「東京モーターショー」から「ジャパンモビリティショー2023」に名称が変わり、ショーへの参加企業が増えるとともに海外の自動車メーカーの展示が戻ってきつつあるのも朗報だ。今回は、BMWの将来を担うデザインを採用した「ヴィジョン ノイエクラッセ」と、来年の市場投入が予定されているメルセデス・ベンツの電動化Gクラス「コンセプトEQG」を紹介する。
次の3シリーズ? BMW 「ヴィジョン ノイエクラッセ」
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「ヴィジョン ノイエクラッセ」を展示したBMWブースには、独本社からCEOのオリバー・ツィプセ会長とデザイン責任者であるエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏が多くのスタッフとともに来日したという力の入れようだった。背後には東京タワーと富士山を描いた大きな画面が広がっており、日本市場をしっかりと意識しているようだ。「ノイエクラッセ」は、1961年代初頭にデビューしたBMW製中型セダンに付けられた愛称で、意味は「ニュー・クラス」。フロントにはキドニーグリル、サイドのCピラーにはホフマイスター・キンクというBMWを象徴するデザインエレメントの組み合わせを最初に使用したスポーツセダンのお手本のような仕上がりで、以降の3、5、7シリーズに連綿と引き継がれていくアイコンとなった。今回、アジア初公開となったヴィジョン ノイエクラッセにも伝統はしっかりと引き継がれていて、フロントのキドニーグリルは新しい解釈として左右いっぱいまで広がり、その中に斜めにヘッドランプのラインが収まるスタイルに。低いウエストラインを持ったグラスエリアのCピラーには、あのホフマイスター・キンクがしっかりとデザインされている。通常は3ボックスと呼ばれるセダンスタイルを、ホーイドンク氏があえて「2.5ボックス」と説明した理由は、前後が極端なショートオーバーハングとなっていて、トランクスペースが短く見えるからだ。
黄色と白の明るくクリーンなインテリアは、ヘッドアッププロジェクションの経験値を取り入れたという「BMWパノラミックビジョンディスプレイ」を新たに採用。情報はフロントウインドーの幅いっぱいまで表示できて、同乗者も容易に読み取れるという。異形ステアリングの右スポークに触れることで操作可能で、ドライバーが手を離したり視線を落としたりすることがなくなる、と説明する。航続距離は従来モデル比で30%増加。充電時間も30%高速化。エネルギー効率は全体で25%向上した(ホーイドンク氏)というヴィジョン ノイエクラッセは、そのサイズ感からは3シリーズの後継モデルであるとうかがえる。BMWらしい魅力的なスポーツセダンに仕上がっていて、まことにカッコイイのだ。
EV版Gクラス? メルセデス・ベンツ「コンセプトEQG」
メルセデス・ベンツ日本の上野社長によると、今回の「コンセプトEQS」は来年の市販化が予定されているものの、まだ正式な車名が決定していないため“電動化されたGクラス”という表現になっているのだという。その説明役となったのは、独本社のGクラス プロダクトマネージャーのトニ・メンテル氏だ。「1979年に誕生したGクラスは44年の歴史を重ね、今や高級オフロード車の世界的アイコンになっています」と語る。世代を経ても常に最新のオフロード技術を取り入れ、Gクラスらしい典型的なエクステリアデザインをキープし続けたことが今日の成功へ至る秘訣だ、と分析する。また今年4月には40年かけて累計生産台数が50万台を越えたことについて、Gクラスは大量生産されるモデルではなく、自社の高級車戦略に合致して貢献する、ブランドの魅力を明確に示すアンバサダー的車種になっている証拠だと説明した。“電動化されたGクラス”については、オフロード走行の能力アップに焦点を絞り、その限界をさらに高めた存在になるとした。パワートレーンは、4つのタイヤそれぞれにモーターを搭載することで既存の機械式デフロックをもつGクラスより多くのポシビリティ(可能性)が得られるとし、たとえば左右のタイヤを互い逆方向に回転させることで、まるでショベルカーや戦車の超信地旋回ようにその場でクルリと向きを変える“Gターン”まで行えるようになったという。これは狭いオフロードを進んだのちに行き止まりになったようなシチュエーションで元に戻る際などに、非常に有効な技になるはずだ。また、ラダーフレームに搭載するバッテリーのハウジングは、オフロード走行に伴うねじりや荷重に耐えるものとなっていて、さらに激しい凹凸の岩場を走行する際にぶつけても壊れない強度や、渡河シーンで床上まで水中に没するような時でも完全に耐えることができる防水性能が備わっているという。
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