AC Zenos E10
ACゼノス E10
アウディ S3 スポーツバック初試乗! 新型A3シリーズの上質なドライビングフィールをジャッジ
超軽量の新定義
元ロータスとケータハムのメンバーが中心となり、それぞれの分野のスペシャリストの協力を仰いで生み出されたACゼノスE10は、かつてロータス・セブンが切り開いたスーパー・ライトウエイト・スポーツ・シーンの新たなベンチマークになろうとしている。
「“打倒セブン”に対する現時点での最適解のひとつが、このACゼノス E10だ」
1957年に登場したロータス セブンは、スポーツカーの世界に“スーパーライトウエイト”という定義を初めて持ち込んだ金字塔というべき1台である。
以来、様々なメイクスが求め、試行錯誤してきた“打倒セブン”に対する現時点での最適解のひとつが、このACゼノス E10だ。
「元ケータハムのCEOが舵を取るACゼノス」
ゼノス・カーズは2012年にイギリス・ノーフォークに設立された新興のスポーツカーメーカーである。そのCEOに就いたのはアンサー・アリ。エンジニアとしてフォードでキャリアをスタートした後、大学に戻ってMBAを取得しフォード、ロータスのマネージメントに携わり、2005年からケータハム・カーズの社長に就任したという異色の経歴の持ち主だ。その彼がケータハムを離れ、ロータス時代の同僚であるマーク・エドワーズとともにスポーツカーのレヴォリューションを目指して生み出したのがE10である。
ちなみに2017年に破綻が伝えられたゼノス・カーズだが、ACコブラを製作するACカーズが買収し、ACゼノスとして再スタート。経営基盤が強固となったことで、パーツ供給などサポート体制も安定したのはむしろ朗報と言えるだろう。
「“走り”においてE10には一切の妥協は見られない」
全長3800mm、全幅1870mmとロータス エリーゼとほとんど変わらないコンパクトな車体には、オーディオやエアコンといった快適装備はもとより、トラクションコントロールやABSといった電子デバイスの類も一切ついていない。取材車にはオプションのアルコン製フロント4ポット・ベンチレーテッドディスクブレーキが奢られていたが、ブレーキサーボすら付いていないのである!
しかしそれ以外の部分、つまり“走り”においてE10には一切の妥協は見られない。
中でも象徴的なのがサスペンションだ。理想的なロードホールディングとバネ下重量の低減を実現するため、フロントにまるでフォーミュラカーのようなロングアーム・ウィッシュボーンと、プッシュロッド式の縦置きインボード・スプリング&ダンパー・ユニットを奢っている。
「安全性にしっかりと配慮がなされているのも見逃せないポイント」
シャシーはアルミ押し出し材によるバックボーン式なのだが、そこに被さるコクピットシェルには、アルミ・ハニカムをリサイクル・カーボンでサンドイッチした最新のマテリアルが使われている。またドアやサイドウインドウはないものの、ボディの内側とフロントウインドウ・フレームに強固なロールケージが張り巡らされるなど、安全性にしっかりと配慮がなされているのも見逃せない。
そのほかにもタイタンのアップライト、ビルシュタインのダンパー、エイヴォンのタイヤなど各分野のエキスパートによる専用パーツが惜しげもなく注ぎ込まれているのもE10の特徴といえる。
「軽やかに6000rpmオーバーまで回るレスポンスの良さと、扱いやすさが真骨頂」
横置きミッドシップのエンジンは202psにファインチューンしたフォード フォーカスの2.0リッター直4GDI。253psのフォード・エコブースト2.0リッター直4ターボを搭載したE10Sもラインナップされているが、シャシーに変わりはない。ちなみに開発過程のテストでは600psのエンジンを搭載してもシャシーに補強の必要はなかったそうだ。
試乗したのは202psのE10だが、軽やかに6000rpmオーバーまで回るレスポンスの良さと、扱いやすさ、そしてフロントスクリーンなどのオプションを備えた試乗車でも800kgに満たない車重の軽さもあって物足りなさはまったく感じない。また目立つような空力デバイスや、リヤディフューザーなどがないにもかかわらず、高速ではピターっと安定するのは、シャシーのバランスと、ボディのエアフローが良いからなのだろう。
「そのドライブ感覚はミッドエンジン・フォーミュラカーに非常に近い」
バックスキンが巻かれた小径のステアリングは、中立付近の遊びもなくダイレクトでクイック。走り出しは軽い印象だったが、ペースをあげオプションのエイヴォンZZRに熱が入ると手応えが増してくる。
正直にいうとE10のシャシーポテンシャルの全てを公道で引き出すのは不可能だ。最初は、何も電子デバイスがないこともあり、ジャジャ馬的な乗り味を想像していたのだが、ステアリングに対する応答性、コーナーに入ってからの安定性、オン・ザ・レール感は生半可ではない。その感覚はFJ1600のような空力デバイスを持たないミッドエンジン・フォーミュラカーに非常に近いといっていい。
「ACゼノス E10は、“ポスト・セブン”にふさわしい1台だ」
驚くべきは、それだけのパフォーマンスをもちながら、街乗りでも扱いやすい、ドライバーフレンドリーなバランスのいいスポーツカーに仕上げられているということだ。
そういう意味でもACゼノス E10は、“ポスト・セブン”にふさわしい、21世紀のスーパー・ライトウェイト・スポーツカーの新たなベンチマークになる1台といえそうだ。
REPORT/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
PHOTO/前田惠介(Keisuke MAEDA)
【SPECIFICATIONS】
AC ゼノス E10
ボディサイズ:全長3800 全幅1870 全高1130mm
ホイールベース:2300mm
車両重量:750kg
エンジン:直列4気筒DOHC
総排気量:1999cc
最高出力:148kW(202ps)/6800rpm
最大トルク:210Nm(21.4kgm)/6100rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前インボード・ダブルウィッシュボーン 後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ソリッドディスク
ディスク径:前300 後280mm
タイヤサイズ:前195/50ZR16 後225/45ZR17
車両本体価格:699万8400円
※取材車はオプション装着車
※GENROQ 2020年 6月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。
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