遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる"ヤングタイマー"なクルマを振り返るという『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今月は当連載初となる4ページ構成!今回は突然ながら、7代目日産スカイラインですヨ!
ボクらのヤングタイマー列伝第39回『ユーロバン』の記事はコチラから
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"俺はスカイラインを買ったのだ"という気持ちになれるクルマが1800シリーズだったのです!
日本車の黎明期からその名前を今に残すスカイライン。1957年の登場以来多くのファンに愛されてきました。でもこのクルマは"名車の誉れ高い"ゆえに期待値も大きく、2001年登場のV35型(11代目)からはスカイラインの象徴だった直6エンジンを捨て、しかも海外向け車種になったこともあって"スカイラインらしくない"と評されるなど、現在は各個人によって解釈が異なるクルマと言えます。
そんなスカイラインですが、生みの親である櫻井眞一郎氏が最後に手がけたR31型を覚えている人も多いことでしょう。時は1985年8月、R31型『7th(セブンス)スカイライン』が登場しました。しかし、多くの人はその変容ぶりに驚きました。最新技術を満載し高い走行性能を得ていたものの、それまでのスポーティな雰囲気から一変、大ヒット作となったトヨタ・マークII兄弟に対抗した"ハイソカー"路線を採用していたのです。キャッチコピーは『都市工学です』でした。
しかし"高性能で本物の走りを秘めたソフトマシーン"というイメージや、デビュー当初は2ドアモデルが未設定だったことが、"スカイラインは走りだ"という層に受け入れられなかったこともあり、1986年5月には『GTS』と銘打ち、精悍なマスクを採用した2ドアスポーツクーペを追加しています。さらに9月になると4ドアハードトップにもGTSグレードを設定し、1987年のマイナーチェンジではシリーズ全体を2ドアの顔にリデザイン。キャッチコピーも『We,Motor Sports』へ変更するなど、スポーティなスカイラインへ回帰を果たしています。
とかく不人気なイメージがある7thですが、販売台数的には決して悪くなく、総数では前任のR30型を超えていました。しかもそのうち多くの比率を、4気筒の1800シリーズが占めていたのです。下はマーチ、上はセドリック/グロリアという車種ヒエラルキーがしっかり確立されていた時代、手が届きそうで届かないのが憧れの上位車種のスカイライン。でも、直6を載せたGTに比べ廉価な4気筒の1800シリーズなら手が届く。中にはかなり安いグレードもありました。多少装備がなくても、パワーが全然なくても、"俺はスカイラインを買ったのだ"という気持ちになれるクルマが1800シリーズだったのです。
なので僕はTIなどの1800シリーズが好きなのですね。この頃までのスカイラインは"走行性能が高い、日本を代表するFRスポーツセダン"であると同時に"スポーティなファミリーカー"も真の姿だった、と思っています。そこでこの大好きな7th スカイライン1800シリーズについて、このコーナーでもう少し"体を張って"掘り下げてみたいと思います。でもなんと次号じゃないですよ! この次のページに続いちゃいます!
なんと僕は、あまりに装備がないゆえ『スカスカG』と名付けたこの1985年型スカイラインを手に入れてしまったのです!
ということで、このコーナー初の延長戦に突入! 引き続き7thスカイラインの1800シリーズを"体を張って" 掘り下げます。と言いますのも、なんと僕はこの1985年型スカイラインを手に入れてしまったのです! しかも最廉価版の『1800G』という激レア個体。これが本当に低廉なグレードで、M/T版ではパワステすら付いていない! 室内もベーシック感満載。シートは教習車やタクシーといったいわゆる営業車の如く質素なタイプで、ダッシュボードまわりはほとんどダミースイッチ(笑)。直4SOHCエンジンの、"ウワァアン"と回る頼りないエンジン音やトランクの内張がビニールだったりするのも、営業車っぽさを感じさせる部分です。
面白いのは、スカイラインは日産の上位車種だったのに、こんな"何もないグレード"があったことですよね。最上級版の価格が300万円前後の中、セダン1800G(M/T)は何と123万円。サニーの上級版やブルーバードの中堅モデルが買える価格でした。"装備は落ちるが、夢のスカイラインに手が届く。それならスカイラインにしよう!"と、オトーサンたちを夢想させたのです。なお、1800シリーズでは上からパサージュ、エクセル、Gとグレードがあり、パサージュはリアサスがリジッドになるなどGTと差別化が行われながらも装備が満載のお買い得グレードで、エクセルはその中間。ほどよく豪華で、ほどよくお買い得な経済的モデルでした。
と、細かいところからスタートしましたが、この個体の説明に入りましょう。最初の登録は1985年10月となるワンオーナーカーで、以前は鳥取県にいました。そこからこのクルマを入手したのはタクシーの引き上げや劇中車などを手がける会社に勤める友人で、本来の目的は、1985年頃を再現するドラマ用のパトカーに仕上げようと思ったとのことです。しかし手に入れてみたら程度があまりにもよく、これは乗り続けたほうがいいと判断。スカイライン好きをあちこちで公言していた僕が乗ることになったのでした。
【写真10枚】最廉価版の『1800G』という激レア個体! 7代目スカイラインの詳細を写真で見る
屋根下保管だったと思わせるほど外装は程度が良く、手元に来た時の走行距離は16万km超という過走行ながら、定期的にメンテナンスが行われていたようで調子も抜群。積まれているCA18S型エンジンは、驚きのツインプラグで電子制御キャブレターを備えますが、こちらもとても調子が良く、キャブ車を感じさせることがありません。エアコンもとても効きますし、ステアリングが据え切り時に重いこと以外(しかしこれが実につらい)は、日常で問題なく使えます。1980年代ヤングタイマーカーの良さでもありますね。
あまりに装備がないゆえ『スカスカG』と名付けたこのクルマ。ショックが抜け切っていて乗り心地が悪いのと、エンブレム類がないこと、ヘッドライトが暗いことなど気になる点が多いのも事実ですが、そこは手を入れつつ楽しんでいこうと思います。
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みんなのコメント
もちろん18004気筒。プリメーラが来るまで、プリンス店はブルーバードのクラスをこの4気筒スカイラインで賄わなければならなかったわけで、けして、けして日陰の車種ではないのです。フロントマスクは前期型の方が好きだったけど。