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【PHEV版もマイナーチェンジ】ミニ・クロスオーバー・クーパーS E オール4へ試乗

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【PHEV版もマイナーチェンジ】ミニ・クロスオーバー・クーパーS E オール4へ試乗

フェイスリフトでPHEV版も改良

text:John Howell(ジョン・ハウエル)

【画像】クロスオーバーとクラブマン ほか 全126枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


現行のミニ・カントリーマン(クロスオーバー)は、2010年に登場。ミニとは呼べない、立派な体格を持っている。

ドイツ・フランクフルトの駐車場に停めていると、確かにミニだけれど戦車みたい、という正直なコメントが聞こえてきた。ミニというブランドは、どこまで拡大解釈していいのだろうか。

そのつぶやきを生んだ理由は、フェイスリフトを受けたクロスオーバーの、アグレッシブな見た目も理由だろう。バンパーやフロントグリルは、デザインが新しくなった。クロームメッキではなくグロスブラックで仕上げられた表情は、なかなかワイルドだ。

新しいミニ・クロスオーバーには、LEDヘッドライトとモニター式のデジタルメーター、新しいインフォテインメント・システムが備わる。システムにはタッチセンサー式のボタンが与えられ、大きなリング内はクリーンなデザインが与えられてる。

その変更は、ガソリンでもディーゼルでも、このプラグイン・ハイブリッド(PHEV)でも同様。ミニ・クロスオーバーでは、2017年に8%だったPHEVの割合が、2020年では25%まで支持を広げている。マイナーチェンジ後の初試乗で選ばれたのも、PHEVだ。

見た目だけでなく、PHEVシステムも改良を受けている。最高出力はやや落ち、システム総合で220psとなったが、CO2の排出量も落とされ、EVモードでの走行可能距離は48kmに伸ばされた。

引き締まった姿勢制御 少し曖昧な操舵感

最初のコーナーでステアリングを切ると、ミニらしく、活発に向きを変えることに気づく。ふと、「コンパクトななクロスオーバーにしては、クイックなステアリング」だとつぶやいた。

しかし、通常のミニとは違う。キビキビと運転するには、少し心もとない。

ステアリングは機敏に反応するが、切り込んでいっても、重さが増すことはない。フロントタイヤがどんな状態にあるのか、手のひらに伝わる感触も少ない。コーナーリング中は、いつも小さな修正操作が必要になる。

フォード・プーマなら、ステアリングホイールは一度向きを変えれば充分。長所といえる操舵感を得ている。

一方で、ミニ・クロスオーバーは姿勢制御がタイトで、グリップ力も充分。コーナーが連続する区間でも、高めのスピードを保って運転できる。

バランスも悪くない。熱くなりすぎてコーナーでフロントタイヤが外に流れても、アクセルを戻せば内側にラインは戻ってくれる。

引き締まった姿勢制御と引き換えに、乗り心地は良いとはいえない。橋桁の継ぎ目や、部分的に舗装の剥がれたような区間では、大きな衝撃が伝わってくる。滑らかな高速道路以外では、どこか落ち着かない揺れがある。

フォルクスワーゲンTロックの方が、乗り心地ははるかに穏やかだ。もし比較するなら。

EVモードでの走行は、速いとまではいえないものの、市街地を走る程度なら充分。112km/hまで、スピードを出すこともできる。

市街地ならEVモードで不足ない走り

1.5Lの3気筒エンジンのアシストもスムーズ。深くアクセルペダルを踏んでからエンジンが反応するまで、数秒待つこともあるが、モーターと協働でエネルギッシュにクロスオーバーを進めてくれる。

試乗車は、バッテリーが満充電になっておらず、EVモードでの航続距離は確かめられなかった。しかし、92%の充電量で32km程度は走れるようだ。今回の試乗では、アウトバーンをハイスピードで走らせた場面もあった。

空の状態から満充電にするには、7kWの充電器で約2時間半を要するという。普通に運転していれば、満充電で48kmくらいは実際に走れそうだ。

バッテリーが空になるとガソリンエンジンのみでの走行となるが、丁寧にアクセルペダルを踏んで、12.4km/Lから14.2km/Lくらいの燃費は出せていた。3気筒らしくリズムを打つエンジンサウンドが、薄っすらと聞こえてくる。

車内は比較的静かで、サスペンション周りからのノイズも小さい。110km/hを超えたくらいから、風切り音が大きめに響いてしまう。

ミニ・クロスオーバーのインテリアは、従来どおり華やか。試乗車にはスポーツシートが付いており、運転姿勢も快適だった。

小さなクロスオーバーの中で、ミニほど車内空間が魅力的なモデルはほかにない。上質な素材がふんだんに用いられ、デザインもスマート。ライバルモデルより、1ランク上の雰囲気がある。

メーターパネルはモニター式となったが、残念なことにひさしが付いていない。日光の当たり方では、表示が読みにくくなっていた。

デザインが好き、で選んでも大丈夫

車内空間は広く、実用性にも優れる。大人4名でもゆったりと座れるシートがあり、リアの背もたれはリクライニングが可能。荷室容量も充分にある。

ミニ・クロスオーバーの金額を出せば、より平均点の高いライバルモデルも選べる。プラグイン・ハイブリッドをどこまで自分が必要なのかも、選ぶ際のポイントだろう。

環境負荷や税金面など、PHEVのメリットもある。ミニという、ブランド力もある。

運転の楽しさでいえば、フォード・プーマ。快適性なら、フォルクスワーゲンTロック。どちらも英国ならミニ・クロスオーバーよりだいぶ手の届きやすい価格だ。ルノー・キャプチャーにも、PHEV版が追加となった。

それでも、ミニというだけで惹き付ける力があることは確か。クロスオーバーのおしゃれなデザインが好き、という理由で選びたくなる気持ちはわかる。内容は充分だから、後悔はしないだろう。

ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)・クーパーS E オール4(欧州仕様)のスペック

価格:3万5280ポンド(479万円)
全長:4299mm
全幅:1822mm
全高:1557mm
最高速度:197km/h
0-100km/h加速:6.8秒
燃費:55.8km/L
CO2排出量:39g/km
乾燥重量:−
パワートレイン:直列3気筒1499ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
バッテリー:9.6kWh
最高出力:220ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック

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