現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【1000キロ弱インプレ】マクラーレン「アルトゥーラ」のロングツアラーとしての資質とは? 街中は電動走行したいもの

ここから本文です

【1000キロ弱インプレ】マクラーレン「アルトゥーラ」のロングツアラーとしての資質とは? 街中は電動走行したいもの

掲載
【1000キロ弱インプレ】マクラーレン「アルトゥーラ」のロングツアラーとしての資質とは? 街中は電動走行したいもの

スーパーカーとは思えぬほど快適

マクラーレンの量産プラグインハイブリッド・スーパースポーツの「アルトゥーラ」がついに日本の道を走り始めました。サーキット走行で本性を試したのに続き、今回は量産の個体でのロングドライブテストでその実力を西川 淳氏が試します。

実走行43キロ!! 2億円オーバーのマクラーレン「セナLM」の内外装はどうしてパパイヤ・オレンジ?

重いバッテリーを積んでも、マクラーレンらしい走り

今や最後となったミドシップスーパーカーだけのブランド、マクラーレン。次世代の主力となる新型モデル、アルトゥーラは2021年に発表された。マクラーレンの量産モデルといえばこれまで馬力数字とアルファベットで呼んできたが、シンプルな反面、モデルやシリーズの違いがわかりづらいという難点があった。

最近では「セナ」や「スピードテール」のようによりわかりやすいペットネームを与えることも多くなって、今回、初めて量産モデルにも「ちゃんとした名前」が与えられたのだった。アルトゥーラとは、「アート・オブ・デザイン」と「フューチャー・テクノロジー」を「ハイブリッド」した造語。そのコンセプトとパフォーマンスを知れば知るほどにお似合いのネーミングだとわかる。

生産の立ち上がりが遅れて心配したが、2022年秋、ようやく日本でも試す機会が訪れた。まずはサーキット走行でマクラーレンとしての本性を試したのだが、舞台となった富士スピードウェイでは正確無比なドライブフィールが際立つ、いかにもマクラーレン製のカーボンシャシースーパーカーらしい性能をみせたものだった。重いバッテリーを積んだ重量的なハンデなどプロレベルでない限りわからない。むしろ淀みのない車体の反応に感動することしきり。 

峠道での印象はサーキットよりさらに良かった。軽さは正義というのがブランドの金科玉条だが、そのことをわかりやすく体験できるという点において正しいのはマクラーレンである。車検証上の重量もきっちり1.5t台に収めてきたから優秀だ。

まずは一級のスポーツ性能を有するモデルであることをトラックとワインディングで知った。重いバッテリーを積んでなお、じつにマクラーレンらしいモデルだと言っていい。では長距離ドライブの印象はどうだろうか。

マクラーレンといえばその名も「GT」というロングツアラー・スペシャルの存在を忘れてはいけない。何度も京都まで連れて帰ったことがあるけれど、ミドシップモデルのなかでは抜きん出て乗りやすく、疲れ知らずのスーパーグラントゥーリズモだった。もとより限定モデルや高性能版(LTなど)を除いた歴代モデルは、乗り心地に優れロングツアラーとしても秀でた存在だった。

はたしてアルトゥーラは500kmドライブでどんな走りをみせてくれるのだろうか。時間を置いて、今度は量産個体による公道インプレッション&ロングドライブを試みる。いつものように東京から自宅のある京都まで往復のロングドライブテストである。

シャシー全体の動きが手にとるようにわかる

満充電のアルトゥーラを都内で受け取った。電動(e)モードでスタートする。スペック表にはBEVとしての航続距離は31kmと書かれてあった。実際には20kmと少し程度だと思っておいた方がいいだろう。それでも都心を出発して最寄りの首都高もしくは高速道路入り口まではたどり着ける距離感だ。早朝や深夜の出発・帰宅に便利であることは間違いない。都内と洛中では電動走行で走りたいところだ。

BEVで走るからには乗り手もできるだけ落ち着いた気分でいたいもの。エンジン音が聞こえてこないぶん、余計なノイズが入ってきやすいが、マイクロチップ入りのピレリPゼロやノイズ吸収型軽量スクリーンなどのおかげもあって上級サルーンのように静かに走る。

数kmで首都高に乗ったので、バッテリーにはまだまだ余力があった。そのまま電動走行を試みる。高速道路の制限速度を守って走っている限り、BEVのままだ。空気を切り裂く音だけが聞こえてくる。ミラーあたりから聞こえてくる風切り音がかえって気になるほど静か。

バッテリー容量が残り6%となったあたりでV8ツインターボが目を覚ます。パワートレインとハンドリングのモードをコンフォートにしてクルージングを続けた。

じつに快適だ。GTよりはっきりと静かなぶん、より安楽かもしれない。刻々と変化する路面に対してつねに柔軟性をもって対処する。これぞ軽くて硬いカーボンファイバー製ボディの恩恵というもので、アシが設計通りによく働いてくれるのだ。そんなシャシー全体の動きのひたむきさが手にとるようにわかる。

クルマが道をよく知っている

途中で雨がぱらついてきた。マクラーレンのロードカーといえば2駆のハイパワーミドシップカーのみ。それでも雨中を安心して進んでいけるのが従来までのモデルの特徴で、アルトゥーラもまたそんな実績をさらに上書きするかのようにいっそうの安心感とともに走った。横風にも強いから、トレーラーの脇や、トンネルとトンネルの間でもまるで怯むことなく高速クルーズを続けることができる。

アルトゥーラの美点は視界の良さにもある。それは文字通りの意味もあるけれども、根本的には視線をつねに落ち着かせることができるからだ。車体=キャビンが安定しているうえ、路面とフロントセクションの関係性がじつにわかりやすい。だから意識して前方を気遣うまでもなく、ほとんど無意識に車体は思い通り進んでくれる。これこそ「クルマが道をよく知っている」というやつだ。

気分的にはアッという間に残り150kmとなった。そろそろ洛中を走る準備をしたい。残念なことにアルトゥーラにはリチャージモードがない(同じくV6 PHEVのフェラーリ296GTBにはある)。パワートレインをトラックモードにすれば充電が始まるのだ。

トラックモードで走ると当然ながらやや煩くなってしまう。ガソリンを余計に使っているという感覚も甚だしい。それでも京都東インターを降りる頃、バッテリー容量は99%まで回復していたので、よしとする他ない。街中は、たとえスーパーカーであっても静かに駆け抜けるのが「スーパーカー乗りの心がけ」というものだろう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

18年ぶりに復活を遂げたトヨタ新型「クラウン・エステート」“待望”の発売! SUVの魅力をプラスした「新発想ワゴン」は635万円から
18年ぶりに復活を遂げたトヨタ新型「クラウン・エステート」“待望”の発売! SUVの魅力をプラスした「新発想ワゴン」は635万円から
VAGUE
ヒョンデ、『インスター』4月導入でEV普及を加速…新拠点開設やパートナーとの連携強化へ
ヒョンデ、『インスター』4月導入でEV普及を加速…新拠点開設やパートナーとの連携強化へ
レスポンス
軽自動車にこそEVがピッタリです。ル・ボラン編集部が選ぶ! 「EVアワード」日産サクラ
軽自動車にこそEVがピッタリです。ル・ボラン編集部が選ぶ! 「EVアワード」日産サクラ
LE VOLANT CARSMEET WEB
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウン“エステート”」! 「ワゴンとSUVの融合」実現した“デザイン”に込められた“想い”とは
18年ぶり復活のトヨタ新型「クラウン“エステート”」! 「ワゴンとSUVの融合」実現した“デザイン”に込められた“想い”とは
くるまのニュース
トヨタ「クラウンエステート」登場! “シリーズ第4”のモデルはなぜ「SUV×ワゴン」融合した? 伝統の「エステート」名称“復活”にかけた開発の想いとは【開発者インタビュー】
トヨタ「クラウンエステート」登場! “シリーズ第4”のモデルはなぜ「SUV×ワゴン」融合した? 伝統の「エステート」名称“復活”にかけた開発の想いとは【開発者インタビュー】
くるまのニュース
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
56年前の「ランボルギーニ」がオークションに登場 名スーパーカー「カウンタック」以前の“4人乗りランボ”とは
VAGUE
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
マルティン、MotoGP第3戦アメリカズGPも欠場へ。第4戦カタールでの復帰も不透明「思うように回復できず、本当に苦労している」
motorsport.com 日本版
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
レクサス [LS]2013年モデルが想像以上に良すぎる件!! マイナーチェンジってウソだろ!?
ベストカーWeb
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
新車購入で後悔したくないなら徹底チェック! 購入前にディーラーの実車で穴が空くほどガン見して確認すべき項目とは
WEB CARTOP
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
トヨタ新型「クラウンエステート」発表! “ワゴン×SUV”を「よりメッキきらめくスタイル」に! スタイリッシュなモデリスタパーツを設定、KINTOでも取り扱い開始!
くるまのニュース
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
レーシングブルズとエクソンモービルが燃料パートナー契約を締結。レッドブルファミリー全体との提携が強化
AUTOSPORT web
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
動かす前に何をすべき!? 冬の間に乗らなかったバイクのメンテナンス
バイクのニュース
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
ワゴン×SUV!? トヨタ新型「クラウンエステート」18年ぶりに復活! 完成された16代目クラウン独自の「乗り味」とは【試乗記】
くるまのニュース
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
高速道路に「人が運転していない」トラックが出現…なぜ? 一般車の自動運転と何が違うのか
乗りものニュース
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
トヨタ新型「クラウンエステート」正式発表! ワゴン×SUVとして18年ぶり復活の理由は? ブランド70周年で4モデル揃う!エステートが担う役割とは 635万円から設定
くるまのニュース
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
スバル新「クロストレック」発表! 鮮烈な「オレンジ」ボディ採用した“サンブレイズ仕様”に大注目! 同時に「インプレッサ」と「レヴォーグ」特別仕様車も公開!
くるまのニュース
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
「アントネッリ圧倒は必須とは思っていない」先輩ジョージ・ラッセル、”速いヤツは最初から速い”理論を提唱
motorsport.com 日本版
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
ホンダ『ZR-V』のゴツゴツ感を低減、スタビリティも向上させるテインの車高調「フレックスZ」発売
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2965 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2498 . 0万円 3380 . 0万円

中古車を検索
マクラーレン アルトゥーラの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2965 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2498 . 0万円 3380 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村