走り屋に愛されたスポーツモデル
高額な値段で取引されることも珍しくなくなってきた1980~1990年代のスポーツカーたち。しかし、1990年代の現役当時は手ごろに入手することができて遊び倒すことができる貴重な「オモチャ」だった。今回はそんな1990年代の走り屋たちに愛されたベースマシンたちを振り返って懐かしさに浸ってみたい。
日産「S14シルビア」の不人気だった理由を再検証! ファンに「NO!」を突きつけられたデザインになったワケとは
日産シルビア/180SX(S13型)
今となっては貴重な5ナンバーFRスポーツとして高値で取引されているだけでなく、当時では見向きもされなかったフルノーマルに近い個体にまで注目が集まっているS13型シルビア&180SX。
ただ当時はターボモデルであっても少しお金を貯めれば充分狙える50万円前後の物件も数多く存在しており、NAのAT車などは一桁万円という価格も珍しくなかった。
それだけにクラッシュしたときの箱替えとして重宝されたり、同じ日産のRB系エンジンをスワップするベース車として使われることも珍しくなかったのである。
トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノ(AE86型)
頭文字Dの影響もあって一気に人気車種の仲間入りを果たし、現在では当然のようにプレミア価格で取引がされているAE86。ただこちらも1990年代の半ば、頭文字Dブーム以前では古めかしいレイアウトの手ごろなFR車という扱いとなっていた。
というのも、AE86はエンジンこそ新開発の4A-GE型を搭載していたが、プラットフォームは先代の70系のキャリーオーバーで、リヤサスペンションもリジッド式となっていたのだ。ただその分、70系で培った足回りのノウハウなどが流用できたという点も人気になった秘訣であった。
ちなみに今では頭文字Dの影響で3ドアのトレノが人気となっているが、当時は鼻先の重いリトラクタブルヘッドライトを持つトレノよりもレビンの方が人気で、ボディも3ドアよりも剛性が高い2ドアが人気となっていた。
マツダRX-7(FC型)
今となっては孤高の存在となっているロータリーエンジンを搭載したRX-7も、当時の走り屋には人気の高かった1台だ。基本的にシンプルな構造のロータリーエンジンは、自らエンジンに手を加えるプライベーターにも多く愛されており、現在のように部品供給にも苦労しない時代だったため、トライ&エラーを繰り返していたユーザーも多かった。
デビュー当時は高級スポーツクーペだったRX-7(FC型)ではあるが、1985年デビューということもあって1990年代では比較的手ごろな価格で購入できる個体も多く、走行距離のかさんだ車両では50万円以下で店頭に並ぶことも珍しくなかったのである。
ホンダ シビック/CR-X(EF系)
ホットハッチとして名高いシビックと、そのシビックをベースにさらにショートホイールベース化をしたCR-X。現在はどちらも状態の良いものでは高値安定となっているが、1990年代ではB16AのVTECエンジンを搭載したモデルでも過走行や修復歴アリであれば比較的安価に買うことができた。
また前期のZC型エンジンを搭載したSiモデルであればさらに安価に狙うことができ、とりあえずお金のかからないチューニングと称して内装を取り外してドンガラ化をするのも定番となっていたのである。
ただ当時のホンダ車はボディが弱いことでも知られており、CR-Xのグラストップ(ガラスルーフ)車などは激しい走りをしているとガラスに亀裂が入るというケースもあり、そういったこともあって状態のよい車両が少なくなって現在の高騰につながっているのかもしれない。
日産 スカイライン(R32系)
今ではGT-Rはもちろん、通常のモデルでも信じられない価格帯となってしまったR32系スカイライン。しかし当時はGT-Rでも安いものは100万円を切る価格で販売されているものも珍しくなく、わざわざ4WDのヒューズを抜いてFR駆動にしてドリフト走行を楽しむユーザーも存在していた。
そしてGT-RではないターボモデルのGTS-t(RB20DETエンジン搭載車)であればさらに安価に狙うことができ、2ドアよりも4ドアの方が不人気だったこともあってイジリ倒すユーザーはあえて安い4ドアを狙うことも珍しくなかったのだ。
また6気筒エンジンであるRBは鼻先が重いということで、4気筒のSRエンジンに換装するケースもあったが、当時の日産車は互換性が高く、大幅に加工をしなくてもすんなり載ってしまう点も人気の理由となっていた。
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