車種別・最新情報 [2024.07.01 UP]
新型ヴェゼル詳細チェック&ライバル比較
前期型オーナーが悔しがる!? 乗れば納得のマイナーチェンジ【ホンダ ヴェゼル】
コンパクトSUV選びの最右翼がマイナーチェンジで魅力をアップ!
コンパクトSUV選びの中心となっているホンダ・ヴェゼルが初のマイナーチェンジを実施した。e:HEVの強化やフェイスリフトに加え、グレード体系も再編成されるなど、新型は従来のヴェゼルのポジションとは少し異なっているようだ。ここでは新型の狙いと、ライバル車たちとの関係を浮き彫りにしてみたい。
●文:渡辺 陽一郎 ●写真:奥隅圭之
HONDA 新型ヴェゼル 詳細チェック
現行型は上級化路線を重視
1ランク上のSUVへ
今はSUVの人気が高く、新車として売られる小型/普通乗用車の30%以上を占める。ミニバンを抜いてコンパクトカーに並ぶ売れ筋カテゴリーだ。SUVが人気を得た背景には、厚みのあるフロントマスクや大径タイヤで外観がカッコ良く、ワゴン風のボディで居住性や積載性も優れていることが挙げられる。運転しやすく価格も割安なコンパクトSUVでもファミリーで使いやすく、販売も好調だ。
その代表が2013年に初代(先代)モデルを発売したホンダ・ヴェゼルだった。2014年には1か月平均で約8000台、2015年には約5900台を登録して、販売ランキングの上位に入っている。
ところが2021年4月に登場した2代目の現行ヴェゼルは、先代型に比べて売れ行きが伸び悩む。コロナ禍等の影響もあるが、2022年の1か月平均登録台数は約4200台、2023年は約4900台だった。販売不振の原因はグレード構成と価格だろう。先代型の時点からハイブリッドがノーマルエンジンよりも多く売れ、現行型はe:HEVに進化した。そこで現行型はe:HEVのグレードを充実させ、ノーマルエンジンは価格の安いGのみに整理した。
この時に開発者は「e:HEVの販売比率が80%でノーマルエンジンは20%」と予想したが、実際の受注はe:HEVが94%でノーマルエンジンは6%に留まった。しかも82%をe:HEV・Zが占めて、その価格は2WDでも289万8500円と高い。しかも2023年7月には300万1900円に値上げされた。
こうなるとヴェゼルのイメージも変わる。e:HEV中心のプレミアムコンパクトSUVと受け取られ、ノーマルエンジンのGは存在感を一層薄れさせた。その結果、先代ヴェゼルのノーマルエンジン車を使う人達を含めて、ホンダの割安なSUVを求めるユーザーが、ヤリスクロスなど他社のコンパクトSUVに乗り換え始めた。
そこでヴェゼルのノーマルエンジン車の実質的な後継にすべくWR‐Vを導入した。価格帯は約210~250万円で、これは先代ヴェゼルのガソリン車に相当する。WR‐Vは2024年4月時点の受注台数が1万3000台になり、ヴェゼルのノーマルエンジン車の販売不振を補えた。
エントリーはWR-Vへ誘導
ヴェゼルはさらに上級へ
そうなると次に行うべきは、ヴェゼルのe:HEVの強化で、2024年4月にマイナーチェンジを実施した。一番の注目点は、ベーシックなe:HEV・Xに、ハントパッケージを加えたことだ。バンパーの下側に装着される装飾やルーフレールにより、外観はアウトドア志向が強い。シート生地はプライムスムース&ファブリックに上級化され、撥水・撥油加工も施した。近年はヴェゼルのようなシティ派SUVが増えた反動もあり、ランドクルーザーなどの悪路向けSUVが注目されている。WR‐Vも野性的な雰囲気のフロントマスクで人気を高めており、ヴェゼルもe:HEV・Xハントパッケージを加えた。
また以前はパノラマルーフなどを標準装着するe:HEV・PLaYを用意したが、e:HEV・Z・PLaYパッケージに変更した。その上で以前は標準装着だったパノラマルーフがオプションに変わっている。内装ではセンターコンソールに高感触バーミリオン塗装を施していたが、これは廃止した。現行ヴェゼルの発売直後には、コロナ禍の影響もあってこれらのパーツ供給が困難になり、e:HEV・PLaYは納期を遅延させたり受注を停止したからだ。さらに以前のe:HEV・PLaYは、価格が最も高いグレードなのに、e:HEV・Zに標準装着されるエアコンの左右独立温度調節機能などをオプションでも装着できない矛盾も抱えていた。これもPLaYパッケージに変更したことで解消されている。このほか乗り心地、e:HEVの運転感覚、安全装備の設定など、さまざまな機能が改善されている。
