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ヤリス・クロスの「高級仕立て」は機能するか? レクサスLBXへ英国試乗 想像以上に運転は楽しい

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ヤリス・クロスの「高級仕立て」は機能するか? レクサスLBXへ英国試乗 想像以上に運転は楽しい

欧州市場でのブレークスルーに繋がるか

レクサス最小のクロスオーバー、新しいLBXには大きな期待がかかっている。3文字のモデル名にも、その事実は表れている。レクサス・ブレークスルー・クロスオーバーの略だという。

【画像】想像以上に運転は楽しい レクサスLBX 競合サイズのクロスオーバーと比較 全117枚

ブレークスルーの意味するところは、欧州市場でのシェア拡大。レクサスは、英国市場で結ばれる新規契約の3割を、このLBXが占めると予想する。同社のベストセラーとして、年間2万台を売りたいと考えている。

LBXのターゲット層は、都市部で暮らすエンジニアなどの若い世代。デニムやスウェット姿で気軽に運転できる、プレミアムモデルという設定のようだ。といっても、電動クロスオーバーのZRのドライバーが、テーラード・スーツを着ているとは限らないが。

2023年に発表されたニューモデルとして注目すべき事実が、バッテリーEVが想定されていないこと。欧州市場の傾向へ逆行するように、ハイブリッド1本でプレゼンスの拡大が目指されている。

直接的なライバルといえるのは、2024年に生産終了を迎えるアウディQ2と、さほど数が出ていないDS 3。ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)とも競合するが、ボディサイズはLBXの方が小さい。

好意的な表現ではないかもしれないが、LBXは、トヨタ・ヤリス・クロスをレクサスへ見合うよう豪華に仕立てたモデルといえる。新鮮なスタイリングからは、想像し難いかもしれない。

どちらも、TNGA-Bプラットフォームが基礎骨格。1.5L 3気筒ガソリンエンジンによる、ハイブリッド・システムも共有する。

プラットフォームは同一でも多くの違い

英国での価格は、エントリーグレードで2万9995ポンド(約555万円)から。トップグレードでは、3万9545(約732万円)に達する。ちなみに、ヤリス・クロスは2万4855ポンド(約460万円)から購入できる。

LBXの開発を主導した技術者は、プラットフォームが同一だとしても、開発はまったく別に進められたと主張する。本物のレクサスにするべく、ヤリス・クロスとは多くの違いが存在するそうだ。

ホイールベースは20mm長く、LBXでは2580mmに設定された。全長は10mm長く、4190mm。全高は50mm低く1545mmで、全幅は60mm広く1825mmある。確かに、プロポーションはだいぶ異なる。

全幅が広いことで左右のタイヤの間隔、トレッドも広い。乗り心地や操縦性を向上する鍵になったという。

また、ハイブリッド・パワートレインも差別化されている。LBXでは優れたレスポンスを求めて、駆動用バッテリーにニッケル水素を採用。システム総合での最高出力は134psと、ヤリス・クロスの130psより強力に仕立てられている。

試乗車のLBXは、英国での主力グレードに予想されるプレミアム。インテリアは、高級感がさほど高くないものの、雰囲気はしっかりレクサスしている。

ダッシュボードは落ち着いた造形で、手で触れるような場所には、合成皮革など触感を意識した素材が用いられる。プライバシーガラスやスマートフォンのワイヤレス充電パッドなど、装備にも不満はない。

eラッチ・ドアを採用 車内空間は限定的

センター・タッチモニターのサイズは9.8インチ。小柄なクロスオーバーには充分なサイズといえ、インフォテインメント・システムの操作性も、従来から大きく改善した。

タッチモニターの下部やドアパネルには、実際に押せるハードボタンも用意されている。エアコンの温度も、ドアミラーの角度も、慣れ親しんだ方法で調整できる。フォグライトは、ウインカーレバーのスイッチで点灯できる。当たり前のことがうれしい。

同時に、モダンな電子システムも採用する。eラッチと呼ばれるドアヒンジ・システムは、何かにぶつかりそうだと判断すると、開く角度を制御。スマートフォンを、デジタルキーとして登録することもできる。

小さなボディサイズがゆえ、車内の収納は限定的。ドアポケットやセンターコンソールの小物入れ、グローブボックスなど一通り用意されているが、容量は大きくない。

リアシート側の空間は、前後長が狭め。高身長の大人がフロントシートへ座ると、その後ろには大人に充分な空間が残らないだろう。

荷室の容量は402Lで、このクラスとしては大きめ。フロアはフラットで使いやすそうだが、高さを調整できたり、仕切りが用意されていたりということはない。

期待を寄せる理由は理解できる

実際の走りで配慮されたポイントの1つが、ノイズ。運転してみると、低速域では驚くほど静かだ。加速は、ヤリス・クロスより活発。駆動用モーターが積極的に働き、加減速の激しい都市部でも、車内は平穏に包まれている。

しかし、136psを引き出そうとすると、CVTがエンジンを高回転域まで引っ張り、唸りが聞こえてくる。レスポンスも、そこまで鋭いわけではない。高速道路での巡航時は静かに戻るとはいえ、プレミアムな価格に見合うマナーとは呼びにくい。

燃費は優秀。今回は都市部から高速道路まで、複合的に約160kmを走らせたが、平均19.5km/Lを記録した。

操縦性も強み。ホイールベースが短く、車重は1300kg前後と軽量で、軽快に操れる。回頭性は鋭く、入力に対する反応は正確。高速で旋回を試みても、姿勢は落ち着いている。小柄なだけに、小回りも効く。

乗り心地は基本的にしなやか。稀に細かな不整で衝撃を伝える場面はあったものの、大きめのバンプを越えても乱れることはなかった。

カーブが連続する郊外の道では、想像以上に運転が楽しい。コンパクトなモデルの魅力を、再確認させてくれた。

LBXのパッケージングは悪くない。レクサスが期待を寄せる理由も理解できる。燃費が良く、運転を楽しめる小さなクロスオーバーは、多くの人が欲する内容といえる。ヤリス・クロスより乗り心地に優れ、内装は上質で、見た目のインパクトも強い。

とはいえ、約6000ポンド(約111万円)の価格差に相当するほどかと聞かれると、意見はわかれそうだ。レクサスが期待を寄せるブレークスルーには、あと少し達していないかもしれない。

レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万2495ポンド(約602万円)
全長:4190mm
全幅:1825mm
全高:1545mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:21.3km/L
CO2排出量:107g/km
車両重量:1280-1350kg
パワートレイン:直列3気筒1490cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:−kWh
最高出力:136ps(システム総合)
最大トルク:18.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)

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みんなのコメント

24件
  • ttz********
    購買層は明らかに高齢化しているので
    ヤリスクロスでは物足りない人達の需要は高そう
    大型🟰高級ではない何処に魅力を感じる層もあるのでいい発想だと思う
  • tak********
    このサイズは嬉しい
    ヤリスクロスよりちょっとは快適に移動出来そうで期待
    近頃のクルマはいいな、と思っても大き過ぎて引いてしまっていたので
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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