現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 「盛りすぎ」感も漂う2ドアクーペ BMW M2 長期テスト(1) 路面の管理状態の悪さを実感

ここから本文です

「盛りすぎ」感も漂う2ドアクーペ BMW M2 長期テスト(1) 路面の管理状態の悪さを実感

掲載 6
「盛りすぎ」感も漂う2ドアクーペ BMW M2 長期テスト(1) 路面の管理状態の悪さを実感

初回 盛りすぎ感も漂うG87型M2クーペ

シンプルさを追求しつつ、過剰さも求めることは難しい。これから筆者が長期テストで付き合うことになる、最新のG87型BMW M2は、不思議なことにそれを叶えたモデルのように思える。

【画像】「盛りすぎ」感も漂う2ドアクーペ BMW M2 2から8まで 現行のMモデルたち 全149枚

BMWのMモデルは拡大を続け、大型SUVでプラグイン・ハイブリッドのXMも登場した。本家のBMWも、バッテリーEVのiXがフラッグシップの一角をなしている。そんな中で、内燃エンジンのみで走る従来的な2ドアクーペには、どこか落ち着く魅力がある。

ただし新しいM2は、現実的にはそこまで小さくないし、シンプルでもない。痛快だったM1の後継モデルというより、拡大したM3の弟といった方がしっくり来る。

先代の2シリーズ・クーペは、ハッチバックの1シリーズと後輪駆動プラットフォームを共有していた。だが、戦略上の理由で1シリーズは前輪駆動へ変更。クーペの2シリーズへ転用できる好適なプラットフォームは、3シリーズ用のCLARになってしまった。

そのため、新しいM2の全長は4580mmある。全幅も1887mmだ。

エンジンは、従来どおり3.0L直列6気筒。ツインターボ化で、最高出力は459psまで高められている。果たして、ちょっと盛りすぎ感も漂うクーペが完成した。

たとしても、2シリーズ・クーペと究極のM2が、2024年に生き残っているという事実は喜ばしい。BMWが、内燃エンジンのドライバーズカーにも、まだ情熱を注げることを証明するものだから。

日常的な足としての印象は? ギアはATを選択

仕上がりは素晴らしい。実際、辛口なAUTOCARの詳細テストでも高評価を獲得している。マニュアル・トランスミッションを搭載したモデルによる比較試乗でも、ライバルを抑えてトップの結果を残している。

では、長い期間を過ごした時の印象はどうだろう。M2は週末を謳歌するためのスポーツカーとしてだけでなく、通勤や買物など、日常的な足としても使われることが想定されている。ひと回り大きくなり、実用に耐えるリアシートがあり、荷室も狭くはない。

M2の英国価格は、6万2420ポンド(約1248万円)から。決して安いお値段ではないが、XMの半額だとも考えられる。

オプションは悩むほど多彩。普段使いで望ましい、シートヒーターなどを得られるM2コンフォート・パッケージは730ポンド(約14万600円)で、ドライビング・アシスタント・パッケージは1100ポンド(約22万円)だ。

必ずしも必要とはいえない、Mドライバーズ・パッケージは2305ポンド(約46万1000円)。フロントが19インチ、リアが20インチのMアルミホイールは、330ポンド(約6万6000円)となる。塗装色は、落ち着いたブルックリン・グレーだ。

トランスミッションは、物議を醸すであろう、オートマティック。絶滅危惧種な、比較的小さなサイズのスポーツクーペだと考えると、マニュアルの誘惑は強い。しかし、AUTOCARでこれまで中心的に評価してきたのも、マニュアルだった。

他方、実際に買われる割合いでは、オートマティックの方が多いという。市街地では、こちらの方が付き合いやすいはず。

路面の管理状態の悪さを実感させる

見た目は、通常の2シリーズ・クーペと大きく差別化されている。アグレッシブなデザインといえ、好き嫌いがわかれそうではある。その1つが、M240iなどより拡大された、角ばったキドニーグリル。とはいえ、M4と比べれば抑制されてはいる。

リアバンパーの両サイドも、かなり鋭角的。4本出しのマフラーが威圧的だ。

インテリアは雰囲気が良い。スポーツシートは充分大きく、着座位置は低く、心地良い。インフォテインメント・システムにはロータリーダイヤルが備わり、タッチモニターが指紋で汚れる頻度は少ない。

筆者の第一印象は、路面の管理状態の悪さを実感させるな、ということ。一見細かなツギハギに見えるようなアスファルトの窪みも、大きなクレーターのように感じてしまう。速度域の低い市街地では、車内はかなり揺さぶられる。

滑らかな路面へ出くわせば、後輪駆動のスポーツカーらしい楽しさを堪能できる。直感的でスリリングだ。

既に、ガソリンスタンドの領収書は増えつつある。3.0L直6ツインターボの燃費は、あまり芳しくないようだ。長期テストならではとして、ランニングコストも詳しく取り上げてゆきたいと思う。

BMWの内燃エンジンを搭載した、後輪駆動のスポーツクーペとの暮らしが、楽しみなことは間違いない。新世代のM2を生み出してくれた、BMWには敬意を評したい。筆者の高い期待へ、G87型は応えてくれるだろうか。

