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なぜ「クーペ風」デザインが人気? SUVもセダンもクーペのようなクルマが流行る理由

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なぜ「クーペ風」デザインが人気? SUVもセダンもクーペのようなクルマが流行る理由

■世界的なトレンドは間違いなくSUVクーペ

 最近、発表会やモーターショーの取材をしているなかで、耳にしたり、言葉にすることが確実に増えている言葉があります。それが「クーペ」です。

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 ただ昔でいう「クーペ」そのもののモデルではなく、クーペ風スタイルのSUVやセダンなどが続々と登場し、まさに世界的トレンドとなっています。一体なぜなのでしょうか。

 2019年9月に開催されたフランクフルトモーターショーでは、メルセデス・ベンツから新型「GLEクーペ」がデビューしました。同じようにBMWからは新型「X6」が登場しています。X6は、「X5」のクーペバージョンのような存在です。

 国産車では、2016年12月に登場してヒットしたトヨタ「C-HR」もSUVクーペと呼べるデザイン。三菱が久しぶりにリリースした「エクリプスクロス」や、マツダが2019年9月20日に発表した新型SUV「CX-30」もスタイル的にはSUVクーペといえます。

 SUVに関していえば、世界的に見てもトレンドは間違いなくSUVクーペといっていい状況です。

 エクリプスクロスのデザインについて、三菱は次のように説明します。

「SUVのデザインについては、各メーカーでいろいろな方向性があると思います。エクリプスクロスに関していえば、前から後ろへと流れるルーフのラインとサイドのキャラクターライン(ドア部の造形線)を繋げ、“クーペスタイル”を意識してデザインしています。

 過去にクロカンや本格四駆が流行した時代と違い、いまは舗装された道や都市部でも違和感ない、タイリッシュさを要望するユーザーが多いためです。

 そのため、過去イメージとの差別化を図るため、ゴツゴツとした大きなSUVではなく、シャープでスマートなデザインが世界的なSUVのトレンドとなっているのだと思います」

 また、SUVに限らず、セダンでも流麗なスタイルを持つ4ドアクーペが人気を集めています。

 たとえば、日本での発売が始まったメルセデス・ベンツの新型「CLA」は、まさに4ドアクーペです。正統派セダンの「Aクラスセダン」があるので、CLAはより流麗なスタイルが与えられています。

 フォルクスワーゲンのフラッグシップとなる「アルテオン」も、中身はほとんどセダンの「パサート」と同じですから、これもパサートの4ドアクーペ版という存在になります。

 クーペを謳っていませんが、トヨタの新型セダン「カローラ」など最近のセダンの多くがスポーティさを特徴としており、スタイリング的には流麗なクーペ風に向かっています。まじめでお堅い雰囲気のセダンは、すっかり少数派になっているのではないでしょうか。

 とはいえ、これらのクーペは本当のクーペではなく、すべて「クーペ風」といえます。

 本来クーペとは、2ドアの流麗なスタイルを持ったスポーティなクルマを指す言葉です。国産車でいえば、トヨタ「86」や「スープラ」、日産「GT-R」などが該当します。

 ただし、そんなに本格的なスポーツカーではなく、普通のセダンをベースにしたメルセデス・ベンツ「Cクラスクーペ」のようなクルマも海外にはたくさん存在しています。

■クーペ風は本当のクーペより格段に使い勝手がよい

 日本でも、昭和の時代であれば、カローラにクーペが用意されるなど、もっと身近な存在でした。ところが平成に入って、日本ではミニバンやエコカーが大人気になり、本物のクーペはすっかり激減してしまいました。

 本物のクーペが減少した一方で、クーペ風は日本だけなく世界中で大流行となります。SUVクーペのブームは、とくに最近になって目立ってきました。

 そもそもSUV自体が、2010年代に世界のビッグウェーブとなり、もともとSUVが大好きだったアメリカだけでなく、自家用車が急激に普及してきた中国でも、2台目に買うクルマとしてSUVの人気が高まりました。

 急激な経済成長でクルマが買えるようになった中国人が最初に購入したのがセダンで、次にクルマを買うときに「同じクルマでは面白くない」とSUVを選ぶ人が増えたのです。

 そうしたトレンドはアメリカと中国だけでなく、日本や欧州にも大きな影響を与え、それぞれに数多くのSUVのヒット車が生まれます。

 海外のモーターショーを取材していると、「どのメーカーも発表するコンセプトカーや新型車はSUVばかり」ということに気が付きます。

 そして、あまりにSUVばかりということもあったのでしょう。ここ数年のコンセプトカーの多くが、ただのSUVではなく、どれもこれもSUVクーペ風になってきたのです。そして実際に販売される新型車にもSUVクーペが増加し、SUVクーペが頻繁に話題に上るようになります。

 確かにクーペ風は便利なクルマです。ドアの数は、実のところ、ほとんどのクーペ風は4枚あります。2枚しかない本物のクーペよりも便利です。

 室内の広さは、屋根の高い普通のセダンやSUVよりも不利ですが、それでも本物のクーペよりも広くなっています。普段使うのは自分だけ、もしくは夫婦やカップルだけというのであれば、後席の頭上が少々狭いクーペ風でも、それほど不都合はありません。

 そして、なんといってもクーペ風は、普通のSUVやセダンよりも確実に格好良く見えます。同じお金を出すのであれば、見栄えの良いものを選ぶ人は、どこにでも一定数いるものです。

 普通のSUVやセダンよりも格好良くて、利便性の低下はほんの少し。トレンドということで、どんどんと新しいクーペ風のクルマがデビューしています。この流行は、まだまだ続くのではないでしょうか。

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