Bentley Mulsanne
ベントレー ミュルザンヌ
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フライングスパーへの移行は新型コロナの影響で延期に
ベントレーのフラッグシップとして約10年という年月を経て、ミュルザンヌは間もなく生産を完了。そのバトンをフライングスパーへと渡す。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けてベントレーの工場はラインを閉じており、当初4月に予定していた生産終了の延期を発表している。現在、ミュルザンヌの開発・製造を担当してきたスペシャリストたちは、来たる工場再開の日を待ち続けている。
ミュルザンヌは最初のデザインスケッチから最終的な製造・認証まで、すべての工程が英国・クルーにおいてハンドメイドで行われている。2020年までに製造された台数は7300台を超え、世界中のカスタマーへとデリバリーされた。1台のミュルザンヌの製造には、最高峰のスキルと約400時間という時間を要する。
今回、紹介する8名のスペシャリストは、ミュルザンヌをゼロから完成まで導く、数百名のごくごく一部だ。彼らは間も無くフィナーレを迎えるフラッグシップの最後を見守ることになる。
デザイン:クリスピン・マーシュフィールド
クリスピン・マーシュフィールドにとって、ミュルザンヌは彼の分身とも言える存在だ。エクステリア・デザインチームの一員として、ミュルザンヌの様々なエクステリアパーツのデザインを担当。現在、彼は将来のモデルの開発に取り組み続けている。
「プロジェクトの立ち上げ段階から、ミュルザンヌのエクステリアデザインに取り組んできました。最初のアイデアから本格的なクレイモデルの製作、そして最終的な製品開発にまで携わってます。ミュルザンヌは私が最も誇りに思っているプロジェクトのひとつです。時間が経つにつれて、この美しいサルーンはベントレーのアイコンとして認識されるようになりました」
「ベントレー独自の後輪駆動プラットフォームで製造されていますし、象徴的な6.75リッターV型8気筒エンジンを搭載した最後のクルマです。ミュルザンヌを起点に何世代にもわたって過去のベントレーの系統をたどることができます。ある意味、ひとつの時代の終わりと言えるでしょうね」
エンジニアリング:ピーター・ゲスト
ピーター・ゲストはミュルザンヌのボディとトリムの開発責任者を務め、主にボディ構造とキャビン全体の開発を担当した。ミュルザンヌのプロジェクト終了後は、ベンテイガの製造ライン・ディレクターとして活躍。ベンテイガはプロジェクト立ち上げから製品の完成まで見届け、その後はコンチネンタルGTやフライングスパーも手がけている。
「ミュルザンヌはその開発段階から非常に野心的な試みがいくつもありました。完全に新開発されたボディ構造、電子デバイス、さらに大幅に改良された伝統のエンジンと再設計されたシャシーを備えています。開発は600名もの技術者チームによって行われています」
「インテリアも斬新です。非常に複雑で、数百枚のレザートリムとキャビンを取り囲む完璧に揃った“リング・オブ・ウッド”が特徴となりました。私たちはファクトリーの職人たちと協力し、自分たちが設計したクルマを工場で生産できるようにしなければなりませんでした。簡単ではありませんでしたが、デリバリーにまでこぎつけました。今見てもミュルザンヌは驚くべき存在です」
「ミュルザンヌが工場からラインオフされるのを見るたびに、私は強い誇りを感じます。このクルマが発表された時、“グランドベントレー”と称されました。これは、究極のグランドツーリング・リムジンとして完璧なネーミングです。ミュルザンヌから後継モデルへとバトンが渡される今、両方の車種に命の息吹を吹き込んだ者としては、フライングスパーは“グランドベントレー”にふさわしい後継者と断言できます」
ホワイトボディ:イアン・ジョンソン
イアン・ジョンソンはベントレーのホワイトボディ部門で職人として働いている。彼はミュルザンヌのすべての仕様に対しボディ仕上げを担当してきた。今はミュルザンヌの仕事を終え、彼独自の道具セットを携えてベンテイガのプロジェクトへと移行した。
「私がベントレーで過ごした8年以上のキャリアの中には、ミュルザンヌのボディ仕上が含まれています。その間、私は様々な独自の工具を使って金属の仕上げとパネル打ち付けの伝統的な手法を学ぶことができました。ペイントショップへと運ばれる前に、ボディがベントレーに相応しい最高の基準を満たしているか、1台1台確認してきたのです」
「このブランドのフラッグシップモデルに長年取り組んできた最高のチームに加われたことを、心から誇りに感じています。ひとつの時代が終わろうとしていますが、この先もきっと忘れることはないと思います」
ペイントショップ:ロブ・トンプソン
ロブ・トンプソンはベントレーで最も長い経歴を持つ社員のひとりだ。40年間にわたる職務を終え、間も無く定年退職を迎える。彼はベントレーのペイントショップ(塗装部門)のシリーズ・プランニング・マネージャーとして40名を超えるチームを率いており、自身がこれまで得てきた専門知識を次の世代へと伝えている。
「ベントレーで40年目を迎えました。ミュルザンのデビューから退場まで、その物語の一部であれたことが個人的な誇りです。2009年以降、このペイントショップで作業を受けたミュルザンヌ全車に対して私は責任を持っているのです」