今回の改良でフロントマスクを中心にSUVらしいタフネス感が強まった。新設定のXハントパッケージ(写真)は、その象徴ともいえるグレードだ。
内装の配色パターンも拡大。より幅広いニーズに応えることが可能となった。もちろん、広々としたシート&荷室や多彩なアレンジ機能も踏襲されている。
ヴェゼル選びの基本は
新設定のハントパッケージ
今回のマイナーチェンジにより、ヴェゼルのノーマルエンジン車は4WDのGのみになった。ノーマルエンジンの2WDはWR‐Vと重複するからだ。従って現在のヴェゼルは、基本的にe:HEVを中心に販売される。しかしそれでも価格は重要だ。コンパクトSUVでは、ハイブリッドでも価格が300万円を超えると、割高に感じるユーザーが多い。そこでトヨタカローラクロスも、中級のハイブリッドSを298万円としている。
この点も踏まえると、ヴェゼルの新しい買い得グレードはe:HEV・Xハントパッケージだ。e:HEV・Xに、ルーフレール、撥水&撥油シート生地、ハントパッケージ専用の外装パーツなど15万円相当の装備を加えて、価格アップを11万円に抑えた。そのためにe:HEV・Xハントパッケージの価格は299万8600円とされ、ライバル車のカローラクロスハイブリッドSと同じく300万円をギリギリで下まわる。ハイブリッドで実用重視のグレードを選ぶならe:HEV・Xでも良いが、SUVのカッコ良さを求めるならe:HEV・Xハントパッケージを推奨したい。人気グレードになるから数年後の売却額でも有利だ。
Zの充実の装備設定は
価格以上の魅力を感じる
安全面を中心に装備を充実させたいユーザーはe:HEV・Zを選びたい。e:HEV・Xの装備内容に加えて、夜間走行でハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑えるアダプティブドライビングビーム、後方を走る並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーション、曲がる方向を照射するLEDアクティブコーナリングライト、ステアリングヒーター、エアコンの左右席独立温度調節機能、ハンズフリー作動の可能な電動リヤゲートなどが装着される。内外装の装飾も豊富で、アルミホイールのサイズもe:HEV・Xは16インチだが、e:HEV・Zでは18インチに拡大される。
e:HEV・Zは、e:HEV・Xにこれらの装備を加えて、価格アップは31万200円だ。相応に高いが、安全性、利便性、快適性をバランス良く向上させられる。予算に余裕のあるユーザーには魅力的だ。メーカーオプションでは、後退しながら車庫から出る時の安全性を高める後退出庫サポート、マルチビューカメラシステムなどを加えたい。コンパクトSUVとしては、装備をかなり充実させられる。以上のように推奨度の高いグレードは、デザインやアウトドアでの使い勝手などを重視するならe:HEV・Xハントパッケージ、充実装備が必要ならe:HEV・Zになる。
「PLaY」は大幅値上げ
買い得感の視点では……
e:HEV・Z・PLaYパッケージは、22万円に相当するホンダコネクトディスプレー+ETC2・0車載器+後退出庫サポートが加わって専用の外装パーツも装着されるが、前述の通りパノラマルーフは以前と違って標準装着ではない。マルチビューカメラシステムとセットで、23万8830円のメーカーオプションに変更された。それでもe:HEV・Zと比べた時の価格アップは35万7500円だから買い得とはいい難い。従ってe:HEV・Z・PLaYパッケージは、より趣味性を強めた仕様と言っていいだろう。
なお4WDが欲しいユーザーには、ノーマルエンジンを搭載する4WD専用グレードのGも魅力的だ。快適装備などの内容はe:HEV・X・4WDと同等だが、Gの価格は45万9800円安い。今のノーマルエンジンとハイブリッドの価格差は、35~37万円の車種が多いため、約46万円の差額であればノーマルエンジンの安さが際立つ。販売店では「Gはほとんど売れていない」というが、機能と価格のバランスでは買い得だ。
