テスラ・モデルSのEV性能を試す
テスラの高級セダンであるモデルSで恒例の1000kmチャレンジを行いました。冬の検証時と比較してどれほどタイムを短縮できたのか。そして史上最速タイムを記録しているテスラ・モデル3のタイムを更新することはできたのか。途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。
神奈川県の海老名SAスタートでどっちが先に加古川まで行って帰ってこられる? BYDシールとテスラ・モデル3で1000km対決!
まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。
*走行ルート 海老名SA下り(神奈川県) ↓ 三木小野IC(兵庫県) ↓ 海老名SA上り(神奈川県)
*走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ(モデルSの場合21℃オートに設定) ・追い越しなど含めて、メーター読みで制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のモデルS AWD・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離との乖離がなかったため、オドメーター上で1000kmの段階でゴール)
1)海老名SA下り→大津スーパーチャージャー(250kW級急速充電器)
・走行距離:390km ・消費電力量:97.4%→18.9% ・平均電費:5.49km/kWh(182Wh/km) ・外気温:29℃→27℃ ・充電セッション:18.9%→60.9%(14分)
まず、この区間で注目するべきは、120km/h制限区間をがっつり走行するという、EVの電費という観点でもっとも厳しい新東名を含む390km区間を無充電で走破しているという点です。しかも、新型モデルSはシステム最大電圧が450Vを超えていることで公共のチャデモ急速充電器を使えず、海老名SA出発時に100%で出発できませんでした。また、この区間は一時豪雨に見舞われ電費がさらに悪化しました。そのうえで、大津スーパーチャージャー到着時でもSOC19%残して到着しているという点を踏まえれば、このモデルSの長距離走破性能を容易にイメージできると思います。
2)大津スーパーチャージャー→三木小野IC(折り返し)→南大高スーパーチャージャー(250kW級急速充電器)
・走行距離:330km ・消費電力量:60.9%→-0.03% ・平均電費:5.99km/kWh(167Wh/km) ・外気温:27℃→27℃ ・充電セッション:-0.03%→57.4%(19分)
すでに折り返し地点を超えました。到着時のSOCも0%と完璧な充電残量マネージメントを実現しています。電費も167Wh/kmと、一時雨が降っていたという点、そして285/40R19という太めのパフォーマンスタイヤを装着している点を踏まえると、まずまずの効率性です。
テスラはスーパーチャージャーを目的地にセッティングするとバッテリーを最適な温度に調整することで最高の充電性能を発揮することが可能です。52kWh分の電力量を充電するのに19分しか充電に時間がかかっていないという点も、ただ航続距離が長いだけではない、モデルSの長距離走破性能の高さといえるでしょう。
史上最速タイムを樹立!
3)南大高スーパーチャージャー→海老名SA上り(ゴール)
・走行距離:284km ・消費電力量:57.4%→0.23% ・平均電費:5.46 km/kWh(183Wh/km) ・外気温:27℃→28℃
海老名SA直前で走行距離1000kmを達成しました。海老名SAには充電残量0.23%で到着。この海老名SA到着時点での充電残量が少なければ少ないほど、最後の充電時間を短縮することができるわけですので、綿密な充電残量コントロールが求められるわけです。その意味においては完璧な充電残量コントロールを達成できたといえそうです。
トータルの所要時間は9時間22分と、私がこれまで行ってきた1000kmチャレンジの検証のなかで最速タイムを更新しました。とくに同車両で冬に検証を行った際と比較しても20分以上タイムを短縮しており、この理由は、夏場のほうが電費がよくなるぶんだけ充電時間を短縮できるからです。
そのうえ、これまで史上最速タイムを記録していたモデル3を上まわっており、チャデモ規格最速EVであるメルセデスEQE/EQSと比較しても頭ひとつ抜けたタイムです。モデルSのモデルチェンジなどによってさらに充電性能が向上しない限りは、今後数年間は破られぬ記録となりそうです。
また、テスラ車がスーパーチャージャーを利用する場合、充電プラグを差し込むだけで自動的に充電がスタートし、充電セッションを終了すると、あらかじめ紐づけてあるクレジットカードから自動的に充電料金が決済されるというプラグ&チャージ機能を実装しています。よって、チャデモ規格を採用するEVが公共の充電器を使用する際のように、あらかじめ充電カードを用意しておいたり、専用のアプリをインストールしておく必要がありません。誰でも簡単に充電することができるという点も、テスラ車の大きな強みであることは間違いありません。
いずれにしても、今後数年間破られることのない記録を樹立した新型モデルSは、日本国内で発売されているEVのなかで最強の長距離走破性能を実現していることを実証した格好となりました。
このモデルSの記録を超えるEVがいつ現れるのか。テスラの新型モデルなのか、それともチャデモ規格を採用する新型EVとなるのか。1000kmチャレンジの新たなベンチマークとなったモデルSと比較しながら、今後もさまざまなEVを使用して1000kmチャレンジを行い、長距離走破性能を実証していきたいと思います。
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みんなのコメント
そこまで充電を気にしないと長距離ドライブ出来ない時点でEVは終わってるな。
まぁメディアも大変だな!