この記事をまとめると
■ガソリン車と同様にEVにも12Vの補機バッテリーが搭載されている
クルマの補機バッテリー「鉛蓄電池」はなんと19世紀の誕生! いまでも「現役」な理由と電池の仕組みとは?
■始動時には高電圧バッテリー以外の動力が必要だ
■12Vバッテリーが上がってしまうと本体のバッテリーが満タンでも動かなくなる
EVでも補機バッテリーは必要不可欠
いうまでもなくEVの肝となるのは高電圧の駆動用バッテリーだ。
「kWh(キロワットアワー)」の単位で示されるバッテリー総電力量が大きいほど一充電航続距離は長くできるのはご存じのとおり。また、EVの最高出力というのはモーターの性能も関係するが、バッテリーの出せる能力に左右される。
ともすれば、EVのバッテリーはエンジン車における燃料タンクのようなものと思われがちだが、じつはエンジンと燃料タンクを合わせた役割をもっているのだ。
そんな風に、パワフルでバカでかい駆動用バッテリーを搭載しているEVながら、フロントフードを開けると、昔ながらエンジン車でおなじみの12V鉛バッテリーを搭載していることが確認できる。
どうして12Vバッテリーを別に搭載する必要があるのだろうか? 駆動に使うバッテリーだけではダメなのだろうか?
始動するときには12Vバッテリーのほうが都合がいい
結論をいえば、モーターを動かすための高電圧バッテリーをシステムオフ時に切り離しておくために起動用に別のバッテリーが必要なのである。
考えてみてほしい。クルマに乗るとき最初にどんな操作をするだろうか。スマートキーであればドアハンドルに触れたり、リモコンでキーロックを解除したりするだろう。つまり、キーを刺してロックを解除するタイプでない限り、ドアロック解除についても電気を使っていることになる。
もし高電圧バッテリーだけでEVを動かそうとしたら、常にバッテリーがオンの状態で待機していないとドアを開けることさえできなくなってしまう。それはあまりにリスキーな状態であることは想像に難くない。
そのため、スタートボタンを押すなどして、システムを起動するまでは駆動用バッテリーはスリープ状態にしている。つまり12Vバッテリーは起動用に使われているもので、EVを走らせるために絶対必要なバッテリーといえる。
そのほか、EVであってもカーナビやオーディオ、パワーウインドウなどの電装系に分類される補機類の多くは、ほかのクルマ同様に汎用的な設計となっている。基本的にこれらはエンジン車と共通なので、12Vで動くようになっている。そうした部品を共用するためには12Vのバッテリーを積んでおくと都合がいい。そのため、起動用バッテリーには12V鉛バッテリーが使われることが多いのだ。
勘のいい方なら、ここまで読んでくればおわかりだろうが、12V鉛バッテリーがアガってしまうとEVであっても起動することはできない。ルームランプを点けっぱなしにするなどのミスで12Vバッテリーがアガってしまうと、たとえ駆動用バッテリーが満充電であってもEVは動き出せないのだ。
実際にEVでもバッテリーがアガってしまうことがあり、そうなると走れないという意外に知られていない。EVユーザーであれば注意したいポイントだ。まあ、そもそも12Vバッテリーが完全にアガった状態になるとドアロックも解除できないので乗り込むことさえできないかもしれないが……。
ちなみに、EVの12Vバッテリーであっても、他車の元気なバッテリーとジャンプコードでつなぐことでシステムを起動させることはできる。ただし、構造的な問題でEVからエンジン車へ電力供給するようなつなぎ方はできないことは覚えておきたい。
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みんなのコメント
当たり前じゃん。