10人に1人が自動車産業に関わっている
今年の元日から始まった、新聞広告やテレビCMなどにおける「私たちは、動く。」と題されたコミュニケーション、目にした方は多いだろう。主役は、550万人のクルマを走らせる人たち。表現されているのは「自動車業界が動けば、もっと日本の、そして世界の力になれる」というメッセージだ。
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この550万人とは、部品を含め、その製造・販売・整備などに関わる237万人と、タクシー、バス、トラックなどの輸送に関わる269万人、そしてガソリンスタンドや自動車保険などのサービスに関わる35万人を足した数字である。この550万人がいてこそ、私たちが享受している自由な移動は可能になっている。
それにしても550万人という数字は大きい。実際、自動車産業全体で見れば、この日本で働く10人のうち1人の雇用と、15兆円という納税、そして2.5倍の経済波及効果(自動車生産が1増えれば、全産業を2.5倍増やす)にも繋がっているのだという。
「私たちは、動く。」とは、つまりこの550万人が動くということである。それも一丸となって。何しろ今、自動車業界の行く手には、やらなければいけないことが山積しているのだ。
カーボンニュートラルへの対応。手段が大切
一番の課題は、メディアでも大きく取り上げられた昨年12月の豊田自工会会長とのオンライン懇談会で話題となったカーボンニュートラルへの対応である。カーボンニュートラル、つまり脱炭素社会への移行は目下、世界全体の課題であり、日本でも昨年、菅首相が2050年にカーボンニュートラルの実現を目指すと宣言している。それ自体はまさに世界が向かうべき方向であり疑問を差し挟む余地はないのだが、問題はそのための手段である。
ご存知のとおり、大手メディアではいまだに語句の誤用が続いており、それが世間にも流布されてしまっている。EU各国はじめ今、世界の多くの国が現在打ち出しているのは2030年など近い将来において、電動化されていない車両の販売を禁止するという方針だが、これは(説明不要だとは思うけれど)、EV以外の販売を禁止にするという話ではなく、すべてのクルマが何らかのかたちで電動化されていることを義務付けるものだ。
考えられるのはマイルドハイブリッド(MHEV)、ハイブリッド(HEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)に燃料電池自動車(FCV)など多用なパワートレーンである。将来的には再生可能エネルギーで発電した電力を水電解して生成した水素と二酸化炭素からなる合成燃料であるe-Fuelを用いた内燃エンジンも、そこに入ってくるに違いない。
EUの極端なEVシフトは、敗北を認めたくないから。
EUが極端なまでのEV、そしてPHEVへのシフトを志向しているのは事実だ。しかしながら、これは極端な話、トヨタやホンダに対抗できるようなHEV技術を持たず、代わりにダウンサイジングターボやディーゼルを強力にプッシュしてきた挙げ句にディーゼル排ガス不正問題を引き起こしてしまった彼らにとっては、他に行き場がなかったからという部分も大きい。技術者ならHEVのメリットをよくわかっているはずだが、それを認めれば日本の自動車メーカーに対する敗北を意味する。だからEVこそが正義という論陣を張るしかないのだ。
よってヨーロッパが声高に叫ぶEVシフトに、日本が乗る必要はない。というか、それは彼らの思うツボなのだが、日本の大手メディアや政治家は、見事にそこにハマってしまった。それが昨今の「EVを推進しない日本は世界から遅れている」という誤った論調に繋がっている。
日本が誇るトヨタ ヤリスハイブリッドのCO2排出量は64g/kmである。高価なバッテリーを満載することなく、産業構造に痛みの伴う急転換を強いることなく、それが実現できているのだ。なぜ、雇用などさまざまなものを犠牲にしながら、すぐにEVに転換する必要があるだろうか?
豊田会長がハッキリそう発言したわけではないが、550万人が一丸となって動くというのは、まさに日本の自動車産業全体で、移動の自由を引き続きしっかり守り抜き、そして本当の意味でのカーボンニュートラルを雇用や納税、経済波及効果といった自動車産業が今、社会にもたらしているものを損なうことなく実現していこうという宣言ではないかと私は受け取った。550万人の誰も置いてはいかない、という決意とも言えるだろうか。
クルマをEVにすれば解決するわけではない
本当にカーボンニュートラルを達成しようというならば、クルマをEVにするより先に、まず工場を動かす電気だってカーボンフリーにする必要がある。EVを増やしていくならば、そのための発電能力の増強、インフラの充実もマスト。単に自動車メーカーが生産するクルマをEVにすれば簡単に解決する話ではなく、まさに国全体、社会全体で考えるべき話だ。そのためには、本当の意味で自動車産業が一丸になって物事にあたっていく必要がある。まさに「自動車業界が動けば、もっと日本の、そして世界の力になれる」のだ。
最後に私からの提言。こうしてEVシフトを煽る論調に対する、日本自動車工業会としての見解を、しっかり世界に発信していくべきではないだろうか。さらに言えば世界中の類する団体、例えばヨーロッパで言えばASEA(Association des Constructeurs Europeens d’Automobiles・欧州自動車工業会)などと連携を強めて、世界の自動車産業全体で、本当の意味でのサスティナビリティを志向するかたちをリードしていってほしいとも思う。
私は550万人の中には入らないと思うが、この先の未来もクルマでの移動の自由を思い切り享受したいし、そのためには真の意味で環境負荷の低減が実現されなければならないという思いは一緒。それもあり、期待をかけすぎかもしれないが、昨年の組織改革を経て今の日本自動車工業会であれば、それができるはずだという思いを込めて記した次第だ。
〈文=島下泰久〉
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みんなのコメント
ev推進派はどうやってev分の電力を確保するか明示していない。
いや現実的にすることは出来ない。
原発問題は避けて通れない問題であるし、
そもそも送電網からして限界だし、
マンションもev対応していないところがほとんど。
戸建ても尚更ではないだろうか。
ev推進派は何も分かっていない。
テスラで自慢するのが関の山である。
ただし、高級車や災害対応における配電機能など目を見張るものがあるのも事実だと思う。
そして超長期的な観点も必要だし、トヨタはもちろん対応している。
基本的に都会メディアは電鉄不動産形式なので、鉄道に有利な形式図式を導入するのに長けている。
自動車を街から排除する論理もこの一環だ。
自動車産業は地方メディアと仲良くするのがいい。
都会メディアは左翼の塊なので、一切広告費を払う必要がない。
自動車を排除するということがいかに自分の首を絞めるかということに気づいていない。
電動化を日本政府に提案した人物はテスラの役員って事で分かるでしょ。