「私にとってのミュルザンヌは、ベントレーの伝統と拡大しつつある現代への橋渡しとなった存在です。ミュルザンヌのためにオーダーメイドのボディカラーが作り出されました。特にリキッドマーキュリーと呼ばれているサテン仕上げのメタリックは本当に素晴らしい色合いを持っています」
「ミュルザンヌは発売以来、我々のフラッグシップとして走り続けてきました。その座を受け継ぐのは簡単ではありませんが、新型フライングスパーは間違いなく正当な後継者だと断言できます」
ウッドショップ:ジョン・フィッシャー
ウッドショップの責任者として働くジョン・フィッシャーもまた、ベントレーで長い経歴を持つひとりだ。自動車インテリア用ウッド仕上げをリードするベントレーだが、ハンドメイドでの木工仕上げに関わっていて彼のことを知らない者はいない。ミュルザンヌ以降もフィッシャーは自身が持つ知識を見習い職人たちに受け継いでいくことになる。
「確かにミュルザンヌは私が個人的に繋がりを感じているベントレーです。発売以来、このクルマの木製コンポーネントにずっと取り組んできましたから・・・」
「以前、私はウッドショップのプロダクションマネージャーを務めていました。ドライバーとパッセンジャーを重厚なウッドで包み込むインテリア、“リング・オブ・ウッド”を実現させました。これは最高級の天然素材を使用し、細心の注意を払って製作された真の芸術作品です」
「個人的に最高の瞬間は、ファクトリーを訪れたお客様と彼らの愛車の最終的な仕様を決めるときです。すべてのクルマを特別な1台にする繊細で複雑なディテール、そしてそれを実現させる職人の技に誰もが魅了されてしまいます」
エンジン部門:ティム・ザイペル
ティム・ザイペルは、ミュルザンヌに搭載されている「Lシリーズ」6.75リッターV型8気筒エンジンに関する豊富な経験を持つ人物だ。このLシリーズはアルナージやブルックランズにも搭載されていた。ザイペルはフォルクスワーゲンの傘下に加わって以降もLシリーズエンジンの改良を続け、この伝統的なエンジンはミュルザンヌにも搭載された。ザイペルが持つV8エンジンの経験は、今後のベントレー・モデルでも活かされることになる。
「誰もが存在を知り、そして愛しているミュルザンヌでの役割を担えたことを誇りに思います。2005年の入社後、ミュルザンヌが初めて携わった完全な新規開発モデルでした。そしてミュルザンヌによって、究極のベントレーというものが私の中で定義づけられたと思っています」
「これまでの歴史で、ベントレーが特別な存在となってきた大きな理由にエンジンがあります。ミュルザンヌはベントレーを象徴する“トルクの波”を、現代の排ガス基準を満たすべく完全に再設計されたエンジンで実現したのです」
「だからこそ、6.75リッターV8エンジンに別れを告げるのは私にとって特に辛いことです。エンジンはクルマにとってアイコンとなる存在です。Lシリーズは1959年に最初に生産されています。長年に渡ってこのエンジンの開発・改良を続けたチームの一員でしたから、本当に寂しいですね。 私たちは、8つのシリンダーそれぞれにベントレーの心と魂を込めてきましたから・・・。これからは新しいエンジンで同じことを続けていきます」
オペレーション:ドナ・モーリー
ミュルザンヌの組み立て工程のオペレーションを担当するドナ・モーリーは、ミュルザンヌのモデルライフの重要な瞬間に立ち会ってきた。生産仕様決定前の開発段階、そして最終生産仕様のアセンブリ管理も彼女が担当した。ミュルザンヌの組立工程の作業を管理する彼女は、ハンドメイドで作られた多くのコンポーネントをひとつの自動車へと集める重責を担っている。
「ミュルザンヌとの関係は、ベントレーが試作モデルを開発し始めた2008年に遡ります。私はシニア・プロダクション・クオリティ・マネージャーとして働き、すべてのプロトタイプがベントレーに求められる最高の品質基準を満たすように管理しました」
「私は幸運にも、仲間たちが作ってきたそれぞれのコンポーネントがひとつに集いミュルザンヌとして完成する様子を見守る立場にありました。それが完遂しようとしていることに満足しています。私自身、クルーの工場ゲートから何百台もの自動車を見送ってきましたが、飽きたことは一度もありません」
マーケティング:ハンス・ホルツガートナー
ハンスは、2007年にミュルザンヌのマーケティング・プロダクトマネージャーとしてベントレーに加わった。ホルツガートナーは、ミュルザンヌのモデルライフを通じてカスタマーが望む進化や装備が与えられてきた、と指摘する。現在ホルツガートナーは新型フライングスパーのマーケティングプロジェクトを指揮している。
「ミュルザンヌは私のキャリアをとおして最も充実したプロジェクトでした。自動車業界の頂点に位置する車種を扱っていると、時に芸術の世界へと昇華する時があります。もはや単なる自動車ではないのです。他の自動車メーカーでは想像もできなかったようなマテリアル、工芸品、機能を紹介することができました。たとえば10時間手作業で研磨されたステンレス製パーツなどですね」
「忘れられないのは、2016年のジュネーブ・モーターショーで改良されたミュルザンヌをお披露目した瞬間です。特にミュルザンヌ エクステンデッド ホイールベースをアンベールした時の素晴らしい反応は今でも目に焼き付いています」
「ミュルザンヌは1枚の記念写真にも似ています。二度と訪れない貴重な瞬間です。それはある時代の終わりとも言えます。私個人にとっては、過去100年にわたるベントレーの到達点を学べた車種でした。今、私たちは新章へと進むべき時間なのです」
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