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あの頃の常識はすでに非常識!? 評価の分度器

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あの頃の常識はすでに非常識!? 評価の分度器

 あの頃の常識がいまやすでに非常識になる、なんてことは身近で起こりうることだ。それはクルマ界も同じ。たとえばディーゼル車なんて石原都知事の時代には大気汚染の元凶のように扱われたのに、現在はややもするとクリーンな自動車のイメージすらある。これは評価が180度変わったといえる。そんな感じで以前と評価が大きく変わったものを「分度器の角度」で紹介するのがこの企画。0度なら変化なし、180度なら正反対、ってな具合でお届けシマス。

文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年2月10日号

90年代後半「新コンセプト」を提案し散っていったクルマたち6選

■メーカーのブランドイメージはちょっとずつ変わっている!?

【トヨタはスポーツモデルを作るとイマイチ】評価の変化度30度

《以前の評価》
 トヨタは量販車を作らせると上手いけど、スポーツカーとなると、どこか突っ走りきれてないモデルが多かったような……。でも最近はGRとか、頑張ってるよね?

なくなってから評価されるスポーツも多いトヨタのスポーツカー。なにがいけない!?

《最近の評価》
  自動織機がルーツだけに、トヨタにとってクルマは基本的に実用品。割安で使い勝手がよくて壊れない。これがイチバンというDNAを持っている。それゆえ か、スポーツカーみたいな"道楽"はあんまり得意じゃない。スポーツカーなんてものは、基本的に遊び道具。儲けは二の次、好きだから作るというマインドが ないとやってられない。ブランド戦略上必要という動機だけでは、クルマ好きを感動させるのは難しいと思うなぁ。    (鈴木直也)

【マツダは職人気質で商売ベタ】評価の変化度40度

《以前の評価》
 クルマのデキはいいけど、どこか野暮ったいイメージがあって、ディーラーの販売も下手だったような……。

《最近の評価》
  かつてのマツダは不器用で職人気質。走りのメカを中心に、技術的に優れた商品を丹念に製造していた。この印象が先代CX-5が発売された2012年以降 違ってきたと感じるが、本質に変わりはない。熟成を図り選択と集中を行っただけ。変わったのは商品の周辺で、店舗はオシャレになりブランド構築も入念に行 う。ただし肩に妙な力が入り、初期のレクサスに似た理屈っぽさを感じる。気軽さが消えた。(渡辺陽一郎)

【スカイラインはスポーティなクルマの代名詞】評価の変化度120度

《以前の評価》
 若者にはシルビア、その上にスカイライン。スポーティさと大人っぽさを併せ持つ、まさに日本の名車だぜ!

R34までのイメージと大きく変わったスカイライン。クルマはいいんだけどな……

《最近の評価》
  今の日本市場ではセダンとスポーツカーのシェアはずっと低空飛行。そういう意味では、スカイライン本来の持ち味だったスポーティセダンというジャンルは、 すでにオワコンということ。スポーツカーなら86かロードスター、プレミアムセダンは輸入車、そして安いセダンならマークX。スカイライン独自の魅力に欠 ける。日本市場に踏みとどまるには抜本的なコンセプト再構築が必要だと思います。    (鈴木直也)

■カーライフはこんなにも変わっている!!

【5年前まではカーシェアリングは新車販売の敵だ!!】評価の変化度110度

《以前の評価》
 クルマ離れが進む若者はクルマが必要な時はレンタカーやカーシェアリングを利用する。だから新車が売れない!

《最近の評価》
 ソニー損保が1000人の新成人を対象に行った2017年の調査によると、レンタカー利用経験者のマイカー所有率は22.1%、カーシェア利用経験者では40.8%となり、利用未経験者(それぞれ14.6%、15.6%)より高いという結果が出た。レンタカーやカーシェアを利用しているうちに自分のクルマが欲しくなった可能性があり、一概にカーシェアやレンタカーが、新車販売の敵とはいえないのだ。    (編集部)

【日本で乗るなら5ナンバーが一番でしょ】評価の変化度90度

《以前の評価》
 日本の道は狭いんだから、幅の広い3ナンバー車なんかもってのほか! 

《最近の評価》
 以前は排気量にかかわらず全幅が1700mmを超えると自動車税が年額8万1500円以上になり「日本で乗るなら5ナンバー車」だった。この税制が1989年に排気量に応じた課税に変わって3ナンバー車が増えた。今人気のSUV車は大半が3ナンバー車だが、今でも売れ筋は軽自動車を含めた5ナンバー車。3ナンバー車には海外向けが多いが、5ナンバー車は日本向けに開発されたから支持も厚い。サイズだけの話ではない。    (渡辺陽一郎)

 

■クルマのメカニズムはここまで変わった!!

【5年前まではATよりCVTのほうがイイとされていた】変化度120度

《以前の評価》
 CVTはエンジン効率がいい回転域を維持するため燃費面で有利とされていた。でも最近ATに評価で負けてる?

編集部の評価としては4AT頃まではCVTが優勢だったような

《最近の評価》
  JC08モード燃費計測のような低速ストップ&ゴーが、CVTに最も適したシチュエーション。この特性は今でも変わっていない。ところがステップATの多 段化などで、そこでのアドバンテージが少なくなったのが痛い。それ以外、高速域での効率のよさやリズミカルな変速特性などでは、以前からステップATの評 価が高かったわけだから、モード燃費でも追いつかれちゃったら、立つ瀬がないよね。    (鈴木直也)

【20年前までは輸入車はよく壊れるというイメージ】変化度90度

《以前の評価》
 一部車種では走ってる時間より修理に入ってる時間のほうが長いとの伝説もあったが、
最近はそうでもないでしょ?

《最近の評価》
  1990年代半ばまでは「確実に壊れる」と恐れられていたが、2000年頃からは各部品が合理化され、いい具合になっていった。だが2005年頃にメルセ デスがSBC(電子制御式油圧ブレーキ)で盛大にやらかし、再び「やっぱ壊れる」という評価に。その傷もある程度癒えた2010年頃から「意外と大丈夫」 との見解が広がったが、やはり傷は深かったようで世間全体の評価変更度としては90度止まりといったところだ。    (伊達軍曹)

【20年前までは中国のクルマは外観だけのコピーで質は悪い】変化度180度

《以前の評価》
 中国のショーで見かけるのは各国の名車のソックリさんばかり。しかも似てるのは外見だけで、中身はヤバイ!

最近は中身もよくなってきて、このまま成長するとかなり強敵になりそう

《最近の評価》
  私が初めて中国に行った2009年時の中国車はパクリカーのオンパレード。インパネはテカテカ、得体のしれないエンジンなど、お笑い状態。それが昨年11 月の広州モーターショーで見た中国車は、素直にカッコいいクルマや内装も上々というクルマがゴロゴロ。パワートレーンも現代的と劇的に進歩していた。これ で耐久性&信頼性、安全関係に問題なければ恐ろしい存在と断言できる。    (永田恵一)

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