待望のツーリングが発表された3シリーズだが、実はセダンのラインアップにもエンジンバリエーションが追加されて、豊富な選択肢が用意されている。ここでは、上陸したてのスポーツモデルM340iを筆頭に、それぞれの魅力を解説。どの3シリーズセダンがベストバイなのか、を探ってみたいと思う。
3シリーズとしては初のMパフォーマンス
「BMW X5」にエコなプラグインHV仕様とスポーティなMパフォーマンスモデルが追加!
日本上陸を果たしたばかりのM340i xDriveは、330i Mスポーツとおそらくまだ見ぬM3との中間に位置するモデルであり、3シリーズとしては初のMパフォーマンスでもある。
現行3シリーズのG20型のラインアップのなかでは唯一の直6エンジンを搭載するのが、まずひとつのトピックス。先代F30型の340iが搭載していたB58B0AからB58B30Bへと換装され最高出力は61ps増の387ps、最大トルクは50Nm増の500Nm。ツインスクロールターボはコンパクトなエキゾーストマニホールドでエンジンの直近に位置し、慣性モーメントは25%減となり、350barのインジェクターの採用などがアップデートの内容。第三世代のZF製の8速ATはMスポーツと同様スポーツATとなる。
0-100km/h加速は4.4秒。これは431psのF30型M3から0.3秒落ちるだけという俊足ぶりだが、xDriveの駆動力によるところも大きい。実際、ゼロ発進からアクセルを深く踏み込んでみると、強烈な蹴り出しとともに猛然とダッシュしていく。BMWは直4でも素晴らしいフィーリングだが直6はやはりひと味違う。重厚な雰囲気と滑らかな吹け上がり、回転が上がれば上がるほど旋律が合っていく高揚感。6800rpmまで回しきって加速を楽しめば、エンジンの虜になってしまう。ターボの応答性も素晴らしく、いつでもどんな回転域でも即座に太いトルクを引き出せる。
xDriveのハンドリングは想像以上に鮮烈だ。ステアリング操作に対する正確性の高さ、自由自在な感覚は3シリーズのなかでも随一。先代M3並みの加速力がありながらも、路面が荒れたところでのシャシーの頼もしさが光り、変化に富んだコーナーが連続するワインディングロードで積極的にアクセルを踏み込んでいけることに感動を覚える。たとえば登り勾配で逆カントの中速コーナーなど、FRだったらプッシングアンダーに陥りそうな場面でも、フロントが引っ張ってくれるのでアクセルを踏みながら狙ったラインをトレースしていけるのだ。xDriveとMスポーツディファレンシャルの組み合わせは最強で、FR的な良く曲がる感覚とトラクション性能が絶妙にバランスしている。国際試乗会ではサーキットでM340i xDriveのプロトタイプに試乗したが、中速コーナーでアクセルを全開にするとわずかにテールを振り出しながらも、前へ前へと進んでいくコーナリングが抜群に気持ち良かった。
ステアリングフィールにも4WDゆえの雑味はほとんどない。xDriveはスポーツドライビングを邪魔するどころかドライバーの興奮をさらに高めてくれるのだ。
共通するのは気持ちいいハンドリング
2019年3月の発売当初は330iと320iからスタートしたが、今ではラインアップがほぼ出揃った3シリーズ。今回集結したのはプラグインハイブリッドの330eをのぞく日本仕様の全エンジンバリエーションだ。3シリーズがもっとも輝くワインディングロードでの比較試乗を中心にベストなモデルを探っていくことにする。
M340i xDrive以外はすべてMスポーツだが、330iはファスト・トラック・パッケージを選択しているため19インチタイヤ、Mスポーツディファレンシャル、アダプティブMサスペンションを装着する他、Mスポーツブレーキが標準。320iと320d xDriveは18インチタイヤにコンベンショナルサスペンションで、Mスポーツディファレンシャルはなし。M340 xDriveはアダプティブMサスペンションとMスポーツディファレンシャル、大径Mスポーツブレーキが標準装備となる。
320iは1560kgと軽い車両重量によって走りは軽快だ。同じ2Lターボの330iに比べて最大トルクは100Nm落ちの300Nmになるが、より低い1350rpmから発生するだけあって発進加速は頼もしく、2000rpm前後の常用域も充実していて日常使いでは何の不満もない。
ワインディングを元気に走り回っていると、高回転域ではもうひと伸び欲しいかもしれないと思わせるが、単体で乗っている限りは十分だと納得できる。
ハンドリングも軽やかだ。G20型はシャシーも全面的に進化しているが、なかでもフロントサス取り付け部にアルミダイキャストを採用してフロント周りの剛性が50%も向上しているのが肝でもある。コーナーでは、その剛性感の高さゆえ操舵感がじつに頼もしく、低重心化とワイドトレッド化も相まって最高に気持ちいいハンドリングを堪能できるのだ。
コンベンショナルサスには、ストローク依存型の可変ダンパー(電子制御ではない)が採用されている。フロントは伸び側、リアは縮み側で作用し、ストローク初期はソフトで17mm程度から徐々にハードになっていく。そのため、コーナーへ向けてステアリングを切り込んでいくと、最初は比較的早めのロールスピードでスッと前輪の外側に荷重がのっていく。その後は高いロール剛性をみせながら左右のタイヤから効果的にグリップを引き出してグイグイとノーズを引き込むのだ。その動きによってコーナリングのプロセスがわかりやすく、ドライバビリティを高めている。ただロールを抑えてミズスマシのように動くだけではなく、自然な感覚で曲がっていくから一体になれる。
320iはそんな3シリーズの素の良さが存分に味わえた。パワーに対してシャシーは余裕ありすぎ、という気がしなくもないが、安心してハンドリングを楽しめる。
