■目的地に向けて「遠回りなコース」をわざわざ提示!?
カーナビや地図アプリといえば、目的地に向け最速ルートを案内してくれるのが「良いアプリケーション」の条件です。
しかしそんな価値観とは真逆の思想を持つドライブアプリ「SUBAROAD(スバロード)」があるといいます。どのようなコース設定をするものなのか、実際に試してみることにしました。
【画像】めちゃ楽しい! 斬新「スバロード」のコースを画像で見る(30枚以上)
スバロードは、スバルがスマートフォン向けに開発したドライブアプリです。
誕生したのは2021年12月のことで、同社の中期経営ビジョン「STEP」の中に掲げられた「コネクトを活用した新価値創出」において、国内向け第一弾の取り組みとしてスタートしました。
そう聞くと、随分と“お堅いハナシ”のようにも思えますが、アプリを介してドライブそのものを楽しめる「仕掛け」だと考えれば、グッと理解しやすいでしょう。
ちなみにスバルがユーザーに対し「ドライブを楽しむとは何か」について調査したところ、面白い答えが返ってきたといいます。
「スバル車は走るのが楽しい。家族に悟られないよう、目的地に向かいながらわざと遠回りをする」
「わざとナビのコースを外れて走る。そうするとその土地ならではの風景に出会える」
普段ドライブをする際には、カーナビや地図アプリで目的地を設定しますが、目的地に向かって最速コースを一直線に誘導してくれるのが、一般的には「良いナビ」「良いアプリ」の条件となります。
しかしスバルの調査では、そうした「誘導コース」からあえて逸れて、より積極的にドライブを楽しんでいるスバルオーナーたちの姿が浮き彫りになったのです。
そこで、道案内をするナビゲーションアプリや、観光地の名所案内アプリとは違うスバロードの独自性として、「積極的に寄り道を推奨してくれる」方向性が決まりました。
走りが楽しめるワインディングロードや、海や山など自然の景観を楽しめる道、地域の魅力を感じられる名所といったところを「わざわざ」遠回りして案内してくれるのです。
またクルマの位置情報に連動して、リアルタイムにコース上にある歴史的な名所や観光ポイントを音声案内してくれたり、車窓にマッチした音楽も流してくれたりして、ドライブを飽きさせない工夫もふんだんに盛り込まれています。
2021年のスタート当初は、千葉と伊豆の3コースから始まったスバロードも徐々にコースを拡大し、今年2024年3月には北海道や九州などを含む全国19コースへ拡大しています。
またこの2月からは「Apple CarPlay」に対応するアップデートが実施され、これによって車内のディスプレイに表示させることが可能になり、iPhoneユーザーであればより気軽に使える環境も整いました。
このように進化が著しい最新のスバロードを体験すべく、日ごろから、寄り道ばかりしていつまで経っても目的地に着かないようなドライブをしている筆者(くるまのニュース編集部T)が、現地へ向かいました。
■ドライバーだけでなく同乗者が楽しめる工夫も
新設定されたコースの中から、『海の底から山の上? 大地の営みが生んだ信越の絶景“一目五山”を目指す』との紹介文に惹かれ、「長野コース」を選択しました。
旅の相棒は、2023年10月に一部改良を実施したばかりの最新BEV(バッテリーEV:電気自動車)「ソルテラ」です。
スタート地点は、1998年に長野オリンピックの開会式が行われた南長野運動公園(長野県長野市)。
目的地は、妙高戸隠連山国立公園のふもとにある妙高ビジターセンター(新潟県妙高市)です。
隣県の新潟までのコースを通常の地図アプリで検索すると、上信越自動車道経由でおよそ55キロ、時間にしてわずか44分だと表示されました。
しかしスバロードではおよそ110キロ、走行時間にして3時間15分の「遠回り」ドライブコースが始まると案内してくれます。
どうやら、日本有数といわれる山岳地帯を往くドライブとなりそうです。
今回の長野コースの行路設定には、地元長野県長野市のスバル販売店、スバル信州のスタッフが関わったといいます。
なるほどその“遠回りコース”は、メインのバイパス道を逸れ、あえてワインディングが続く旧道を選ぶなど、地元を知り尽くした「ドライブ好きが選んでいる」感がビシビシと伝わってきます。
取材は3月上旬だったため多くの区間で沿道にまだ雪が残っており、いつも以上に慎重な運転が求められましたが、その先では北アルプスを間近に望む絶景に出会うことができました。
※ ※ ※
最終的には走行距離126キロ、ゴールまでの所要時間は5時間以上が経過。
スバロードをこれから体感する人のために、ここではあえて旅程の細かい話は記しませんが、驚きが続くドライブを堪能できました。
信号もほとんどないようなコースでなかなかの長丁場でしたが、本当にただただドライブを楽しめるので「運転が大好き!」というスバルオーナーにとってもかなりの満足度となるでしょう。
また変化に富んだ風景とともに、要所要所でその土地にまつわる歴史の話や地名の由来など、思わず誰か話したくなるような興味深い音声ガイドが入り、ほどよく立ち寄り地もあるので、同乗者も飽きずに過ごせるはず。
実際あっという間だったというのが本音です。
今回の相棒だったソルテラも、BEVらしいスムーズで鋭い加速は山道でもストレスのない走りが堪能できるとともに、静粛性も高いことから音声ガイドがしっかり耳に入って来るのも好都合でした。
これはたまたまだったのか、立ち寄り地に急速充電器が設置されていたのも有難いところ。
このあとの旅程の都合もあり、途中の中継ポイントを全て満喫できないまま、ただ立ち寄っただけというところも多くあり、後悔が残ります。
観光スポットをもっとじっくりと巡り、お土産選びやご当地グルメなども満喫したら、さらに数時間はかかりそうな予感。
全て行くと丸々一日でも回り切れないほどで、逆に言えば、数日間かけてじっくりと巡ってみたり、同じコースでも何度も楽しめう充実したコース設定となっており、実に練り込まれた行程だとわかります。
しかも四季折々で景色も大きく変わりそうなコースだけに、季節ごとにまた違った発見もあるでしょう。
春になったら、改めて同じコースを巡ってみたい……そう思えるドライブアプリでした。
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みんなのコメント
これはyahooカーナビやGoogle mapのようなナビアプリではありません。
A地点からB地点に行く途中でわざと遠回りするような事が書かれていますが、
「伊豆半島の旅」「房総半島の旅」のようにスタートもゴールも決まっていて
景観の良いルートや観光地を案内するアプリです
「人の行く 裏に道あり 花の山」ですな…