もくじ
ー 決勝に挑む4台 意外なモデルも
ー ドライバーアピールが重要
ー 合理性と実用性 ハッチバック界の中心
ー 運転好きのためのクルマ
ー 最高の普通 王の帰還
ー 番外編:燃費対決 WLTP vs 実燃費
ー テスト車のスペック
アストン マーティン・ヴァルキリー エンジン音を公開 コスワース製6.3ℓV12
決勝に挑む4台 意外なモデルも
少数精鋭で争う決勝戦に進んだなかには、AUTOCAR読者であれば決勝進出が当然と考えるクルマが含まれていた一方で、驚きをもって迎えられたモデルもいた。
さらに、個人的なもうひとつの驚きは、キア・シードがこのなかに含まれていないことだ。ほんの数週間前にロードテストへと連れ出した際、このクルマは素晴らしい進歩と、ハッチバック界のエリートたちと十分に対抗できるだけのものを感じさせてくれた。だが、グループテストでは、新参者は常にテスターたちの困惑と、ある種の先入観にも対峙しなければならない。そして、ここ一番で実力を発揮したのは、キアにとってだけでなく、それ以外のモデルにとっても手強過ぎるモデルだったことは、是非覚えておいていただきたい。
決勝戦をふたつのツインテストをひとつにまとめたものだとお考えかも知れないが、そうとは限らない。新型フォード・フォーカスとマツダ3(日本名:アクセラ)、フォルクスワーゲン・ゴルフとスコダ・オクタヴィアをそれほど簡単にふたつに分けることはできないからだ。
1日中走り廻って、徐々に自分のクルマだと感じられるようになると、それぞれがまったく異なるモデルでありながら、それぞれがAUTOCAR読者にお勧めできるだけの十分に優れたモデルであることが分かってきた。すでに多くのモデルを振るい落としているのだから、この決勝戦に残るのが非常に優れたモデルだけというのも当然だ。
クラス最高の4台であり、実用性に優れ実直なスコダ、魅力的で洗練されたフォルクスワーゲン、美しく個性的で機敏なマツダと、そして、欧州史上最高のハンドリングをもつファミリーハッチバックの最新モデルだ。
この4台のうち3台はすでにお馴染みのモデルであり、これから数ページを使って期待を煽るだけの言葉を書き連ねるつもりはない。この決勝戦で知りたいことはハッキリしており、さっそく本題に入らせて頂こう。
ドライバーアピールが重要
最初に知りたいのは、新型フォーカスは、例え最もスタンダードな仕様でもクラストップのドライバーアピールを備えているのかということだ。今回参加したタイタニウムXは、STラインの車高を下げたスポーツサスペンションを持たないばかりか、リアは独立懸架ですらなく、上級グレードに設定されているアダプティブダンパーも選ぶことはできないのだ。
そしてふたつ目の質問は、走り以外の部分でも他のモデルを黙らせるほど素晴らしいのかという点だ。先代モデルには欠けていた全方位の魅力を備え、われわれのランキングトップの座を占め、欧州販売台数でも上回るフォルクスワーゲン・ゴルフを打ち負かすことは出来るのだろうか?
最初の質問に関して、つつましく平凡な5ドアのファミリーハッチバックにとって、ドライバーアピールがそれほど重要なのかという点で議論は紛糾した。しかし、どんな見方をするにせよ、フォード・フォーカスにとって、やはりドライバーアピールは重要なポイントだろう。もし、フォーカスが運転しても平凡なモデルだったなら、ここまでの人気を博しただろうか?