Honda CONNECT対応の純正ナビディスプレーは、ヴェゼルの目玉装備のひとつだが、搭載可能なのはe:HEV Z系のみ。Gとe:HEV X系はディーラーナビを選ぶ必要がある。
最上級グレードだったPLaYは、今回の改良を機にe:HEV Zをベースとするパッケージグレードに変更。フロントグリル&ロアバンパーのデザインも変更され、イメージも変わっている。
ヴェゼル e:HEV X HuNTパッケージ
アウトドア好きはもちろん、そうではないユーザーにもオススメ
価格:299万8600円(FF)、321万8600円(4WD)
HuNTパッケージの内装色はカジュアルな雰囲気のカーキ×ネイビー。シートは撥水&撥油機能が与えられたFABTECT (ファブテクト)シートを採用している。
レジャー時に便利なルーフレールを唯一装着している。使い勝手の面はもちろん、ドレスアップアイテムとしても嬉しい装備だ。
アルミホイールはシャークグレー・メタリック塗装の専用16インチを装着。タイヤサイズは215/60R16になる。
ヴェゼル e:HEV Z
装備がバランス良く充実。買い得感はかなり良好
価格:319万8800円(FF)、341万8800円(4WD)
内装色はブラックで、シートはプライムスムース×ファブリックのコンビタイプ。シルバー調のガーニッシュパーツで上級感も巧みに演出している。
Z系は、ブラインドスポットモニターやハンズフリーアクセスパワーテールゲートなどの上級装備が標準となり、装備水準が1ランクアップ。
ヴェゼル e:HEV Z PLaYパッケージ
1ランク上とも戦える、純正ナビも標準の豪華仕様
価格:355万6300円(FF)、377万6300円(4WD)
内装色はグレージュを採用。シートステッチやインパネ&ドアガーニッシュにライトブルー塗装を加えるなど、より都会的な雰囲気が強まっている。
パノラマルーフが標準装備からメーカーOPに変更。供給のネックになっていた装備をOPにすることで、納期の安定化が期待できる。
新型ヴェゼルVS ライバル3モデル《カローラクロス/キックス/CX-30》
売れ線ジャンルゆえに、有力モデルが目白押し。今、最もベストな一台はこれだ!
コンパクトSUVは、実力モデルが揃うこともあって、どのモデルを選んだとしても外れはないが、それでも最もベストを選びたいのが人情だろう。ここでは、新型ヴェゼルと熾烈な争いを繰り広げているライバルたちをピックアップ。おのおのの強みや魅力をお教えしよう。
HONDA 新型ヴェゼル
TOYOTA カローラ クロス
NISSAN キックス
MAZDA CX-30
ライバル筆頭は、価格も
サイズも近いカローラクロス
ヴェゼルのライバル車は、全長が4200~4500mmのコンパクトSUVだ。全幅は1700mmを超えて3ナンバー車になるが、全長は短く運転しやすい。
ライバルの中で、特に人気の高い車種がトヨタ・カローラクロスだ。2023年の1か月平均登録台数は約5600台で、ヴェゼルの約4900台を上まわる。パワーユニットは2ℓのノーマルエンジンと1.8ℓのハイブリッドを用意する。ボディサイズは全長が4490mm、全幅は1825mmで、コンパクトSUVではボディがワイドな部類に入る。混雑した街中や狭い駐車場では不利だが、最小回転半径は5.2mだから小回りの利きは良い。インパネなど内装の質感は、ヴェゼルが少し高く後席も広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、カローラクロスは握りコブシ2つ弱だがヴェゼルは2つ半だ。その代わりカローラクロスは荷室長が長く、全長が4500mm以下のSUVでは積載容量は最大級になる。ハイブリッドのWLTCモード燃費は、2WDが26.4km/ℓ。ヴェゼルの2WDは、e:HEV・Xが26.0km/ℓ、e:HEV・Zは25.3km/ℓになる。価格は前述のようにハイブリッドS.2WDが298万円だ。カローラクロスでは、ノーマルエンジンとハイブリッドの価格差を35万円に抑えて、ハイブリッドは購入時に納める税額も安く、実質価格差は約24万円に縮まる。レギュラーガソリン価格が160円/ℓなら、約7万kmを走ると実質価格差を燃料代の節約で取り戻せる。燃費の良さが魅力のカローラクロスは、ハイブリッドの販売比率が77%にも達している。
