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スポーツカー以上ってマジか! 風穴を開けろ!! 新型プリウス0-100kmh6.7秒、233馬力の衝撃

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スポーツカー以上ってマジか! 風穴を開けろ!! 新型プリウス0-100kmh6.7秒、233馬力の衝撃

 2022年11月16日に発表となった、トヨタ新型「プリウス」。従来通り、ハイブリッドとプラグインハイブリッドが用意されていますが、いずれも燃費、性能とも現行プリウスに対して大きく進化しています。特にプラグインハイブリッドは、エンジンとモーター、駆動バッテリーを増強して、最高出力233PSで0-100km/h加速6.7秒という圧倒的な動力性能をアピールしています。

 詳細なスペックについては、まだわかっていない新型プリウスですが、なかでも興味深い、プラグインハイブリッド車の性能とその狙いについて、考察してみました。

スポーツカー以上ってマジか! 風穴を開けろ!! 新型プリウス0-100kmh6.7秒、233馬力の衝撃

文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA、NISSAN、MITSUBISHI

エンジン、モーター、電池容量すべてを増強

 新型プリウスのプラグインハイブリッドシステムは、従来通りプリウスハイブリッドのTHS(トヨタハイブリッドシステム)IIを流用。THS IIをベースに駆動電池の容量を増やして、外部充電装置を付加したハイブリッド派生のプラグインハイブリッドです。組み合わされるエンジンは、現行の1.8Lから排気量を2.0Lに拡大。駆動用モーターについては未公表ですが、モーターも高出力化され、システム全体の最高出力は現行の122PSから223PSへと、なんと83%も向上しています。

 駆動用リチウムイオン電池の容量も、8.8kWhから13.6kWhへと55%増量し、EV航続距離は現行の68.2km(JC08モード)の50%以上向上とされているので、単純計算で102km以上ということになります。WLTCモードに換算(JC08モードの12%減と仮定)すると、90km以上となり、日常走行のほとんどをEV走行でカバーすることができます。

THS IIシステムをベースにした新型プリウスのプラグインハイブリッドシステム。リチウムイオン電池を増量して外部充電装置を付加したハイブリッド派生のプラグインハイブリッド

モーター駆動は、発進加速に優れる

 冒頭でも触れたように、新型プリウスプラグインハイブリッドは、EV航続距離の向上とともに、0-100km/h加速6.7秒という優れた発進加速性能をアピールしています。

 0-100km/h加速は、停止状態から車速100km/h到達までに要する時間のこと。力強い発進加速のためには、エンジン車では高い低速・中速域トルクが要求されますが、エンジンはある程度回転が上がらないと高いトルクが発生できません。

 ただ、モーターで駆動力を発生するバッテリーEVやプラグインハイブリッド車は、広いトルクバンドを持ち、モーターが回り始めた瞬間に最大トルクを発生します。そのため、同等の最大トルクを持つガソリン車と比べて、発進加速は圧倒的にバッテリーEVおよびプラグインハイブリッド車のほうが有利。世界のハイパーカーでみても、0-100km/h加速のトップテンのうち、半数はバッテリーEVかプラグインハイブリッド車となっています。

EV航続距離の向上とともに、0-100km/h加速6.7秒という優れた発進加速性能をアピールする、新型プリウス

0-100km/h加速の6.7秒は、スポーツカーレベル

 では、新型プリウスが達成している0-100km/h加速の6.7秒は、どの程度のレベルなのでしょうか。一般には、0-100km/h加速が10秒を切れば、多くのドライバーは十分な加速感を感じ、動力性能に不満が出ないレベルとされています。7秒を切ればスポーツカーのレベルとされ、さらに5秒を切るようなスポーツカーではドライバーにそれなりの運転技量が求められます。

 0-100km/h加速6.7秒は、スポーツカーレベルであり、GR86に0.4秒差まで肉薄するタイムです。国産車で最も速いのは、日産の「R35型GT-R NISMO」(2018年)3.8L V6ターボエンジンで最高出力600PS、タイムは2.8秒ですが、比較的近い発進加速を示す国産車としては、次のようなモデルがあります(※各車の0~100km/h加速タイムは各メーカー広報サイト記載の記述より引用)。

・ホンダFK2「シビック タイプR」(2015年)
2.0L VTECターボ、最高出力310PS:0-100km/h 加速5.7秒
・トヨタ「GR86」(2021年)
2.4L水平対向NAエンジン、最高出力235PS:6.3秒
・トヨタ「GR86」(2014年)
2.0L水平対向NAエンジン、最高出力207PS:7.4秒

