軽自動車だって200万円オーバーの時代になり、クルマの値段が上昇傾向だ。とはいえ、中にはもっと安く手に入る車種もある。200万円以下なのに実用性バツグンなクルマが存在する!! しかも流行のSUVが結構あるぞ。
文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、SUZUKI、HONDA
カローラクロスもヤリスクロスも射程圏内!! ベースグレードでも十分!? 200万円以下の買いSUV5選
■廉価グレードで充分に楽しめるSUVはどれだ?
2023年10月5日に発売されたN-BOXで、カスタムターボやコーディネートスタイルを選ぶと車両価格は200万円以上となる
今はクルマの価格が20年ほど前の1.2~1.5倍に高まった。安全装備、運転支援機能、環境性能などが向上して商品力を高めたが、充分な予算も必要とされる。
そのいっぽうで、魅力的な低価格車もある。ここでは価格の上限を200万円として、カッコ良さと実用性を兼ね備えたコンパクトSUV取り上げたい。
ちなみに2023年10月5日に発表された軽自動車の新型N-BOXも、カスタムコーディネートスタイルやカスタムターボの価格が200万円を超える。
つまり今回は、売れ筋の軽自動車よりも安価なコンパクトSUVを取り上げるわけだ。なお価格が200万円以下だから、エンジンはベーシックなタイプで、駆動方式は2WDになる。
■コンパクトカーのようなSUV! トヨタライズG・2WD(186万7000円/CVT)
トヨタライズG・2WD(全長3995×全幅1695×全高1620mm/車両価格:186万7000円/ガソリン/CVT)
ライズは全長が4m以下に収まる5ナンバーサイズのコンパクトSUVだ。価格帯が安く、SUVでありながら、中級グレードのGを200万円以下に設定する。
5ナンバーサイズのボディにより、最小回転半径が4.9mに収まり、視界も優れているから運転しやすい。フロントマスクはRAV4に似たデザインで、コンパクトSUVでも存在感が強い。
後席も相応に広く、4名で乗車しても窮屈に感じない。荷室も使いやすく、ファミリーカーの用途にも対応できる。G・2WDの186万7000円という価格を含めて、コンパクトカーや軽自動車と同じ感覚で購入できる貴重なSUVだ。
*買い得度(5点満点):4点
■車内空間の広さが魅力! スズキクロスビーハイブリッドMV・2WD(199万4300円/CVT)
スズキクロスビーハイブリッドMV・2WD(全長3760×全幅1670×全高1705mm/車両価格:199万4300円/CVT)※写真のグレードはMZ
クロスビーはライズと同様、ボディを5ナンバーサイズに抑えたコンパクトSUVだ。空間効率が優れ、4名で快適に乗車できる。
身長170cmの大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間には、握りコブシ2つ半の余裕を持たせた。前後方向の足元空間の広さは、ハリアーなどに近い。
そのいっぽうで、水平基調のボディは視界が優れ、ボンネットも良く見える。ボディの前端や車幅も分かりやすい。最小回転半径は4.7mに収まり、小回りの利きも良好だ。
エンジンは直列3気筒1Lだが、ターボを装着して、動力性能は1.5Lエンジンに相当する。マイルドハイブリッドも採用され、WLTCモード燃費は18.2km/Lだ。クロスビーは外観のSUVらしさはあまり感じないが、空間効率が優れ、ファミリー層を含めて実用指向のユーザーにピッタリだ。
*買い得度(5点満点):5点
■なぜここまで人気なのか? トヨタヤリスクロスX・2WD(189万6000円/CVT)
トヨタヤリスクロスX・2WD(全長4180×全幅1765×全高1590mm/車両価格:189万6000円/ガソリン/CVT)
ヤリスクロスは、SUVの最多販売車種だ。ヤリスシリーズ全体の約50%をヤリスクロスが占めて、1カ月平均登録台数は約8200台に達する。
Xの全長は4180mmと短いが、全幅は1765mmだから3ナンバー車になる。フロントマスクは鋭角的なデザインで、外観を都会的に仕上げ、存在感も強めた。
エンジンは直列3気筒1.5Lで、ノーマルタイプでありながら、WLTCモード燃費は20.2km/Lに達する。ハイブリッドでなくても、燃費性能は充分に満足できる。
装備については、アルミホイールなどは装着されないが、衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、サイド&カーテンエアバッグ、ディスプレイオーディオなどは標準装着される。実用的には不満のない内容としている。
*買い得度(5点満点):4点
■ファミリーカーとしても使えて一番お買い得! トヨタカローラクロスG"X" 2WD(199万9000円/CVT)
トヨタカローラクロスG"X" 2WD(全長4490×全幅1825×全高1620mm/車両価格:199万9000円/ガソリン/CVT)※写真のグレードはハイブリッドZとなる。フロントマスクのデザインが異なる
カローラクロスは、全長が4500mm以下のSUVでは、荷室が最も広い。後席の頭上と足元にも充分な余裕があるため、ファミリーカーとしても使いやすい。そのために売れ筋のSUVとされる。
価格が200万円を下まわるG・Xは、基本的にはレンタカーなどのニーズを狙った廉価グレードだが、必要な装備が採用される。
衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、サイド/カーテン/ニーエアバッグ、バイビームLEDヘッドランプ、ディスプレイオーディオなどを標準装着した。
後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットモニター、スイッチ操作でエンジンの始動や停止を行えるスマートエントリーは装着されないが、実用装備に不満はない。
装備を充実させ、なおかつ広い荷室なども得られるために、200万円以下のSUVでは一番買い得だ。
*買い得度(5点満点):5点
■悪路走行ならお任せ! スズキジムニーシエラJL・4WD(196万2400円/4速AT)
スズキジムニーシエラJL・4WD(全長3550×全幅1645×全高1730mm/車両価格:196万2400円/4速AT)
先に挙げた4車種は、すべて前輪駆動をベースにしたシティ派SUVだが、ジムニーシエラは違う。後輪駆動をベースにした4WDシステムと、悪路で駆動力を高める副変速機を装着する。生粋の悪路向けSUVだ。
軽自動車のジムニーをベースに開発され、エンジンは直列4気筒1.5Lを搭載する。660ccのターボエンジンを積んだジムニーに比べると、実用回転域の駆動力が高い。このエンジン特性は、デコボコが激しく滑りやすい悪路を走るときにも、大きなメリットを発揮する。
ボディはジムニーと基本的に共通だから、後席のドアを装着しない3ドアだ。大人4名の乗車は可能だが、乗降性も考えると、実用的にはクーペになる。
その代わり野性的な内外装のデザインから優れた悪路走破力まで、ほかのSUVとは大幅に異なる。
4WDシステムは、カーブを曲がるときに前後輪の回転数を調節できないパートタイム式だ。そのために舗装路は2WDで走行することになり、悪路を走らないと4WDシステムが宝の持ち腐れになってしまう。
それだけに、悪路や雪道に乗り入れる機会の多いユーザーには、とても魅力的なSUVになっている。
*買い得度(5点満点): 4点
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