■スポーティに進化した新型「シルフィ」
いまや北米の1.5倍以上、日本の6倍にもなる台数を1年間に販売する、世界一の自動車大国となった中国。そんな中国の上海で開催されている「上海モーターショー2019」で、日産は新型シルフィを発表しました。
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シルフィといえば、ブルーバードをルーツとし、日本でも販売されている小型のセダン。そしてこのシルフィ、実は日産にとって中国市場を語るうえで欠かせないモデルです。
その理由は販売台数。中国において毎年、なんと40万から50万台程度(この数は日本でもっと売れている乗用車であるホンダ・N-BOXの2倍以上!)を売り続ける大人気の車種なのです。
中国における日産の販売のうち1/3以上を占めることになるのですから、新型はとても力の入った開発がおこなわれたのはいうまでもありません。
実車を見て感じたのは、デザインをかなりスポーティな雰囲気に振っていることです。ひこことでいえば、北米や中国で販売している大型セダン「アルティマ」をひとまわり小さくしたような印象で、ボンネット先端の低さは驚くほど。
日産デザインの特徴といえる「Vモーショングリル」と呼ばれるフロントグリルは大きく、それでいて全く違和感がありません。北米においてスポーティな雰囲気が好まれる一方で、中国ではギラギラとした豪華な感覚が好まれるというのがこれまでのセダンのデザインの定説でした。
しかし、中国市場を最重視したモデルがこれだけスポーティなデザインになったのは、中国の人々の嗜好が変化しつつあることの具現化かもしれません。ちなみに空気抵抗係数に関して「Cd値は0.26でこれはGT-Rと同等」と日産は説明します。
パワートレインは、1.6リッターガソリンエンジンにCVTを組み合わせ。プラットフォームは、新設計のものが使われ、従来からのシルフィの特徴だった広い後席足元空間はさらに拡大されています。
しかし、実際に後席に座ってみたところ、広さも感動的でしたがそれ以上にインパクトを感じたのは座り心地でした。リヤシートのクッションは今どきのセダンとは思えないほど厚く、座ると沈み込みの深さは驚かずにいられないレベル。
■「後席の人をどうもてなすか」が中国でクルマを売るコツ
まるでフカフカのソファーです。中国では「後席の人をどうもてなすか」がクルマにおける重要な評価基準(だから広さを求めて中国市場だけにロングホイールベース仕様を投入されるセダンが複数存在する)。シルフィは、座り心地でも差をつけるというわけです。
インテリアでは、ジェットエンジンのようなデザインのエアコン吹き出し口が、これまで日産車にはなかった意匠として目をひきます。
しかし、注目はそこではなくコネクティビリティの充実度。オーディオなどのボイスコマンドはもちろん、接続したスマホへの音声入力などにも対応しているのです。
日産の担当者は「中国では漢字の関係で文字入力が煩わしい事情もあり、SNSなどの入力にも音声変換がよくつかわれます。中国でより多くの支持を集めるために、そういった事情をしっかり反映させているのです」と話しています。
気になるのは日本への導入ですが、「現時点で日本への導入は決定していません」といいます。しかし、日本で販売しているシルフィもデビューから長い時間が経過しているので、この新型が日本に導入されるのか、それとも別のモデルが日本仕様に用意されるのか、日産もどちらかに動くのは時間の問題でしょう。
ちなみに、2018年の北京モーターショーで発表された「シルフィEV」は、今のところ旧型のボディですが、将来的には新型のボディになると思われます。 【了】
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