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ボルボV字回復の立役者。XC40が全グレード電動化!プラグインハイブリッドは新開発の1.5Lターボ+モーター+7速DCTで649万円

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ボルボV字回復の立役者。XC40が全グレード電動化!プラグインハイブリッドは新開発の1.5Lターボ+モーター+7速DCTで649万円

商品力の高さでV字回復を達成
コロナ禍の話題ばかりで辟易している読者も多いと思うが、自動車販売でV字回復を見せているのがボルボだ。なんと7月の世界販売台数が前年比14.2%増。これは、SUVのXC系を筆頭に、最新モデルの魅力が高められた結果だ。また、電気自動車とプラグインハイブリッド、つまり充電可能モデルの愛称である「リチャージ」シリーズも好評。つまり、一時的に販売が落ち込んでも、もともとの商品力が高いから、急回復できたというわけだ。

●XC40 リチャージ プラグインハイブリッド T5インスクリプション

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そんなボルボは2017年に「全モデルを電動化する」と発表。日本でも48Vハイブリッドの「B5」をXC60とXC90に導入済み。そして、一番人気のコンパクトSUV、XC40も電動化を一気に進める。まず本格的なストロングハイブリッドとして、XV40 リチャージ プラグインハイブリッド T5を8月25日に導入。T5というグレード名は付くものの、従来の2L直4ターボではなく、Drive-Eと呼ばれる1.5L直3ターボを搭載。このエンジンは132kW(180ps)/265Nmを発揮。モーターは60kW/160Nmだ。

●20年モデルまでプラグインハイブリッドは「ツインエンジン」という名称だったが、21年モデルからは「リチャージ プラグインハイブリッド」、EVは「リチャージ ピュアエレクトリック」というグレード名になる

プラグインハイブリッドはDCTにモーターを組み込む
注目は、自社製7速DCTで、駆動モーターはこのDCTに組み込まれている。あれ、と思った方は鋭い。このDCTにモーターを組み込む方式は、先代フィットや現行フリードのハイブリットシステムと同様の考え方で、2本ある出力軸の偶数側にモーターを組み込んでいる。

まずはモーターのみで走る「ピュアモード」を選択すると、じつに静かで滑らかな加速フィールが味わえる。静粛性はEV走行だから当然だが、XC40の剛性感の高いボディと適度な重量が、高級車らしい走り味を生み出している。前後重量配分はICE仕様(内燃エンジン)と同じ前後6:4だが、重い駆動バッテリーを車両中心にレイアウトしているため、より落ち着いた乗り心地を実現。ちなみに、ピュアモードでの最高速度は135km/hまで対応。バッテリーのエネルギー貯蔵量は10.91kWhで、EV航続距離は41kmだ。

モーターは偶数ギヤだけに出力されるが、モーターは幅広い速度レンジをカバーできるため問題なし。ハイブリッドモードは状況に合わせてエンジンを始動したり、モーター駆動になったりするが、DCTは極めてスムーズに変速。市街地から高速走行まで滑らかな乗り心地と高い静粛性を実現しており、まさにプレミアムSUVと呼ぶにふさわしい。

XC40のプラットフォームは「CMA(コンパクト モジュラー アーキテクチャー)」。EVやPHEVの搭載も念頭に開発されている。60/90シリーズ用の「SPA」プラットフォームにはすでにPHEVがあったが、こちらはフロントエンジン、リヤモーターの4WD。XC40はフロントにエンジン+モーターを搭載するFFとなる。

全モデルを電動化。装備を考えると買い得すぎる?
XC40は2021年仕様でパワートレーンを一新し、全モデル電動化を達成。今回試乗したプラグインハイブリッドのほか、従来の純ガソリンエンジンモデルのT4とT5の代わりに、48VハイブリッドのB4とB5を導入。全車に5年保証が付き、先進安全機能も当然フル装備。また、標準装備のレベルも上がっている。

プラグインハイブリッドはその中でも最上級モデル。649万円というプライスだが、エコカー減税やCEV補助金で44万円以上安くなり、さらにサンルーフやレザーシートが標準装備。その点も勘案すると、価格と性能のバランスは、非常に優れたモデルといえるだろう。

ここで記憶が蘇ったのだが、このユニットは新興メーカーの「Lynk&Co(リンク アンド コー)」のモデルで採用済みなのだ。そんなメーカー知らないという人がほとんどだろうが、ボルボの親会社である中国のジーリーとボルボが共同出資をして設立したメーカー。すでにXC40をベースにしたSUVをリリースしている。このパワーユニットを使ったセダンの「Lynk&Co 03」のローンチイベントは、なんと日本の富士スピードウェイで盛大に開催された。

Lynk&Coの日本進出はなさそうだが、XC40をベースにしたモデルは中国で格安で販売され爆発的に売れているという。もし日本に進出すると輸入車市場だけでなく、国産車を巻き込んで地殻変動が起こるかもしれない。

ちなみにボルボはすでに全モデルにプラグインハイブリッドを用意し、48VハイブリッドであるB4、B5、B6も拡充。これにより、純粋なガソリンエンジン車の販売は終了となる。さらにボルボは、「2025年には販売台数の半分をフルEVにする」と宣言している。日本にも、2021年内に「もっとも安全な電気自動車」とボルボが胸を張る「XC40 リチャージ ピュアエレクトリック P8」が上陸予定だ。ボルボの電動化に向けた動きは、着実に進んでいる。

●充電は100/200Vの普通充電のみ。充電口は運転席側の後方に設置

●スッキリと上質な北欧デザイン。縦型のディスプレイが特徴的

●クリスタルシフトノブがきらめく

●さまざまな走行モードをセレクトできる

●レザーシート、ドリフトウッドパネル、サンルーフ、前後席のシートヒーターなどを標準装備

●XC40のCMAはフロントにエンジンとモーターを搭載。駆動方式はFF。60/90系のSPAプラットフォームは、フロントにエンジン、リヤにモーターの4WDだ

●モーターと7速DCTに直接マウント。モーターのパワーは偶数ギヤに流れるため、EV走行時は2速と4速ギヤでスムーズに走行。ハイブリッド走行時は2つのクラッチを使い分けて、効率的で小気味いい走りを見せる

●ホイールは235/50R19。ピレリP ZEROを履く

●後席は6:4分割可倒式。センターにトンネルがあり、長尺物にも対応

〈文=丸山 誠 写真=岡 拓〉

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