内装の古さは気になるが
キックスも有力候補
2番目のライバル車は日産キックスだ。ハイブリッドのe-POWER専用車で、全長が4290mm、全幅は1760mmになる。ヴェゼルよりも若干小さい。そのために後席に座った乗員の膝先空間は、前述の測り方で握りコブシ2つ弱に留まる。その代わり4名乗車時の荷室長はヴェゼルよりも少し長い。キックスもカローラクロスと同様、荷室の広さを重視して開発されているが、キックスは内装のデザインに設計の古さを感じる。キックスのe-POWERは、エンジンは発電を行い、駆動はモーターが担当するハイブリッドシステム。ヴェゼルのe:HEVに似ているが、e-POWERはフットブレーキとの協調制御を行っていない。そのためにアクセルペダルを戻した時に強い減速力が生じるエコ/スポーツモードでないと、優れた燃費性能を発揮できない。またe:HEVでは、高速巡航時にはエンジンが直接駆動して燃費効率を向上させる制御を行うが、e-POWERにはこの機能も採用されない。そのためにWLTCモード燃費は2WDが23.0km/ℓに留まる。価格は装備を充実させたXが299万8600円だから、ヴェゼルe:HEV・XハントパッケージやカローラクロスハイブリッドSと同等だ。
CX-30のディーゼル車は
経済性の高さも魅力
マツダCX‐30もヴェゼルのライバル車。e:HEVのようなハイブリッドは選べないが、余裕のある動力性能と低燃費を両立させたクリーンディーゼルターボがある。2WDのWLTCモード燃費は19.5km/ℓだが、軽油価格はレギュラーガソリンに比べて20円/ℓほど安い。従って燃料代は23km/ℓのキックスと同程度だ。そして実用回転域の駆動力は、排気量が2.7ℓのガソリンエンジンに匹敵するから、力強い走りを満喫できる。外観に特徴があり、ドアパネルが曲面で構成されるため、周囲の風景が美しく映り込む。全高が1540mmに収まり、立体駐車場を使いやすいこともメリットだ。運転席に座ると適度な囲まれ感があり、スポーティな雰囲気も味わえる。その代わり後席は狭めで、前述の測り方で座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ少々だ。ドライバーの運転姿勢を優先させている。価格はディーゼルを搭載してアダプティブLEDヘッドランプなどを標準装着したXDプロアクティブ2WDが305万1400円だ。価格はライバル車のハイブリッドと同等になる。
TOYOTA カローラ クロス 価格:218万4000~345万9000円
パワートレーンは2ℓNA車と1.8ℓハイブリッド車を設定。昨年秋の一部改良時にガソリン車が2ℓ化されたことで動力性能が向上。コスパの良いガソリン車が選べることも見どころだ。
派手な加飾は控えめなカローラ系に共通するインパネ。荷室も開口部を広くとった実用重視の設計だ。昨秋の改良時にメーターパネルのカラー液晶化や、上級ディスプレイオーディオの追加など利便機能も大きく強化されている。
NISSAN キックス 価格:299万8600~348万1500円
2022年夏のマイナーチェンジ時にe-POWERを現行ノートと同型に変更し、リヤモーターを搭載した4WD車も追加。電動車ならではの力強い走りの魅力がさらに高まっている。
国内に導入されるモデルは、装備充実の上級グレードのみ。モニターなどの配置場所に設計年次の古さも感じるが、内装加飾のレベルはこのクラスではトップ級。プロパイロットも標準装備。
MAZDA CX-30 価格:255万6400~367万8400円
マツダSUVの中では、乗り心地を意識したサスセッティング。パワートレーンは3タイプ用意されるが、分厚いトルクで運転がしやすいディーゼルターボが一番手の選択だ。
内装質感の高さが群を抜いている。特に本革シート仕様は1ランク上とも互角に戦えるレベルだ。一方、後席や荷室は、このクラスのライバルたちに比べると手狭感が否めない。
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