■現代的なカーオーディオ環境を低予算で構築できる救世主
車内における音楽環境は時代とともに移り変わっており、昨今はカーナビまたはディスプレイオーディオにスマートフォンやデジタルオーディオプレイヤーを連携させ、音楽を聴くのが一般的になっています。
サブスク契約した音楽配信サービスを利用し、これらの機器を連携させることによって、ドライブ中に好きな曲を鑑賞している人も多いのではないでしょうか。
【画像】見たことある? これが「FMトランスミッター」です! 画像を見る(12枚)
こうした方式で音楽を楽しむには、対応した高額なカーナビや最新のディスプレイオーディオが必須なのかというと、決してそんなことはありません。
ラジオ機能が付いているカーオーディオと安価な「FMトランスミッター」があれば、カーナビやディスプレイオーディオを装着できない旧車やシンプルな装備の商用車などでも、スマホなどと接続して最新の音楽環境を構築することができるのです。
そんな便利極まりないFMトランスミッターとは、いったい何なのでしょうか。
そもそもトランスミッターとは送信機を意味する英語で、FMトランスミッターは音声信号をFMラジオの周波数帯の電波に変換して送信する機器です。
接続機器の音声を車内のFMトランスミッターに入力し、そこから電波を送信して、カーラジオのアンテナで受信するという超短距離で完結する仕組みです。
町内会のイベントの実況や、かつてのドライブ・イン・シアターの音声などもFMトランスミッターを利用した「ミニFM」と呼ばれる放送では、FMトランスミッターと同じ原理を利用していましたが、カー用品の場合はもっと小規模なものです。
基本的にFMトランスミッター自体には音楽データは内蔵されていません。そのため別途音源を用意する必要があり、スマホやデジタルオーディオプレイヤー、あるいはフラッシュメモリやCDプレイヤーなどを接続して使用します。
そんなFMトランスミッターにはいくつかの種類があるのですが、おおまかにいうと「給電方法」と「接続方法」という2つの違いから製品を選ぶことになります。
給電方法とは、その名のとおり電気をどこから供給するかで、FMトランスミッターには「シガーソケット」「USB」「電池」の3つのタイプがあります。
主流はシガーソケットタイプですが、乗用車のDC12V電源のみでDC24V電源のトラックなどには対応してない製品もあるので、購入時には注意が必要です。
音源となる機器との接続方法についてはどうでしょうか。もっともオーソドックスなのはAUXケーブルによる「有線接続」です。
ケーブルを繋ぐだけで接続完了となる手軽さが魅力ですが、近年は接続するためのイヤホンジャックを装備しないスマホも少なくなってきており、そうした機器との接続には変換アダプタが必要になります。
それ以上に主流となっているのが「Bluetooth接続」です。ケーブルが絡む煩わしさもなく、ミニバンの3列目シートに座っている乗員のスマホと連携することも容易にできます。
接続はペアリングするだけと簡単なうえ、一度繋ぐとペアリングを記憶して二回目からは自動接続してくれる製品も増えています。
もうひとつは「フラッシュメモリ接続」で、USBメモリやマイクロSDカードなどを直接接続するタイプです。事前にフラッシュメモリに曲のデータを保存する手間はかかりますが、USBポートやSDカードスロットに差し込むだけで自動的に音楽ファイルを認識してくれるので、接続自体はとても簡単です。
なお、給電方法は3つのうちどれかひとつになりますが、接続方法は1つだけのものから3つすべてのものまで、さまざまな製品があります。昨今多いのはBluetooth接続+フラッシュメモリ接続の製品です。
■実際に使っている人の感想は?
手軽に車内で音楽を楽しめるFMトランスミッターですが、実際に使用している人たちはどんな感想を持っているのでしょうか。
もっとも多かったのは、やはり「スマホのサブスクの曲をそのまま聴けるのがありがたい」という意見。次いで「接続が簡単」、「これ(FMトランスミッター本体)で3000円前後プライスなのはコスパ良すぎ」といったところ。
製品によって機能が異なるため、FMトランスミッター全体にあてはまることではありませんが、「マイク内蔵でハンズフリー通話に対応しているのが便利」や「USBポートは音楽を聴くためだけじゃなく充電もできるのが嬉しい」といった肯定的なコメントも多く見受けられます。
一方で「雑音が入る」や「音質がイマイチ」といったネガティブな意見もありますが、「ラジオを利用する仕組みを考えたらこんなもの」や「昔のものに比べたら全然イイ!」など擁護の声も少なくありません。
また、「少しでも音質を良くするために音源とは有線接続してます」や「音量を上げるとき、カーステレオではなくスマホ側の音量を上げたほうがノイズは少ない」といった自分なりのテクニックを披露している人も。
ラジオの周波数を利用するため、同じ周波数でFMトランスミッターを利用しているクルマが近くにいると音声が混ざったり、ほかの音声が聞こえてしまう混線が懸念されますが、実際のところ「昔ほど利用者がいないせいかほとんどない」という意見が多数。
トラックが並ぶと無線のせいか音声が乱れることが稀にある程度なようです。
※ ※ ※
FMトランスミッターは電波を送受信する機械のため、購入に際しては電波法に適合した製品であることが絶対の条件です。FM電波を送信する機能については、無免許で扱える「微弱無線」でなければなりません。
製造元で独自に試験を行って作られた微弱無線設備であれば問題ないのですが、2019年度に総務省が行ったテストでは微弱無線設備の9割以上が基準を満たしていませんでした。
そうした結果を受けてFMトランスミッターを自主回収したメーカーもありましたが、電波法違反は使用者にも罰則があるので、これから購入するのであれば指定試験機関がテストをして微弱無線設備であることが確認されている「ELPマーク」の付いた製品を選ぶのが安心です。
同様に、Bluetooth接続のモデルでは「技術基準適合証明(技適)」と「Bluetooth証明(SIG認証)」を取得していることが絶対条件です。任意の「ELPマーク」とは違いこちらは取得が義務なので、くれぐれも未取得の製品に手を出さないようにしましょう。
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