0-100km/h加速2.8秒の国内最速の記録を持つ日産「R35型GT-R NISMO」。3.8L V6ターボエンジンで最高出力600PSを発揮

国内では低迷のPHEVだが、欧州では普及が進む

 プラグインハイブリッド車の魅力は、エンジン+モーターによる力強い走りとハイブリッド車を上回る燃費です。バッテリーEVに対するメリットは、電欠(バッテリー上がり)による走行不能になる心配がないことであり、ハイブリッド車とバッテリーEVの中間的な性格、バッテリーEVに進むまでの過渡的なモデルと位置づけられています。ただし、ハイブリッド車に対して駆動電池を10倍程度に増量するぶん、車両価格が100万程度は高価になります。

 日本では、プラグインハイブリッド車に対してCEV(クリーンエネルギー自動車)補助金・インフラ導入補助金(最大55万円)+エコカー減税(約3万円)+クリーン化特例(約2.7万円)のトータル約60万円の優遇と、地方自治体補助金(+α)を利用することができますが、それでもやはりハイブリッド車よりも高価であり、充電インフラの整備も遅れていることから、普及には至っておらず、このプリウスのほか、トヨタ「RAV4 PHV」、「ハリアー(Zグレード)」、「レクサスNX450h+」、三菱の「エクリプスクロスPHEV」と「アウトランダーPHEV」と、モデルの数も限られています。販売台数も、現在最も売れている三菱アウトランダーPHEVでも、2022年上期実績で10749台と、十分なレベルとはいえません。

 ただ欧州では、プラグインハイブリッド車が積極的に市場に投入されています。その背景には、欧州で展開されている環境規制に対するインセンティブ制度があります。これは、プラグインハイブリッド車に対してエンジン走行時のCO2排出量を「(EV航続距離+25km)÷25」という削減係数で割った数値をCO2排出量とするように定めたもの。例えば、EV航続距離が75kmとすると、CO2量はガソリン走行時CO2の1/4となるわけです。この制度を利用して、コストアップを比較的吸収しやすいハイクラスの乗用車やSUVなどが、積極的にプラグインハイブリッド化を進めているのです。

2021年に登場した三菱「アウトランダーPHEV」。先代にはボディを共用したガソリン仕様もあったが、現行型はプラグインハイブリッド専用モデルとなった

新型プリウスのPHEVは欧州市場がターゲットか

 現時点、新型プリウスの価格はわかっていませんが、現行のプリウスPHVが、リチウムイオン電池8.8kWで車両価格376万~401万円、RAV4 PHVが18.1kWで469万円に設定されていることから、13.6kWの新型プリウスの価格は、両モデルの中間420~440万円程度と推察されます。

 力強い発進加速と長いEV航続距離は大きな魅力的ですが、先述したように、日本市場では価格が高いプラグインハイブリッド車は敬遠される傾向にあり、日本で受け入れられるかは不透明。また、新型プリウスは、欧州市場ではハイブリッド車の設定はなく、プラグインハイブリッド車のみであることから、新型プリウスは、日本市場より欧州市場を重視したモデルであり、環境規制インセンティブを活用して欧州の企業平均CO2を低減することが、狙いではないでしょうか。

 実際のところ、数が稼げるバッテリーEVを持たないトヨタにとっては、ハイブリッド車だけでは2021年(CO2 95g)以降のCO2規制対応が厳しいのです。

 新型プリウスは、力強い性能を持つ欧州メーカーのプラグインハイブリッド車に対抗するために、パワーアップしてスポーツカー並みの0-100km/h加速を実現したと思われます。また、100kmを超えるEV航続距離も達成しているので、これも欧州メーカーのプラグインハイブリッド車に対するストロングポイントになります。

◆     ◆     ◆

 パワーアップしてスポーツカー並みの発進加速と長いEV航続距離を両立させた新型プリウスのプラグインハイブリッド。プラグインハイブリッド車の普及が進まない日本市場に風穴を開けられるか、また、普及が進む欧州市場で欧州メーカーのプラグインハイブリッド車に対抗できるか、興味深いところですね。

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みんなのコメント

96件
  • コメントの雑音がすげーな、ゼロヒャクはわかったよ。
    中間加速と100km/hからの加速はどうなんだ?
  • 自分の初代レヴォーグ2.0(カタログ値300馬力)は、0-100Km加速5.8秒位ですよ。
    因みに、0−100mだったら中学時代は、13.6秒で走れました!
    アラ還の現在では、多分50mでも10秒で走れるかどうかです…。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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