セカンドオピニオン

新しいBMW M2が採用したプラットフォームは、先代よりかなり長く、幅も広い。ゆえに、公道を思い切り駆け回りにくくなったことは否定できない。

ジェームスは、一方通行が多い入り組んだロンドンの市街地で、気を使うことになるだろう。ダイヤモンドカットされたアルミホイールは、最後まで傷つけずに済むだろうか。 ジョナサン・ブライス(Jonathan Bryce)

テストデータ

英国価格

モデル名:BMW M2 クーペ(英国仕様)
新車価格:6万2420ポンド(約1248万円)
テスト車の価格:6万6885ポンド(約1338万円)

オプション装備

Mドライバーズ・パッケージ:2305ポンド(約46万1000円)
ドライビング・アシスタント・パッケージ:1100ポンド(約22万円)
M2コンフォート・パッケージ:730ポンド(約14万600円)
Mアルミホイール:330ポンド(約6万6000円)

テストの記録

燃費:10.2m/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし

こんな記事も読まれています

フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
AUTOCAR JAPAN
航続距離がすべてじゃない! ミニ・カントリーマン SE オール4へ試乗 「ゴーカート」感なSUV
航続距離がすべてじゃない! ミニ・カントリーマン SE オール4へ試乗 「ゴーカート」感なSUV
AUTOCAR JAPAN
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
AUTOCAR JAPAN
【欧州で先行試乗】たゆまぬ進化がもたらす未来への予感 マクラーレン アルトゥーラ・スパイダー
【欧州で先行試乗】たゆまぬ進化がもたらす未来への予感 マクラーレン アルトゥーラ・スパイダー
AUTOCAR JAPAN
アルファ・ジュリアやジャガーFタイプも狙い目 今なら半額!な有能「中古」モデル(3) 高速サルーン/クーペ編
アルファ・ジュリアやジャガーFタイプも狙い目 今なら半額!な有能「中古」モデル(3) 高速サルーン/クーペ編
AUTOCAR JAPAN
モーターは「ホイール」の中! べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EVへ試乗 低価格化へつながる?
モーターは「ホイール」の中! べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EVへ試乗 低価格化へつながる?
AUTOCAR JAPAN
改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力
改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(2) 夢中にさせる最高水準の操縦性 妥協ない動的能力
AUTOCAR JAPAN
バイクとクルマを融合? 3輪のモーガン・スーパースポーツ モアパワーへ応えたプラス4 2気筒から8気筒まで(1)
バイクとクルマを融合? 3輪のモーガン・スーパースポーツ モアパワーへ応えたプラス4 2気筒から8気筒まで(1)
AUTOCAR JAPAN
ライバルの「1歩先ゆく」電動サルーン 最新ポルシェ・タイカンへ試乗 感動するほど気持ちいい
ライバルの「1歩先ゆく」電動サルーン 最新ポルシェ・タイカンへ試乗 感動するほど気持ちいい
AUTOCAR JAPAN
インテリア全面改良 BMW新型「X3」乗り心地と安定性も向上 約980万円から年内発売へ
インテリア全面改良 BMW新型「X3」乗り心地と安定性も向上 約980万円から年内発売へ
AUTOCAR JAPAN
2024年版 欧州の「格安車」 10選 装備や性能は? 新車で買える最新モデル
2024年版 欧州の「格安車」 10選 装備や性能は? 新車で買える最新モデル
AUTOCAR JAPAN
「半世紀前」と同じシャシーのロードスター V8エンジンを押込んだプラス8 モーガン 2気筒から8気筒まで(2)
「半世紀前」と同じシャシーのロードスター V8エンジンを押込んだプラス8 モーガン 2気筒から8気筒まで(2)
AUTOCAR JAPAN
【ホンダ新型フリードに試乗】 設計思想に見える優しさも 異例のロングセラーを続けるモデル
【ホンダ新型フリードに試乗】 設計思想に見える優しさも 異例のロングセラーを続けるモデル
AUTOCAR JAPAN
925馬力のアウディ最強モデル登場 「eトロンGT」大幅改良、デザイン一新 装備も充実化
925馬力のアウディ最強モデル登場 「eトロンGT」大幅改良、デザイン一新 装備も充実化
AUTOCAR JAPAN
【全長以外は同じ?】 90とはどう違う ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
【全長以外は同じ?】 90とはどう違う ディフェンダー110 V8カルパチアンエディション
AUTOCAR JAPAN
「史上最高」のロード・ポルシェ 718スパイダー RSへ試乗 カップカー・エンジンを軽いミドシップに!
「史上最高」のロード・ポルシェ 718スパイダー RSへ試乗 カップカー・エンジンを軽いミドシップに!
AUTOCAR JAPAN
値落ちしにくい911 定番の3シリーズ 今なら半額!な有能「中古」モデル(4) スポーツカー/最高評価モデル編
値落ちしにくい911 定番の3シリーズ 今なら半額!な有能「中古」モデル(4) スポーツカー/最高評価モデル編
AUTOCAR JAPAN
さらにワイルド&ドラマチック! 改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(1) アプデで総合700psへ
さらにワイルド&ドラマチック! 改良版マクラーレン・アルトゥーラへ試乗(1) アプデで総合700psへ
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

6件
  • breadvan
    新しいのが出るたびに 古いBMWに意義というか魅力を感じるのは私だけだろうか。特にMT派。
  • キイロイトリ
    ガンダム系ではなくもう少しスッキリ感あるクーペデザインの方が日本では受けそう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村