軽自動車で大人気のスーパーハイトワゴン、広い室内と便利なスライドドアがユーザーからの支持を集めています。一方で、もう少し背の低いハイトワゴンだとスライドドアモデルはダイハツのムーヴキャンバスのみでした。その独占マーケットに投入されたのがスズキのニューモデル、ワゴンRスマイル。最新モデル2台に試乗した萩原文博さんが2台の違いに迫ります。
ワゴンR躍進の立役者
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2021年9月の軽自動車の新車販売台数を見ると、半導体不足による納車遅延が起きている中、第2位の日産ルークスが前月比204.9%の9,708台、第3位のスズキワゴンRが144.7%の7,573台と躍進しています。この状況下でも軽スーパーハイトワゴンのホンダN-BOXが1位を死守し、4位にスズキスペーシア、6位にダイハツタントと、ベスト10にスーパーハイトワゴンが4車種もランクインし相変わらず人気の高さがわかります。
一方で注目したいのは、第3位のワゴンRです。ワゴンRはハイトワゴンの主力車種ですが、最近はベスト10を出たり入ったりと低迷気味でした。販売台数が約1.5倍になるほどの増加は、2021年9月10日に販売開始したニューモデルの「ワゴンRスマイル」の効果によるものと言えます。ワゴンRスマイルはワゴンRの名前はついているものの、軽スーパーハイトワゴンのスペーシアをベースとしたモデルです。リアにはスライドドアを採用し、全高を1,695mmと低く抑えることで、若者などのパーソナルユースをターゲットとし、ファミリー中心のスペーシアとすみ分けを図ったモデルです。
背の低いスライドドアはムーヴキャンバスとワゴンRスマイルだけ
軽スーパーハイトワゴンをベースとした派生モデルといえば、古くは2009年に登場したタントエグゼや2014年に登場したN-BOXスラッシュを思い出しますが、この両モデルはリアドアをベース車とは異なるスイングドアに変更して差別化を図りました。しかし、今回登場したワゴンRスマイルやライバル車といえる2016年に登場したダイハツムーヴキャンバスは利便性の高いリアスライドドアはそのままに車高を下げて、際立った個性を強調するという手法を採用しています。ここでは、スマッシュヒットの期待があるスズキワゴンRスマイルとライバル車であるダイハツムーヴキャンバスを比較してみましょう。
女性を意識した丸みのあるスタイルこそムーヴキャンバスらしさ
2016年9月に登場したダイハツムーヴキャンバスは、「自身のライフスタイルを楽しむ女性に寄り添う新感覚スタイルワゴン」がキャッチフレーズ。その言葉どおり、メインターゲットは女性で、企画開発段階から女性が関与してきました。ダイハツが主張するムーヴキャンバスの主な特徴は3つ。1:おおらかでシンプルな丸みのあるシルエットとこだわりの感じる内外装デザイン。2:両側スライドドア採用による新しいパッケージングと新発想レイアウト。3:「置きラクボックス」など幅広い世代の使いやすさを考えた新アイテムの採用です。
ムーヴキャンバスのインテリアに感じる優しさと使い勝手の良さ
ワーゲンバスを彷彿させる外観デザインも和みのポイントですが、注目はインテリアです。優しさを感じるおおらかな面に包まれた、ナチュラルで居心地の良い空間は軽自動車でも随一のセンスの良さを感じます。インテリアで注目は、リアシート下や足元空間を有効活用できる「置きラクボックス」の採用。ケースモードではシート下に収まる引き出しとして使用できます。また中敷きを立ち上げたバスケットモードでは高さが増して転倒しやすい荷物も安定した収納が可能です。
ターボモデルはなし、安全装備はアップデートされているキャンバス
搭載するエンジンは、最高出力52psを発生する660ccの直列3気筒DOHCの1種類。2WD、4WDの駆動方式を問わずトランスミッションは全車CVTが組み合わされます。安全装備では、デビュー当初は「スマートアシストII」でしたが、現在は歩行者にも緊急ブレーキが対応する衝突回避支援システム「スマートアシストIII」を搭載。デビュー当初から採用している4つのカメラの画像を合成して、真上から見ているような画像を表示するパノラマモニターによって運転や駐車をサポートしてくれるので、高い安全・安心を実現させています。
