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新型トヨタ アクアを理解する3つのキーワード、バイポーラ型・快感ペダル・非常時給電モードとはなにか?

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新型トヨタ アクアを理解する3つのキーワード、バイポーラ型・快感ペダル・非常時給電モードとはなにか?

“安くて燃費がいい”はヤリスハイブリッドに譲った!?

トヨタのハイブリッド専用コンパクトカー「アクア」がフルモデルチェンジを果たしました。2011年に誕生した初代モデルのコンセプトは、次の10年を見据えたコンパクトカーでしたから、まさに10年売れ続けるクルマであったのは有言実行といえます。

新型アクア登場! 価格はそのままに燃費や先進性能を向上。家電が使えるコンセントは全車標準に

その意味でも注目の、2代目アクアのコンセプトは「実用的な環境車を持続可能な形でご提供する」というもの。つまり、カーボンニュートラルへ向け、生産から廃棄までのCO2排出量を考えた現実的な解として生み出されています。

とはいえ、初代モデルとは微妙に立ち位置が変わっています。初代では低価格かつ燃費スペシャルといったイメージでしたが、フルモデルチェンジした2代目では同門のヤリスハイブリッドと比べ価格はむしろ高くなり、燃費性能は若干ながら劣っています。“安くて燃費がいい”というポジションはヤリスハイブリッドに譲ったといえるでしょう。

新兵器・バイポーラ型ニッケル水素電池とはなにか?

トヨタのいう“持続可能”な形とは具体的にはどのような部分を指しているのでしょうか。メカニズムで注目すべきは「バイポーラ型ニッケル水素電池」です。バイポーラというのは英語で書くと「Bi-Polar」となり、直訳すると「2つの極」となります。

電池には正極(プラス)と負極(マイナス)があります。通常の電池ではプラスとマイナスは別々の端子にわかれています。しかしバイポーラ型というのは、ひとつの端子の表と裏にプラスとマイナスを配置、その端子を複数組み合わせた電池のことをいいます。

メリットは従来構造の電池よりもコンパクトにできることで、さらに通電面積も広くなり、電池内の抵抗が減るため出力向上につながるのが特徴です。旧型アクアもニッケル水素電池を搭載していますが、今回バイポーラ型にしたことで、セル当たり出力を約1.5倍、コンパクト化による密度が約1.4倍となり、同じ電池容積であれば約2倍の出力を実現しているそうです。

実はバッテリー容量は旧型より少なくなった

ただし、新型アクアの積んでいるニッケル水素電池の容量は5.0Ahと旧型の6.5Ahより少なくなっています。電池を減らすこと自体が、環境負荷の点でも、車両価格の点でも有利になるため、高性能な電池を少量積むという方針で「持続可能な形でご提供する」というコンセプトを実現しているわけです。

なお、バイポーラ型というのはあくまで電池の構造を示す言葉で、バイポーラ型リチウムイオン電池、バイポーラ型鉛蓄電池も世の中には存在しています。再生可能エネルギーの活用に欠かせない定置型蓄電システムとして注目を集めているのがバイポーラ型です。ニッケル水素電池の新しい方式というわけではありません。

快感ペダルは日産のワンペダルドライブとの違いに注意

2つ目のキーワードは「快感ペダル」。トヨタ初採用という快感ペダルは、アクセルペダルを緩めると回生ブレーキが強めにかかる(ノーマルの約2倍)もので、日産のワンペダルドライブに“近い”走りができるシステムです。アクアの場合は、ドライブモードで「POWER+」を選べば利用でき、多くのシーンでブレーキペダル操作が要らない走りができます。

ただし停止までカバーするわけではないので、日産などのワンペダルドライブに比べると物足りない気もするかもしれません。電動車の運転スタイルがワンペダルになっていくと予想される中で、トヨタは過渡期の機能として快感ペダルを用意したというフシもあります。新型アクアを試乗する際には、快感ペダルのフィーリングチェックはマストでしょう。

安全に給電できる非常時給電モードを全車に標準装備

最後に紹介するのが、非常時給電モードを全車に標準装備したことです。

その前提として、新型アクアにはAC100V・1500Wのアクセサリーコンセントが標準装備されていて、システム起動中に家電が使えます。最大1500Wなので、ドライヤーや炊飯器もOK。ハイブリッドシステムで発電した電力を利用できます。

では、非常時給電モードというのは何かといえば、車両の走行機能を停止した状態で給電できる機能のこと。停電などで家庭に電力を供給するとき、このモードだと誤ってクルマが走り出さないので安心です。もちろん、エンジンを発電機として利用するモードですからガソリンがなくなったら給電できませんし、排ガスも出すのでクルマの置き場所や向きに気を付けてなくてはいけないのは言うまでありません。

ほかにも予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」の標準装備化、10.5インチ液晶のディスプレイオーディオを上級グレードに装備するなど、見どころ満載。ホイールベースの延長などにより車両重量が重くなったこともあり、FF車のWLTCモード燃費は33.6~35.8km/Lとヤリスハイブリッドに比べると見劣りしますが、ハイブリッドカーに求められる機能をバランスさせて上級にシフトしたのが新型アクアといえそうです。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

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みんなのコメント

82件
  • 新型ノートもワンペダル走行は完全にはできないので、新型アクアは比較してどの程度なんでしょうか。気にはなるところです。
  • 国内では事実上、ハイブリッド専用車である初代プリウスから普及したセンターメーター。
    それをハイブリッド専用車であるアクアでやめる決断に至ったトヨタを評価したい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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