8月20日、モビリティリゾートもてぎでスーパーフォーミュラ第7戦の決勝レースが行なわれた。優勝を飾ったのは野尻智紀(TEAM MUGEN)だった。
今季のスーパーフォーミュラは、残すところ2大会3レースとなった。第7戦が行なわれるもてぎ大会を前にしては、宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)が86ポイントで選手権首位、1点差の85ポイントでリアム・ローソン(TEAM MUGEN)が2番手、ディフェンディングチャンピオンの野尻が61ポイントのランキング3番手で追いかけるという状況だった。
■スーパーフォーミュラ第7戦もてぎの1周目にマシンが宙を舞う大クラッシュが発生。赤旗中断もドライバーは全員無事
予選ではシリーズ3連覇に向けて背水の陣の野尻がポールポジションを獲得し、3ポイントを加算した。ルーキーの太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)を挟んだ3番グリッドにはローソンがつけ、ボーナス1点を加えて宮田と同点となった。一方の宮田は予選8番手に終わり、グリッド4列目から追い上げを目指した。
決勝日は午前中から気温30℃を超える猛暑となった。レース開始直前にはサーキットの西側に雨雲が発達していたことから雨が心配され、実際レース途中に雨がぱらついてウエット宣言が出されるタイミングもあったが、基本的にはドライコンディションで37周のレースが進行した。
レースは開始直後に大きなアクシデントが発生した。ローソンがスタート直後の1コーナー~2コーナーでトップの野尻に並びかけたが、2コーナー外側の縁石に乗る形となり、コントロールを失ってスピンしながらコースへ。避けきれなかった牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)らが接触して宙を舞った。
幸い事故に絡んだドライバーは全員無事とのこと。着地で大きなインパクトを受けた牧野も自力でマシンを出られずにいたが、意識はあり、命に別状はないようだ。
レースはセーフティカースタートにて再開されることになったが、クラッシュに絡んだ牧野、関口、松下信治(B-Max Racing Team)は再スタートできず。一方リヤにダメージを負ったローソンはチームの迅速な修復作業によりレース再開に間に合い、最後尾で隊列に加わったが、赤旗中にピットインしたことでドライブスルーペナルティを受けた。
トップ5のオーダーは野尻以下、大湯都史樹(TGM Grand Prix)、平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)と、グリッド順とは大きく様変わりした。10周目にピットウインドウがオープンとなると、トップの野尻をはじめ、平川、山本はステイアウトを選択した一方で、大湯、小林は早々にピットインしてフレッシュタイヤに履き替えた。ただ小林はピット作業でロスがあり、ポジションを落としてしまった。
レースが動いたのは24周目。山本がピットに飛び込んできたのだ。これを機に、山本の“アンダーカット”を防ぐために野尻が25周目に、平川が26周目にピットインしてタイヤを交換した。これでオーダーは野尻、大湯、平川、山本の順となった。
27周目、山本はピットアウト直後でまだタイヤが温まっていない平川を攻め立てる。そして90度コーナーで平川のインに飛び込もうとしたが、平川はこれをブロック。2台は接触し、左フロントのサスペンションを痛めた山本はリタイアに終わった。なお、当該インシデントについては山本に黒白旗(警告)が出された。
トップの野尻が快調にリードを広げる中、早々にタイヤを交換している2番手の大湯はペースが落ちはじめた。残り5周という頃には平川のオーバーテイクを許し、その後ろには宮田がハイペースで迫っていた。
野尻は後続に7秒の差をつけてトップチェッカー。第2戦富士以来となる今季2勝目を挙げた。2位は平川で今季3度目の表彰台、最終ラップまでもつれた3番手争いは、大湯が背後に宮田を従えて3位でチェッカー。今季はアクシデントや負傷などが重なりリザルトを残せていなかった大湯だが、今季初表彰台、そして開幕戦以来となる入賞を記録した。
これで残すレースは10月に鈴鹿で行なわれる第8戦・第9戦となったが、ポイントランキングは宮田94点、ローソン86点、野尻81点と三つ巴の様相に。なお、計算上は51点の平川、50点の坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)にもタイトルの可能性が残されているが、2連勝かつ予選で上位に入ることが最低条件となり、しかも上位勢がポイント獲得を逃さなければならないという厳しい状況である。
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