オデッセイ無き今、受け皿としてステップワゴンに高級グレードを用意して凌いでいる状況である。でも本当にユーザーはそんな動きをしているのか!? やっぱりオデッセイは必要なのでは!?
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
オデッセイユーザーは次はなに買えば? 狙い通りステップワゴンに流れてる!?
■ミニバンよりもSUVに!! 厳しいのはLサイズミニバン市場
かつてLクラスミニバンはエルグランドやオデッセイなどもあったが、今やアルファードだけに!!
ミニバンは1990年代後半から急増して、日本の売れ筋カテゴリーになった。多人数乗車の可能な車内の広いクルマだからファミリーカーの需要が中心だが、販売店からは観点の違う話も聞かれる。「ミニバンの広い車内は快適で便利だから、子育てを終えても使い続けるお客様が多い。今は中高年齢層のお客様もミニバンを購入されている」。
ミニバンの人気は根強いが、それ以上に売れ行きを伸ばすのがSUVだ。SUVは悪路の走破も視野に入れて開発されるから、フロントマスクなどの外観に存在感が伴い、ボディの基本スタイルはワゴンだから居住空間や荷室も広い。
空間効率はミニバンほど高くないがSUVはカッコ良く、実用的で人気を高めた。従来はミニバンの売れ行きがSUVを上まわっていたが、2022年に逆転している。
ミニバンの人気が衰えてきたことを実感させるのは、全長が4800mmを超えるLサイズの車種だ。ホンダではオデッセイが国内販売を終了させ、日産のエルグランドも現行型の発売から13年近くを経過した。Lサイズミニバン市場は、実質的にアルファードに独占されている。
■アルファード購入に待った!! ステップワゴン&セレナに高級グレードで囲い込み
Mクラスミニバンに高級仕様が目立ってきた。セレナやステップワゴンにラインアップされ、新規顧客獲得を狙っているのだ!!
そこで問題になるのは、以前のLサイズミニバンを使っている人達の動向だ。車種の終了や設計が古くなったことで、従来のオデッセイやエルグランドからアルファードへの乗り替えが進むと、ホンダや日産は顧客を減らしてしまう。
そこでホンダ 新型ステップワゴンは、上級グレードにスパーダプレミアムラインを設定。シート生地はプレミアムライン専用のスエード調&プライムスムースに上級化され、1/2列目のシートヒーター、ハイビーム状態を保ちながら対向車などの眩惑を抑えるアダプティブドライビングビーム、専用デザインの17インチアルミホイール(2WD)などを標準装備している。
つまりステップワゴンスパーダプレミアムラインは、内外装や装備を上級化することで、国内販売を終えたオデッセイからの乗り替え需要を狙っているのだ。
セレナもe-POWERルキシオンを設定した。運転支援機能は、e-POWERルキシオン専用のプロパイロット2.0に上級化される。高速道路上で条件が合えば、ステアリングホイールから手を離しても、運転支援を続けられる。
そのほか合成皮革のシート生地、SOSコール、アダプティブLEDヘッドランプなどの装備を充実。エアロパーツを装着した外観はハイウェイスターに近いが、敢えてe-POWERルキシオンという独立したグレード名を与えた。これらのミドルサイズミニバンは、狙い通りに上級車種から乗り替えられているのだろうか。
■やっぱ別物だよね……オデッセイからステップワゴンに代替えは少数!!
ステップワゴンの最上級グレードは2列目にオットマンを採用。オデッセイからの乗り換えでも遜色ない仕上がりに
そこでホンダの販売店で、オデッセイからステップワゴンスパーダプレミアムラインへの乗り替え状況を尋ねると、「新型ステップワゴンを購入されるお客様は、従来型からの乗り替えが中心だ。オデッセイからステップワゴンへの乗り替えは少ない。
一番大きな理由は、ボディサイズ、動力性能、内外装など、クルマ造りが異なること。オデッセイは上級車種だから、ステップワゴンに乗り替えると、ダウンサイジングしたことになる。お客様によってはダウンサイジングを希望されるが、そうならないことも多い。立派なミニバンを好むお客様の中には、既にアルファードに乗り替えた方もおられる」。
ボディサイズや内外装のほかに、オデッセイからステップワゴンスパーダプレミアムラインへの乗り替えが進まない理由はあるか。「駐車スペースの制約もある。オデッセイ(アブソルート2WD)の全高は1700mm以下だった。それがステップワゴンは1800mmを超えるから、お客様によっては駐車場に収まらない」。
以上のようにオデッセイとステップワゴンでは、さまざまな機能や造りが異なる。ステップワゴンに上級グレードを用意しても、オデッセイの代わりにならないことは、以前から予想できたはずだ。
それなのにオデッセイは、2020年11月のマイナーチェンジを成功させ、2021年上半期(1~6月)の登録台数を2倍以上に増やしながら、2021年の12月には国内生産を終えてしまった。
■オデッセイ国内復活は23年中か!? アルファード同時期デビューで一騎打ちに?
まもなく登場予定の新型アルファード!! オデッセイも復活となれば再度この市場は盛り上がるか!?
マイナーチェンジで売れ行きを増やしながら、生産を終えた背景には、オデッセイを受け持つ狭山工場の閉鎖があった。
ただし車種の販売終了に伴って工場を閉鎖するなら理屈に合うが、工場の閉鎖によって車種が廃止されるのは本末転倒だ。ステップワゴンは寄居工場に移して生産を続けているから、オデッセイも存続させることは可能だった。
オデッセイの廃止については、ホンダ社内でも反対意見が根強かった。そのために生産終了直後から「中国で生産するオデッセイを日本に導入する可能性がある」という話が聞かれた。
そこで販売店に今後のオデッセイの見通しを尋ねた。「中国製のオデッセイを国内へ導入することは、ほぼ間違いない。具体的な時期は不明だが、おそらく2023年の9月以降だろう。半導体などの不足による納期の遅延は、今でも続いており、オデッセイの導入が年末に遅れる可能性もある」。
ホンダは車種の廃止と復活が多い。シビックも一時的に廃止されて復活した。CR-Vは廃止した後で復活して、再び廃止された。ホンダの国内販売は、とても場当たり的だ。
販売店からは「車種を廃止すると、そのお客様は、メーカーから見捨てられたような気分になる。不愉快に感じて別の車種への乗り替えも進むから、その後に復活しても、CR-Vのように売れ行き戻らないことがある」という。
オデッセイについても前述のように「アルファードに移った方もおられる」という話が聞かれたが、ホンダには幸いというべきか、ライバル車のアルファードは現時点で受注を停止している。トヨタの販売店では「2023年中には次期型が登場する予定で、予約受注の開始は5月頃になりそう」という。
つまりオデッセイの乗り替えユーザーは、新しいLサイズミニバンの登場を待っている。次期アルファードが予約受注を開始する前に、中国で生産されるオデッセイが国内で復活すれば、乗り替え需要を継承できる可能性がある。
しかしユーザーとしては、生産の終了によって乗り替えを待たされたのだから、マイナーチェンジによる機能面での進化も必要。
従来のオデッセイとほぼ同じ内容で復活したのでは、フルモデルチェンジを受けた新型アルファードに乗り替える可能性も残る。復活させるとしても、ユーザーの目線で、購入に値する新たな魅力を備えたオデッセイに進化させることが不可欠だ。
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みんなのコメント
と言うか、ホンダはこれが限界。
安くて軽快な車が一番ホンダに似合ってるのに、無理するな。