2021年以降のパワーユニットに関する新規約策定は、6月30日に期限を迎えた。にもかかわらずFIA(国際自動車連盟)とリバティ・メデイア、そして各チーム、自動車メーカーは、それまでに合意に達することができなかった。
去年10月から繰り返し開かれてきたミーティングで議論の中心にあったのは、新たな自動車メーカーをいかに呼び込むか。そのためにはどんな新レギュレーションにすべきか、ということだった。
レッドブル、“進歩のない”ルノーに強い不満を示す「ホンダはこれから大きく改善するはず」
そしてほぼ固まった原案の骨子が、現在のパワーユニットにおいてキモの技術とも言うべき、MGU-H(熱エネルギー回生システム)を廃止することだった。当初はこの技術で優位に立っていたメルセデス、フェラーリが強い拒否反応を示していたが、少しずつ軟化。最終的にはイギリスGP直前にロンドンで行われた戦略グループミーティングで、同意に達した模様だ。
一方、現行4メーカーが参加し、具体的な技術レギュレーションについて議論する技術作業部会には、フォルクスワーゲングループの上級エンジニア、ドナツス・ウィチェルハウスも定期的に加わってきた。いうまでもなく、2021年のポルシェ新規参入を見据えてのことだ。
しかし、現時点ではフォルクスワーゲングループもポルシェも、F1への具体的な参戦意思を表明していない。もし彼らが参入しないとなれば、2021年以降も技術規約は現状維持で行く可能性がある。つまりMGU-Hの存続である。
技術的に劣っているホンダとルノーも、MGU-Hは「F1には欠かせない技術」だとして、以前から廃止には消極的だった。もしMGU-Hをなくすと代わりにエンジン本体の回転数を上げるなどの措置が必要となることが予想され、そうなると新たに莫大な投資をする必要があることも、ネックになっていると思われる。
ちなみにホンダは来季からレッドブルと提携するが、同チームのタイトルスポンサーになっているアストンマーチンも、F1新規参入の可能性は限りなく低い。これでポルシェも来ないとなれば、2021年以降もレッドブルはホンダと組み続けることになりそうだ。
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