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ストリートレーサー的な加速 カプリ RS 3100 高性能フォード:欧州での60年(2)

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ストリートレーサー的な加速 カプリ RS 3100 高性能フォード:欧州での60年(2)

レーシングカーとは別の3.1L V6エンジン

フォードの高性能部門が提供したすべてのモデルが、モータースポーツへ真剣に向き合い、ハードエッジに仕上がっていたわけではない。1973年に提供されたフォード・カプリ RS 3100は、その好例といえる。

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ベース車両のカプリ 3000 GXLとは、僅かながら見た目の差別化が図られている。だが、ナンバープレートが与えられたRS 3100は、サーキットでしのぎを削ったレーシングカーと、かなり違う内容にあった。

このカプリ RS 3100は、ロンドンの東、アヴレイに拠点を置くフォード・アドバンスト ビークル・オペレーションズ(AVO)が開発した、2番目のホモロゲーション・カプリ。1台目はドイツ向けに開発された、左ハンドルのRS 2600だった。

カプリ RS 3100が誕生した目的は、1974年の欧州ツーリングカー・チャンピオンシップへの参戦。ライバルのBMWは、3.0 CSLのエンジンを2986ccから3003ccへ拡大し、3.0L以上のクラスで善戦していた。

フォードは、2994ccのV型6気筒エセックス・ユニットを3091ccまでボアアップ。モデル名のRS 3100の由来となった。

しかしコスワースが開発した、ツインカム24バルフヘッドを搭載するV6エンジンとは明らかに別のユニットでもあった。レーシングカーのカプリは、460psを発揮していた。

実際のところ、イメージ優先のモデルといえた。それでもRS 2600と同様のアップグレードが投じられ、しっかり能力は高められていた。

オイルショックの影響で生産は2か月の247台

フロントブレーキには、大径のベンチレーテッド・ディスクを採用。フロントがマクファーソンストラット式、リアがリーフスプリングとリジッドアクスルという組み合わせのサスペンションは改良され、ビルシュタイン・ダンパーが取り付けられた。

フロントバンパーにはチンスポイラーが、トランクリッドにはダックテールスポイラーが与えられ、バンパー自体はブラックアウト。ゴールドのサイドストライプでボディは飾られ、アグレッシブさも増していた。

最高出力は、6バルブヘッドを共有する3000 GXLと同じ150psへ留まった。だが、最大トルクは23.8kg-mから25.8kg-mへ増強。0-97km/h加速を8.0秒でこなし、最高速度は199km/hに達した。

ところが、1970年代初頭にオイルショックが世界を襲う。ガソリン価格は高騰し、排気量の大きいRS 3100も影響を受け、1973年11月から12月の2か月間に247台しか生産されなかった。

モータースポーツでの活躍があっても、英国では販売が低迷。値引きしても売れ残った50台は、オーストラリア市場へ輸出された。

写真のモデナ・グリーンが眩しいカプリ RS 3100を持ち込んでいただいたのは、クリス・グリフィス氏。以前にはヒルクライムやスプリントレースで活躍していた車両で、1986年に彼が購入したという。

オリジナルとの違いは、レーシングカーのRS 2600を彷彿とする純正オプション、ケルン・ボディキットをまとうこと。幅が7.5Jもあるワイドなホイールが組まれ、この5台ではひときわ存在感が強い。

ストリートレーサーの様相で鋭く加速する

エンジンには、1970年代に提供された、フォード純正のトリプル・キャブレター・コンバージョンキットが組まれている。当時のオーナーによってシリンダーヘッドとカムシャフトも交換され、最高出力は238psまで高められている。

車重はオリジナルで1144kgだから、パワーにまったく不足はない。キャビンには4点ハーネスが追加されているものの、それ以外の車内の景色はノーマルのカプリと変わらない。ビニール張りのバケットシートも、新車時のままだ。

ドライバーの正面には大きなメーターが2枚並ぶ。レブカウンターは7000rpmまで振られ、スピードメーターと好ましい対をなす。ステアリングホイールは、肉厚な2スポーク。モータースポーツ感は薄い。

キーをひねると、通常のカプリとは違うことを再確認。排気量を増したV6エセックス・ユニットのサウンドは、ドライで音程が低く、オールドスクールな響きに聞こえる。

パワーバルジが与えられた長いボンネット越しに前方を確かめ、アクセルペアルを蹴飛ばす。RS 3100は、ストリートレーサーの様相で鋭く加速し始める。

中回転域でのトルクが太く、レッドラインまで引っ張る必要はない。幅が235もあるタイヤは、不満ないグリップを生み出す。シフトレバーはロングストロークながら正確に動き、漸進的に効くブレーキも強力。予想より扱いやすい。

落ち着いた操縦特性と余裕のある動力性能

タイトコーナーへ突っ込むと、ステアリングが数少ない弱点だと知る。ステアリングホイールは驚くほど重く、ラック&ピニオン式のラックは路面の感触を殆ど伝えない。

それでも、ベルギー・スパ・フランコルシャンのサーキット走行会で、高速コーナーをハイスピードで巡るなら、落ち着いた操縦特性と余裕のある動力性能が真価を発揮するはず。今回のカート用サーキットでは、少々手に余ったことは事実だ。

フォード・カプリ RS 3100(1973年/英国仕様)のスペック

英国価格:2500ポンド(新車時)/6万ポンド(約1080万円)以下(現在)
販売台数:247台
全長:4280mm
全幅:1646mm
全高:1288mm
最高速度:199km/h
0-97km/h加速:8.0秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1144kg
パワートレイン:V型6気筒3091cc自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:150ps/5300rpm
最大トルク:25.8g-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)

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みんなのコメント

1件
  • 日本でもこのぐらいの時期にこのクラスのお手軽スポーティカーが人気あり、英国でも人気あったんですな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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