その答えは知る由もないが、フォードは決してドライバーアピールが重要ではないなどとは思っていないからこそ、すべてのフォーカスで動力性能を磨き上げてきたのであり、わたしもその意見に賛成だ。
決勝進出の4台に対して続けて行った10分間の走行テストで、ドライバーアピールの面でフォーカスのライバルになり得るクルマがハッキリと浮かび上がってきた。
合理性と実用性 ハッチバック界の中心
その合理性とクルマとしての完成度の高さにより、ホンダ・シビックの決勝進出を阻んだスコダ・オクタヴィアだが、動力性能に関してはフォーカスの敵ではなかった。決勝に進出したなかでは最大のパワーとトルクを誇るものの、その運転感覚はこれまで同様、徹頭徹尾まさに「実用本位」というものだった。
オクタヴィアのハンドリングのソフトさは、ほどほどの重さとレシオをもつステアリングから期待される通りであり、穏やかな乗り心地で軽やかに前へと進むものだった。ハッチバックの姿をしたファミリーサルーンだと思えばそれも当然だろう。このクルマはクラスにひとりはいただろう体の大きな早生まれの子供であり、他の誰よりも先に成人を迎えるのだ。
ハンドリングも十分に正確で、ワインディングをそれなりのペースで走っても、引き締まったボディの動きで、まごつくような様子は見せない。さらに、オクタヴィアはこの4台のなかでは最も洗練され、実用性の高さも折り紙付きだ。だが、もし毎日の運転に刺激と活気を求めているのなら、オクタヴィアはそれほど多くを与えてはくれない。
130psを発揮するフォルクスワーゲン製1.5ℓエンジンを積んだゴルフであれば、そのサイズも利して、ドライバーにより多くを与えてくれるだろう。ゴルフのサスペンションセッティングは間違いなくマツダ3とフォーカスよりも軟らかく、市街地ではこの2台よりも快適ながら、高速コーナーでもオクタヴィアよりも優れた走りで、大きな路面不整にも対応してみせる。
ゴルフの秘密は間違いなくその適切なボディサイズにある。少人数の家族が買い物に出かけるには十分な広さを確保しつつも、決して大きすぎることはなく、小型ファミリーカーに相応しい、軽量で機敏、そして優れたハンドリングを感じることができる。これまで同様、ゴルフはハッチバック界の中心に位置しており、このクルマの周囲をライバルたちが回っているのだ。
運転好きのためのクルマ
だが、それも動力性能が素晴らしいからという訳ではない。われわれのテスト車両は、ややソフトで激しく運転した時にはグリップが不足しており、タウンスピードでのダンピングには優れるものの、時に縦方向のボディの動きが足りなかった。さらに、ゴルフのエンジンには、オクタヴィアに積まれていた時ほどの洗練や特別な感じがなく、高回転ではうるさく、その回転上昇も滑らかさに欠けていた。つまり、少なくとも今回のテスト仕様であれば、ゴルフを選ぶ運転好きはいないだろうということだ。
マツダ3こそが運転好きのためのクルマだった。自然吸気2.0ℓエンジンを積んだこのクルマを、厳しいダイナミックテストで丸1日試してみれば、その実力が理解できるだろう。鋭いスロットルレスポンスと、見事な重みと感触をもつ操作系はフォーカス以上に素晴らしく、その乗り心地はやや落ち着きに欠けるものの、素直なフィールと固めたサスペンションをもつシャシーは、豊富なコーナリンググリップと、フラットなボディコントロール、高い前輪トラクションによって、滑らかに進路を変え、ドライバーに次のコーナーを待ち遠しくさせるのだ。
では、フォーカスはこうしたすべてをマツダ3と同じようにこなし、その挑戦に応えることは出来るのだろうか?
まったく同じではないものの、フォーカス流のやり方で、このクルマはさらなるドライビングの高みを見せてくれる。新たな発見は多くはないかも知れないが、20年前から連綿と続く、どこにでもあるようなファミリーハッチバックとしては最大限の運転する喜びを、フォーカスは味わわせてくれるのだ。
独特の活気溢れる125psを発揮する3気筒エンジンと、バランスに優れ、機敏でドライバーを夢中にさせるハンドリングを抜きにして、フォーカスのドライビングにおける魅力を語ることはできない。フォーカスは常にエンジンかハンドリングのどちらかでライバルたちを凌いできたが、いまやそのふたつを手にしているのだ。そして、ふたつを手に入れたこのクルマはさらなる高みに到達しており、フォーカスの卓越したクオリティを否定することなどできないだろう。
最高の普通 王の帰還
新しい電動パワーステアリングの妙な弾性や、このクルマに溢れる情熱に対してトルクの足りないエコブーストエンジンを理由に、あいまいな態度をとることも可能かも知れない。だが、フォーカスが中速コーナーへとターンインするときのグリップや、アクセルオフでリアを振り出す様子、さらにはそのふたつが合わさった時の輝き、そして路面不整をしなやかにいなしつつ見せる引き締まったボディの動きを見て欲しい。
それでも、フォーカスが他のモデルよりも優れているとは断言できないと言うなら、今回テストしたのはフォーカスで最もスタンダードなグレードにも関わらず、1998年の初代登場以来、最大の余裕を感じさせるモデルだったと言えば納得してもらえるだろうか。
もし、まだ十分でなければ、この4台の動力性能の違いと同じくらい詳細に、インテリア品質やラゲッジスペース、実用性といったものを改めて比較しても良いかも知れない。だが、結局理解すべきはフォーカスの素晴らしさなのだ。ホンダとスコダを除けば、フォードよりも実用性で大きく勝るモデルはない。一方で、インテリアの品質や洒落た雰囲気といったものに関しては、フォーカスよりもゴルフや308、もしかしたらオクタヴィアといったモデルの方が優れているかも知れない。だが、それも動力性能の差を埋めるほどの違いではないのだ。
フォーカスは毎日乗るに相応しい慎ましさも残している。オクタヴィアやシードのように安っぽいマテリアルを上手く覆い隠せていないし、ゴルフのように効果的に高級感を醸し出すこともできていない。そのキャビンは単調で飾り気のないものだ。もちろん、アストラのようにパーツの取付けがしっかりとしていない訳ではないが、特筆するレベルに達しているとも言えない。だが、普通であるからこそ、フォーカスは、なぜ運転がこれほど素晴らしいのかとドライバーの注目を集めているのだ。