320d xDriveのエンジンは、以前にも増して静粛性が高く、また低回転域のドライバビリティが進化していた。VTG(可変タービンジオメトリー)のロープレッシャー用とノーマルなハイプレッシャー用の2ステージツインターボは、数ある4気筒ディーゼルのなかでも応答性が飛び抜けて良く、回転上昇もスムーズで4200rpmまで綺麗に回る。もちろんBMWのガソリンに比べればスポーティではないが、じつに良くできたディーゼルなのだ。街中や高速道路では無類の扱いやすさがあり、移動の足と考えれば最高だと思えた。
これもコンベンショナルサスだが、xDriveによってシャシー性能は一枚上手だった。安定感があるのはもちろんだが、コーナー進入時にもFR以上に良く曲がってくれるのだ。各種センサーから得られた情報から走行状況を読み取り、先を見越して前後トルク配分を積極的に可変していくxDriveは、4つのタイヤの限界内ならばアンダーステアやオーバーステアを見事に抑制する。しかも違和感が少なく、ひたすらドライバーを気持ち良くしてくれるのだ。それにしてもびっくりするくらいハンドリングがいいなと思って車検証をチェックすると、このモデルだけ前後重量配分がきっちり50:50だった。
かくも悩ましいベスト3シリーズ選び
330iのエンジンも絶品だ。最大トルクはディーゼルと同じ400Nmで、しかも発生回転数は200rpm低い1550rpmから。こちらはシングルのツインスクロールターボだが抜群の応答性をみせる。超低回転域のドライバビリティだけでも直4ターボで世界一と言えるが、見所は回していったときのスポーティさ。6700rpmまで弾けるように吹け上がっていく。普段使いでは320iでも十分と思わせるが、こういったステージで走らせるとその差は小さくなく、パワーの大きさがドライビングプレジャーに直結する。
電子制御可変ダンパーがハードになるスポーツモードで走らせると、コンベンショナルサスよりも初期のロールスピードが抑えられているので、ややミズスマシ的な動きに近づくが、それでもコーナリングのプロセスはしっかりと感じ取れてコントローラブル。なおかつ荒れた路面での追従性がワンランク上に感じられる。ソフトにしておけば乗り心地もわずかながら勝っているので、やはり電子制御ダンパーのほうが守備範囲が広いと言える。ただ、コンベンショナルサスもかなりいいので選択は悩ましい。
330iでもライバル達が霞むほどのダイナミクス性能を見せつけるが、M340iに比べるとFRゆえにアンダーステアやオーバーステアに陥りそうな場面があり、アクセルを踏み込むタイミングを少し待ったり、曲げる時間をやや多めにとったりすることはあった。それもまたじっくりとクルマと対話しながらのドライビングを楽しめるが、M340i xDriveはそれだけ高度なハンドリングの持ち主であるのは間違いない。
エンジンやサスペンション、ディファレンシャルの違う4台に乗ってみて感じるのは、G20型3シリーズはスポーツセダンを再定義し、最高のダイナミクス性能を追い求めて開発されたということだ。SUVが巷に溢れ、電動化や自動運転、コネクテッドなどに話題が集中する中で、低全高なセダンだからできることを追求。3シリーズとしての価値を最大化したのだ。
そのために剛性の高い新世代プラットフォームをいかして、快適性を損なわないギリギリまでサスペンションを締め上げている。ストロークはスムーズなので動きのクオリティが高く、もっともハードなM340i xDriveでも乗り心地はそれほど悪くない。路面状況によっては硬さを感じることはあるが、スポーツセダンを求める向きには納得できる範囲だ。
18インチ+コンベンショナルサスvs19インチ+アダプティブMサスペンションは甲乙つけがたい。後者のほうがサスの守備範囲は広いが、前者の小さいタイヤのほうが路面変化による乗り心地の変化幅少なく安定しているからだ。
3シリーズはコネクテッドやADAS(先進安全技術)でもトップランナーだ。渋滞した高速道路という運転を楽しめない状況でハンズオフ機能が使えるのは合理的で、誰にとってもありがたい装備といえるだろう。
最後にベスト3シリーズを挙げたいのだが、これがかなり悩ましい。実走行時の排ガス性能が問われるようになってからフィーリングは落ちる傾向にあるディーゼルなのに、信じられないほど良くなっている320dxDriveの完成度にも惹かれるし、320iの素の感覚も悪くない。ドライビングプレジャーとコストのバランスに優れているのは330iであり、センターオブ3シリーズといったところだ。だがここは、スポーツセダンの最高峰を目指したG20型を象徴するM340iをベストとしておこう。懐具合さえ許せば、確かな満足感を得られるはずだ。
3シリーズに搭載されたハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能とは?
BMWが国内認可取得モデルとして初めて導入した機能で、一定の条件下であれば、クルマがステアリング、アクセル、ブレーキの操作を自動的に行う。ドライバーはステアリングから手を離したまま運転を継続できるため、高速道路の渋滞時におけるドライバーへの負荷が大幅に低減できるというわけだ。完全な自動運転ではないため、ドライバーは前方に絶えず注意を払うとともに、直ちにステアリングを確実に操作することが可能な状態を保つ必要がある。渋滞時の運転支援なので、高速道路、時速60km/h以下、先行車両への追従といった条件のもと、グリーンランプが点灯中に作動する。
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