オリジナル仕様にレストアが施された
2023年11月25日、RMサザビーズがドイツ・ミュンヘンで開催したオークションにおいてメルセデス・ベンツ「CクラスDTM」が出品された。レーシングカーがオークションマーケットでどのようなジャッジを受けるのか、同車について振り返りながらお伝えしよう。
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2004年シーズンのために製作したマシン
激しいバトルが繰り返されたツーリングカーレースとして、多くの人の記憶に残るDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)。1984年に始まった第一期のDTMは、連続した12カ月間に5000台以上の生産を必要とするグループA規定で行われたが、その後1995年には2.5Lを最大排気量とするFIAのクラス1規定に基づくマシンの改良が認められるようになった。
それを機にDTMに参戦するメーカーはマシンを大幅に近代化。レース自体もより大きな盛り上がりを見せるようになったのである。そして1996年DTMは新たにITC(国際ツーリングカー選手権)と統合されたものの、再びマシンの開発や製作に関するコストは高騰化。多くのメーカーが撤退した事情もあって、同年をもって第一期ともいえるDTMは幕を閉じたのである。
そのDTMが復活したのは2000年。新たにメルセデス・ベンツ、アウディ、オペルの3社がエントリーしてのシリーズ再開だった。エンジンは2018年シーズンまでは4LのV型8気筒、それ以降は2Lの直列4気筒ターボを、シリーズあたり3基までの使用とすることを筆頭にマシンのイコールコンディション化が図られ、ボディも2004年シーズンからは4ドアのみが認められることになった。
ここで紹介するモデルは、まさにその2004年シーズンのために、メルセデスAMGが製作したDTMマシンの1台。実際のレース活動は、メルセデスAMGの前身であるAMGの創設者であるハンス・ヴェルナー・アウフレヒトが率いるHWA社に委ねられ、「RS04-002」とネーミングされたこの2号車には、F1ウィナーでもあるジャン・アレジがドライバーとして抜擢された。
メルセデスAMGは2004年シーズンのために4台のRS04を製作しているが、ほかのドライバーは過去にDTMで4度のチャンピオンに輝いたベルント・シュナイダー、クリスチャン・アルバース、ゲイリー・パフェットという布陣だった。
数多くの入賞を成し遂げた
RS04の戦闘力は予想どおりに高く、アレジは開幕戦のホッケンハイムでポールポジションを獲得したほか、パフェットとシュナイダーは、それぞれ優勝とファーステストラップを記録。エストリルでのアルバースの優勝からは、やや苦しいレース展開が続くが、シリーズ中盤のノリスリンク、上海、ニュルブルクリンクではパフェットが見事に優勝を飾っている。
アレジとRS04-002は上海で4位、ノリスリンクとニュルブルクリンクでは10位と7位を記録した。翌2005年のDTMでは、このRS04-002はプライベートチームのミュッケ・モータースポーツに託され、シュテファン・ミュッケが3度のトップ10入賞を果たした。さらに2004年用のマシンで2006年のシーズンをトップでフィニッシュするという栄誉さえ手にしたのである。
そして2007年、RS04-002の所有権はチェコのモータースポーツ・プロモーター、アントニオン・チャロウズにわたり、オリジナル仕様とカラーリングに完全にレストアされた。今回それはRMサザビーズのミュンヘン・オークションに出品され、47万5000~57万5000ユーロ(邦貨換算約7743万円~9315万円)の予想落札価格を提示してオークションが行われたが、純粋なレースマシンということもあり、おそらくは出品者の希望落札価格には届かなかったのだろう。流札という結果に終わってしまった。
ちなみにこのモデルは、現在でも48万5000ユーロ(同7518万円)という価格で、RMサザビーズのプライベート・セールで販売が継続されている。
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みんなのコメント
ITC時代のCクラスの方がゼニはかかってたと思う。