ビジュアル系として強い影響力
text:Tom Morgan(トム・モーガン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
コンパクトなステーションワゴンでも、足腰が鍛えられたクルマは多くはない。その中でもCLAシューティングブレークほど、ビジュアル系として強い影響力を持ちそうなモデルはない。
4ドアクーペとエステートボディを融合させたダイナミックなスタイリングは、実用性も高めている。CLAサルーンよりも傾斜が緩やかなルーフラインのおかげだ。
加えてこのAMGと35というエンブレムの付いたクルマの場合、パワートレインが増強され、高い運動性能も併せ持っている。搭載するのは、AMG A 35ハッチバックと同じ2.0L 4気筒ターボエンジン。最高出力は306ps、最大トルクは40.7kg-mだ。
パワーを受け止めるトランスミッションは7速デュアルクラッチATで、4マティックと呼ばれる4輪駆動を採用。基本的には前輪駆動だが、電子制御のマルチディスク・クラッチが、必要に応じて最大で50%のトルクを後輪へ割り振ってくれる。
これにより0-100km/h加速は5秒以下。最高速度は249km/hでリミッターが掛かる。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式。試乗車には、メルセデスAMGのライドコントロールと呼ばれるアダプティブダンパーも備えていた。
標準のCLAと比較すると、AMG専用デザインの前後バンパーと、2本出しのマフラーカッターが際立つ。試乗車にはAMGスタイル・パッケージと呼ばれるオプションが付いており、19インチのブラック・アルミホイールに、前後のディフューザー、スポイラーなどが迫力をプラスしている。
ドライバーに不足ないスピードで応える
シューティングブレークは、比較的若い層で人気が得られると、メルセデスは予想する。英国価格5万ポンド(675万円)のCLA 45と比較すれば手頃な、CLA 35の方が英国では多く売れるだろう。
路上に出れば、CLA 35はドライバーの求めに、不足ないスピードで応える。最もアグレッシブなドライビングモードを選択しても、エンジンサウンドは少し抑え気味。格上でハードコアなCLA 45の存在があり、CLA 35の攻撃性はやや抑制されている。
深く倒したアクセルを戻せば、燃え残りのガソリンが破裂する音がマフラーから響く。ドライバーの気持ちを盛り上げてくれるが、A 45 Sと比べれば控えめ。鮮烈なドラマ性なくスピードを高めるが、その方が効率的ではある。
7速ATの反応はかなり鋭い。フォルクスワーゲン・グループのトランスミッションより、シフトダウンは遥かに素早い。反面、都市部で流している場合はややギクシャクするところがあり、フルスロットル時は、比較的早めにシフトアップする。
シフトパネルを弾いた方が遥かにシャープに操れる。ダッシュボードのシフトインジケーターは、完璧ではないものの、右足の踏み込み量に反応し点滅。レブリミッターに当ててしまう機会を減らしてくれる。
コーナリングは、クラス上のBMW 3シリーズが持つダイナミクス性能には及ばない。だがフォルクスワーゲン・ゴルフRエステートより、ドライバーとの一体感は強い。
硬めの乗り心地でも車内には高級感が漂う
ステアリングは軽快で、特にクイックではないものの、自信を引き出してくれる。4輪駆動システムは、かなりの速度であってもコーナリング・ラインを絞ってくれる。
アダプティブダンパーをスポーツ・モードにすると、CLA 35は路面をしっかりホールド。だがコンフォート・モード以に引き締めると、英国郊外の一般道では硬すぎる印象だった。
高速道路なら、スポーツ・モードでも良好。高性能なクルマとして爽快に走れるが、ロードノイズは大きめ。他のモデルのように、穏やかに高速巡航ができるタイプとはいえないだろう。
CLA 35の車内にはツインモニターが並び、他のAクラスと同等の高級感漂う設えが施されている。インフォテインメント・システムは、ステアリングホイールに付くタッチパッドや、タッチモニターを介して、入力や操作も簡単。
MBUXインターフェイスはカスタマイズの範囲も大きい。だが、BMWのiドライブやアウディのバーチャルコクピットほど、直感的でもない。
インテリアは、ソフト加工されたインテリア素材と間接照明、スポーツシートが、視覚的にも強い訴求力を放つ。リアシートは傾斜したルーフラインなりの、必要充分な広さ。平均的な頭上や足元の空間は確保されている。
シューティングブレークだからといって、CLAサルーンより荷室が顕著に大きいわけではない。容量はリアシートが使える状態で514L、リアシートを畳むと971Lになる。
もちろんAクラスのハッチバックよりは広い。大きなテールゲートのおかげで、荷物の出し入れも容易だ。
強く誘惑するクラス唯一の存在
コンパクトなボディで4輪駆動の高性能ステーションワゴンとなると、現状では選択肢が限られる。メルセデスAMG CLAシューティングブレークは、このクラスでいえば唯一の存在といって良い。
新しいフォルクスワーゲン・ゴルフRのエステートは、早くても2020年末までは姿を見せない。サイズで近いフォード・フォーカスSTエステートは、前輪駆動のみだ。
CLA 35が搭載するエンジンは、CLAで選べる最高の個性派とまではいえない。そのCLA 45は値が張るし、CLA 35は常に弟分的な立ち位置となる。
価格を考えれば、性能で並び実用性で勝るBMW 3シリーズ・ツーリングを、より安価に手にすることも可能。だとしても、伸びやかなスタイリングを持つメルセデスAMG最小の高性能エステートに、誘惑されても不思議ではない。
メルセデスAMG CLA 35 シューティングブレークのスペック
価格:4万44315ポンド(598万円)
全長:4688mm
全幅:1830mm
全高:1442mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:13.1-14.9km/L
CO2排出量:171g/km
乾燥重量:1620kg
パワートレイン:直列4気筒1991ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:306ps/5800rpm
最大トルク:40.7kg-m/3000-4000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
日産復活のカギはやっぱり[新型マーチ]!? ヤリスやフィットを超えるコンパクトカー誕生なるか!? 2025年度に発売確定!
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
高速道路を「トラック横並び完全封鎖」で渋滞…むかつく風景が日常茶飯事な「意外な理由」とは? 逆に嫌がらせしたら「免許返納」レベル! 思わぬ「うっかり交通違反」にも注意
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント