毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るかげで、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
【唯一無二の価値で生誕50年!!】 フェアレディZの“GT-Rにはない”価値と魅力
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は日産 ラシーン(1994-2000)をご紹介します。
文:伊達軍曹/写真:NISSAN、ベストカー編集部
■東京モーターショー参考出品車の好評で市販化
ある種の人には大いに刺さるが、ある種の人にはまったく刺さらないという、なんとも微妙な存在。そのため、会社本体の大幅リストラと同時に体よくリストラされてしまった小型SUV。
日産ラシーンは、そのような車だったといえるでしょう。
ラシーンは、もともとは1993年の東京モーターショーに参考出品された試作車でした。それがかなりの好評となったため、デザインの細部を変更したうえで1994年12月に市販版が発売されたのです。
サニーベースのコンパクトサイズ。それでいて全車4WDでスクエアなボディや背面タイヤ、グリルガードの装着など、クロスカントリーテイストの独特な存在感が好評を得た
ちなみにラシーンという車名は「未知なる旅の水先案内役=羅針盤(らしんばん)」というコンセプトから作られた造語です。
ベースはB13型系サニーの4WD版。そこにクラシカルというのかシンプルというのか、角ばったニュアンスのSUV的ボディを載せ、グレードによっては背面にスペアタイヤが付けられました。
本格クロカンに見えなくもないデザインですし、駆動方式は確かに4WDです。でもラシーンは決して「本格オフロード四駆」ではありません。
「クロカンっぽい雰囲気を楽しむ車」とでもいうべき存在で、今で言う「クロスオーバーSUV」に近い存在だったといえるでしょう。
搭載エンジンは最高出力105psの1.5L直4DOHCが基本ですが、1997年1月のマイナーチェンジで1.8Lの「ラシーンft」を追加。
そして1998年4月には2Lエンジンを搭載する「ラシーン フォルザ」も追加されました。
同時期に白木調のインテリアパネルを採用した特別仕様車「タイプM」が登場したりもしたのですが、残念ながら2000年8月、日産ラシーンはあえなく販売終了に。
その後も「2代目ラシーン」が登場することはありませんでした。
■今なお愛されながら早すぎた登場
日産ラシーンが生産終了となった理由は2つあると考えられます。まず一つは、「ラシーンは、見方によって評価が大きく分かれる微妙な車だったから」ということです。
今でこそ「いかにもヨンクっぽいビジュアルで、実際4WDなんだけど、実は都市部での使用を前提としているSUV=クロスオーバーSUV」というのは一般的で、人気のジャンルでもあります。
しかしラシーンが発売された90年代半ばの日本には「クロスオーバーSUV」という概念は存在しておらず、代わりにあったのが「RVブーム」でした。三菱パジェロとかが大人気だった時代ですね。
そんな時代に「4WDとしての性能はなんちゃってレベルだけど、この雰囲気とカタチがとりあえずイイじゃない!」と思えた人は、もちろんある程度いたのですが、大量ではなかったのです。
半分ぐらいの人は「四駆といってもなんちゃってじゃないか!」「エンジンも普通すぎてかったるいぞ!」みたいに、要は「本格派ではない」という理由でラシーンの価値を認めませんでした。
そしてそれにより、ラシーンの販売台数は「微妙な数字」に落ち着いてしまったのです。
後部座席を倒すと広大なカーゴスペースが現れるなど、もともとユーザーの多様性を考慮して生み出されたこともあり、取り回しや室内の広さなども問題なし。今なお、自由にカスタムして楽しむファンも多い
で、そんなタイミングで現れたのが第2の理由、「日産の経営危機」です。
日産自動車は1998年に約2兆円もの有利子負債を抱え、ハッキリ言って倒産寸前になりました。
そして1999年3月にはルノーと資本提携を結んで経営再建の道を模索していったのは、皆さんよくご存じのとおりです。
そのリストラクチャリングのなかでバッサバッサと既存車種の整理が行われたわけですが、「微妙な存在」であるラシーンは、リストラ候補の筆頭だったかどうかはわかりませんが、どうしたって有力候補にはなってしまいます。
もしも日産の経営が絶好調であったならば、微妙なラシーンといえどもその存在は黙認されたでしょう。
そしてもっと高性能なエンジン等が採用された「2代目」が誕生したかもしれません。でも、当時の日産はそれどころじゃありませんでした。
この素敵なデザインのSUVが1代限りとなってしまったのは残念なことです。
でも、このカタチが好きな人は今なお多数いるようで、全国にはたくさんの「中古ラシーン専門店」が存在し、しっかりレストアされた車両が高値で売買されています。
■日産 ラシーン 主要諸元
・全長×全幅×全高:4115mm×1695mm×1515mm
・ホイールベース:2430mm
・車重:1190kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1497cc
・最高出力:105ps/6000rpm
・最大トルク:13.8kgm/4000rpm
・燃費:15.2km/L(10・15モード)
・価格:191万3000円(1994年式タイプ2)
◎ベストカーwebの『LINE@』がはじまりました!
(タッチ・クリックすると、スマホの方はLINEアプリが開きます)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
「クルマの左寄せ」苦手な人が多い!? よく見えない「左側の車両感覚」をつかむ“カンタンな方法”がスゴい! JAFが推奨する“コツ”ってどんなもの?
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?