高いデザイン性をアピールするワゴンRスマイル
一方、スズキワゴンRスマイルは2021年8月27日に発表、9月10日より販売が開始されました。「高いデザイン性とスライドドアの使い勝手を融合させた、新しい軽ワゴン」をコンセプトに開発。ワゴンRの特徴である広い室内空間と高い機能性に加えて、スライドドアの利便性と個性的なデザインを兼ね備えたモデルとなっています。
ワゴンRスマイルのインテリアは質感が高い
ワゴンRスマイルの外観デザインは、「マイスタイル マイワゴン」がデザインテーマ。四角いボディのフォルムと丸目のヘッドライトによってシンプルで愛着のわくデザインとしています。また、インテリアは柔らかな造形のインパネカラーパネルにカッパーゴールドのアクセントを組み合わせるなど居心地の良さに加えて、質感の高さを感じさせます。全高は1,695mmとベース車のスペーシアより90mm低くなっていますが、ヘッドクリアランスと呼ばれる頭上空間を確保しながら、フロントシートのシートポジションを高めて、広い視界と室内空間を両立しています。
マイルドハイブリッドと運転支援機能の充実がスマイルのウリ
搭載するエンジンは最高出力49psを発生する660cc直列3気筒DOHC。これにISGというモーター機能付発電機と専用リチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドを搭載。燃費性能はWLTCモードで22.5~25.1km/Lを実現し、ムーヴキャンバスの19.6~20.6km/Lを大きく上回っています。さらに、構造用接着剤や高減衰マスチックシーラーの採用によって静粛性と快適な乗り心地を実現しています。安全装備は、デュアルカメラブレーキサポートを採用した「スズキセーフティサポート」を全車標準装備。さらに、ヘッドアップディスプレイや全車速追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)などをセーフティパッケージとしてオプション設定しています。
走りの安定感、安全装備はワゴンRスマイルの勝ち
スズキワゴンRスマイルとダイハツムーヴキャンバスを乗り比べると、走行安定性と乗り心地、そして安全装備の充実ぶりはワゴンRスマイルのほうがムーヴキャンバスを上回っています。特にボディの揺れを抑えたフラットな乗り心地は後席に座る人も安心して移動できるでしょう。ただし、発進時などにアクセルペダルを粗く踏むと大きめのノイズが車内に入ってきます。アクセルペダルはジワッとソフトに踏んでいった方がスムーズな加速性能を発揮します。
女性に特化した作りが徹底しているムーヴキャンバス
一方、ムーヴキャンバスの美点は、ターゲットを絞ったことで、高いユーティリティやエンタテイメント性を実現していることでしょう。パワフルなターボエンジンが設定されていないので、加速性能などはやや不満な部分はありますが、エンジン音の侵入は少なめ。乗り心地は柔らかくコーナーでのクルマの傾きもワゴンRスマイルに比べると大きめですが、不快とは言えないレベルに抑えています。登場してから5年が経過したムーヴキャンバスですが、ムーヴの新車販売台数うち、かなりの台数はこのキャンバスが占めています。それだけ、時間が経ってもムーヴキャンバスの魅力が色あせないということを表しています。それはムーヴキャンバスが単なる派生モデルではなく、しっかりと作り込まれたモデルであるという証明とも言えるでしょう。
見た目で気に入った方を選んで正解
同じようなスペックのこの2台ですが、それぞれが狙っている方向性はかなり異なります。それが一番わかりやすく現れているのが外観でしょう。上質で優等生的なワゴンRスマイル、柔らかくファニーなムーヴキャンバス。そして見た目同様、インテリアや走りも同じように結構異なります。この2台はライバルというほど選ぶ方も迷わないのではないかなと思います。
※記事の内容は2021年11月時点の情報で制作しています。
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