知っておきたい「重量超過」とは?
高速道路を走行していると、今まであまり見ることのなかった警告板が設置されていることに気付いた人も多いと思います。
バイクなら走れそう!! 高速道路の路側帯走行は違反になるのか?
それは、オレンジ色のプレートに「走行」「追越」と上下に書かれていて、それぞれの横に電光掲示板が設置されているもの。この警告板は、一体何のために設置されているのでしょうか。
最近になって高速道路で増えてきているこの警告板は、「重量超過警告板」というもの。本線上を走行する重量超過(軸重超過)のクルマに対し、「軸重超過」という警告が電光掲示板に表示される仕組みになっています。
軸重超過とは、それぞれの車軸にかかる重量が基準値を超えた状態のこと。いわゆる過積載のひとつで、道路法および車両制限令で定められている基準値を超えて走行すると法令違反となります。
なお、車両制限令では道路の構造を保全し、交通の危険を防ぐために、通行する車両の大きさや重さの限度値(一般的制限値)が定められています。
おもな項目は、「幅」、「長さ」、「高さ」、「総重量」、「軸重」、「最小回転半径」の6つで、このうち軸重の一般的制限値は10トン。一般的制限値を超えた車両の通行は、道路に大きな損傷をおよぼしたり重大な交通事故を引き起こしたりする原因になる可能性があります。
そのため、これまではこうした過積載の計測は、料金所付近で警察官が疑わしい車両を誘導しておこなうのが一般的でした。しかし取り締まりを強化するために、2023年4月1日から自動軸重計を活用した取り締まりが開始された事が、重量超過警告板を最近見かけるようになった理由です。
自動軸重計で取り締まりをおこなうのは、NEXCO3社と首都高速、阪神高速、本州四国高速の6つの高速道路会社が管理する高速道路が対象。高速道路の本線上に設置された自動軸重計により、通行する車両の軸重が自動で計測されることになります。
いわば、過積載違反車用のオービス(速度違反自動取締装置)のような存在。走行中のクルマの軸重を自動で計測し、軸重超過の車両を検知すると、本線上にある重量超過警告板、または料金所の電光掲示板に「軸重超過」が表示される仕組みです。
この際に、軸重超過の違反車両はそのまま通り過ぎることができますが、計測と同時にナンバーの読み取りもおこなわれている為、車両が特定される流れ。こうして違反車両を把握し、繰り返し違反をおこなう事業者には警告と是正指導をおこなうとしています。
それでも改善がみられない事業者に対しては、高速道路会社のホームページで是正指導内容などの公表や、特殊車両通行許可の取り消し、関係機関と協議をおこなった上での告発をおこなうこともあるとの事。
こういった取り締まりの背景には、過積載の大型車両の通行による、道路構造物への多大な蓄積ダメージが懸念されていることにあります。また、ひとたび違反車両が事故を起こすと、重大事故につながりやすいことも要因のひとつとなっています。
重量超過した車両の通行が与える舗装や橋へのダメージとは
重量超過をした車両の通行は、想像以上に舗装や橋にダメージを与えます。その影響は、橋(コンクリート床板)では軸重の12乗に比例するそう。
例えば基準より2割超過の軸重12トンで約9台分のダメージとなり、基準より5割超過の軸重15トンで約130台分のダメージ。さらに、基準の2倍となる軸重20トンでは約4000台分のダメージに匹敵するとされています。
実は、こうした重量超過違反は、運送事業者だけの問題ではありません。荷主側が過積載に対して意識が薄いと、運送事業者に無理な依頼をおこない重量超過に発展するケースも多々あります。
なお、重量超過違反について荷主の関与が明らかになった場合は、荷主勧告制度に基づいて調査や荷主の社名が公表されることもあるとの事。というように、軸重超過は荷台のあるトラックやトレーラーなどの大型車両に適用される罰則ということがわかります。
では、クルマに比べて積載性に乏しいバイクの場合、荷物の重量制限はあるのでしょうか。
じつはバイクの積載制限に関しては、道路交通法施行令第22条および同第23条(原付)にしっかりと明記されています。それによるとバイクの最大積載量は、50cc超の原付二種を含む自動二輪車で60kg、50cc以下の原付については30kgが上限。積載オーバーした状態で運転をすると、「積載物重量制限超過」となり罰則の対象です。
さらに重量超過の度合いによって罰則内容が変わり、例えば重量超過が5割未満の場合は、違反点数1点に加え普通二輪は2万円、原付には1万5000円の反則金が科せられます。
また重量超過が5割以上10割未満では、違反点数2点と普通二輪には2万5000円、原付には2万円の反則金が科せられることに。さらに重量超過が10割以上で、普通二輪には3万円、原付には2万5000円の反則金とそれぞれ違反点数3点が科せられることになります。
積載スペースの少ないバイクで規定上限以上の荷物を積む事はほとんど無いと思いますが、積載制限があることは覚えておきましょう。
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