20年前、初代フォーカスはすべてのライバルを凌ぐハンドリングが絶賛され、英国のハッチバック市場を支配する存在となった。現在、世間の注目はクロスオーバーに向かい、EVと自動運転が話題をさらっているが、この4代目フォーカスも初代と同じように絶賛され、市場を席捲することはできるだろうか。もちろんそれは可能だ。ファミリーハッチバックの王はかつてないほどの素晴らしいモデルとして戻ってきたのだから。
番外編:燃費対決 WLTP vs 実燃費
今年の9月1日は欧州自動車業界にとって、すべての新車をWLTP(Worldwide harmonised Light vehicles Test Procedure:乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法)に適合させなければならない期限だったが、まさに、今回集めた9台の実世界における実燃費を測定し、試験場での結果と比較するには相応しいタイミングに思えた。
実燃費計測を行ったのはわずか13kmのコースであり、そのほとんどを97km/hほどのスピードで活発にワインディングを走り廻った。だから、もし1.0ℓエンジンを積んだホンダ・シビックで、さらに良い燃費を測定したとしても、それを発表したりしないで頂きたい。
さらに、測定結果は各車のトリップコンピューターのデータであり、われわれの満タン法での測定経験に基づけば、速度計の精度同様、その誤差は多く見積もりがちな実燃費の5%以内には収まっているはずだ。
ホンダ・シビック 1.0 i-VTEC ターボEX: 20.9km/ℓ vs 14.9km/ℓ
セアト・レオン 1.0 TSI 115 DSG SEテクノロジー: 25.0km/ℓ vs 14.8km/ℓ
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 TSI 130 DSG SE ナビ: 20.9km/ℓ vs 14.5km/ℓ
スコダ・オクタヴィア 1.5 TSI 150 SE L: 19.6km/ℓ vs 14.0km/ℓ
フォード・フォーカス 1.0T エコブースト 125 タイタニウムX: 20.4km/ℓ vs 13.9km/ℓ
キア・シード 1.0 T-GDI 2: 18.5km/ℓ vs 13.0km/ℓ
ヴォクゾール・アストラ 1.4 T 150 エリート・ナビ: 17.6km/ℓ vs 12.7km/ℓ
マツダ3 スカイアクティブ-G 120 スポーツ・ナビ: 19.6km/ℓ vs 12.5km/ℓ
プジョー308 1.2 ピュアテック 130 アリュール・オート: 18.5km/ℓ vs 12.5km/ℓ
テスト車のスペック
フォード・フォーカス 1.0T エコブースト 125 タイタニウムX
傑出したドライバーアピールを持ちながら、今回のテスト車両を凌ぐ仕様が控えている。エンジンとシャシーの双方が素晴らしい。
■価格 2万2820ポンド(341万円)
■全長×全幅×全高 –
■最高速度 200km/h
0-100km/h加速 10.0秒
■燃費 20.4km/ℓ
■CO2排出量 111g/km
■乾燥重量 1322kg
■パワートレイン 999cc 直列3気筒ターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 125ps/6000rpm
■最大トルク 20.5kg-m/1400-4500rpm
■ギアボックス 6速マニュアル
フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 TSI 130 DSG SE ナビ
品質と魅力、テクノロジーではフォーカスを凌ぐが、ハンドリングはソフトでエンジンもありきたりだ。
■価格 2万3760ポンド(355万円)
■全長×全幅×全高 –
■最高速度 209km/h
0-100km/h加速 9.1秒
■燃費 20.9km/ℓ
■CO2排出量 110g/km
■乾燥重量 1352kg
■パワートレイン 1498cc 直列4気筒ターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 130ps/5000-6000rpm
■最大トルク 20.5kg-m/1400-4000rpm
■ギアボックス 7段オートマティック
マツダ3 スカイアクティブ-G 120 スポーツ・ナビ
ある意味ではフォーカスよりも走らせて素晴らしいモデルだが、乗り心地には改善の余地ありだ。
■価格 2万1495ポンド(321万円)
■全長×全幅×全高 –
■最高速度 195km/h
0-100km/h加速 8.9秒
■燃費 19.6km/ℓ
■CO2排出量 119g/km
■乾燥重量 1355kg
■パワートレイン 1998cc 直列4気筒
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 120ps/6000rpm
■最大トルク 21.4kg-m/4000rpm
■ギアボックス 6速マニュアル
スコダ・オクタヴィア 1.5 TSI 150 SE L
このクルマを無視することなどできない。洗練され、広いキャビンと素晴らしい組立品質を備え、運転してもまずまずだ。
■価格 2万2460ポンド(335万円)
■全長×全幅×全高 –
■最高速度 220km/h
0-100km/h加速 8.2秒
■燃費 20.0km/ℓ
■CO2排出量 114g/km
■乾燥重量 1270kg
■パワートレイン 1498cc 直列4気筒ターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 150ps/5000rpm
■最大トルク 25.4kg-m/1500rpm
■ギアボックス 6速マニュアル
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