年10月に発売

2020年11月5日に発売されたビッグマイナーチェンジ版のレクサスIS。デビューから7年で、フルモデルチェンジかと思われたのだがビッグマイナーチェンジにとどまった

 ここまでレクサスに関して、ディーラーやセールスの話を展開してきた。つまりクルマを売る側の話だ。今度は、レクサス=トヨタは自動車メーカーだから、クルマを製造する側として見ていきたい。

 15年前、レクサスが立ち上がった時、レクサスセンターの役員、デザイナー、エンジニアたちは、レクサスブランドを構築するために一丸となっていた。

 メーカー(トヨタ)も、レクサスの人員はレクサスらしさを行き渡らせるためにトヨタから送りこまない、と言っていた。高級車作りには、それなりの知識と意識が必要だから、とも言っていた。

 ところが何年か経過し、レクサスから役員が一人、二人と交代していくとメンバーチェンジが始まった。エンジニアも交代し始めた。

 「高級車作りはそれなりの経験や体験がなければ」と言っていたのだが、ある時、試乗会でエンジニアと話をしていたら、実はカローラの開発を最近までやってました、という人がいて結構驚いたことがあった。カローラからレクサスだ。「今、勉強中です」と言ったエンジニアの顔が忘れられない。

 最近では、現行LSがデビューした今から3年前のこと、試乗してみると4WDモデルの足回りにやや不安なところがあった。

 それをエンジニアに伝えたところ、「4WDはまだちゃんとしていないんです」と言われた。LSといえばレクサスの最上級フラッグシップモデル。それを一部とはいえ未完のまま発売してしまう、ということに驚かされた。

 さらにLSの後に発売されたESに試乗してみると、これがかなり完成度が高く、走行性能ではLSを上回る部分もあった。

 このことをESの担当者に伝えると、「あっち(LS)はいろいろとあって」というようなことで言葉を濁されてしまった。 

 クルマ作りに関して、レクサスの完成度はまだまだ。デザインに関しては、スピンドルグリルで一体感を表現することでは成功したといえるが、総合的なクルマ作りに一本貫いている信念は見えてこない。ここがメルセデスやBMWとの違いではないだろうか。

 先日、ある中小企業の経営者が、税理士からアドバイスされた。

 「メルセデスやBMWは買わないで下さい。お金があっても、せめてレクサスかアウディを」と言われたそうだ。

 メルセデスベンツSクラスのエントリーモデル、S450が1192万円、レクサスLS500バージョンLが1345万円。

 でもたいていの人はSクラスのほうが断然高価で、ステータスがあると思うだろう。それでよいのだろうか?

 レクサスに足りないもの、つまりレクサスが目指してほしいのは、日本的高級車ではなく世界の高級車オーナーに認められるクルマ作りなのだ。

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みんなのコメント

36件
  • この記事記者の石川真禧照は筋金入りの外車信者、
    過去にはレクサス貶す為の自書まで出版した前科持ちなんだから、バイアスかかり過ぎ。

    朝鮮日報で竹島の歴史、しんぶん赤旗で自民党政権評価、月刊阪神タイガースでジャイアンツの戦力分析読んでるくらいのつもりで ww

       
  • この記事は
    トヨタに訴えてられるレベル
    捏造ばかり
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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